鈴木重伸がLOOPERを使用したソロコーナーを披露

鈴木 重伸(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

鈴木 重伸(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 足音のSEが響き渡る。そのSEに反応しオーディエンスの歓声から「マナーモード」へ。赤、緑、青とアバンギャルドなライティングでステージは染まっていった。そして、演奏が終了すると、ここで山中拓也がステージから去り、楽器隊のみによるインストコーナーへ。鈴木とにあきら、中西の3人でアダルティな空間を作り上げる。ここで「俺もベースソロが弾きたい!!」と懇願するあきらかにあきら。そして、鈴木重伸も「自分もソロを弾きたい」と話すと、ジャンケンでどちらがソロを取るか決めることに。

 ジャンケンに勝利したのは鈴木。1人残されたステージに集中砲火のようなスポットライトを全身に浴び、レスポールから繰り出されるソリッドでファンキーなカッティングを、LOOPER(編注=録音してループさせる機械)で“輪廻”させる。そこに緩急をつけた鈴木重伸らしいリードフレーズを重ねていき、1人でアンサブルを作り出していった。ソロコーナーが終わるとステージに戻ってきたメンバー達。

 再び全員が揃うと「STAY ONE」を奏で始める。後半戦はスピーディーなナンバーで幕を開けた。続いて「奈良にいた時に作った最強のキラーチューン」と山中が紹介し、「Mr.ファントム」で追い打ちをかける。所狭しと暴れまわるあきらと鈴木。そして、「大魔王参上」では、あきらの自身の頭上まで高らかに上がるハイキックが、オーディエンスの目を釘付けにする。激しいアクションでもベースプレイに揺るぎはない。

 ここでMCを挟む。「大阪城ホールや日本武道館、どんどん大きなところでやりたい。ライブの楽しみ方は人それぞれだしモッシュもいいけど、みんなには大前提で音楽を好きであっていて欲しい。椅子があっても心に響く音楽を俺らは鳴らす。次のステージに上がる一歩目が今日だと思う。みんなと次のステージに行けたらと思っています」と、今後のバンドの展望やファンに向けての願望、更にバンドの決意表明とも言えるメッセージを山中は語った。

 そして「時代は移り変わっていくんです。次の時代に必要な曲が必ず出てくる。自分たちはそういう楽曲を提供していきたい」と話し、3月20日の新木場STUDIO COASTで初披露された新曲「DIP-BAP」を演奏。今までのTHE ORAL CIGARETTESを、更に昇華したようなアグレッシブな展開が魅力の楽曲で、オーディエンスも4人が紡ぎ出すそのグルーヴに身を委ねた。

サプライズからのキラーチューン祭り!!

山中 拓也(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

山中 拓也(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 ここでサプライズな演出が。FM802でラジオDJを務める大抜卓人さんからビデオメッセージが届けられた。そして、大抜卓人さんの激励コメントからキラーチューン祭り!!を煽られ、満を持して祭りへ突入。

 「起死回生STORY」、「A-E-U-I」、「カンタンナコト」とアッパーチューンを立て続けにエキサイティングな演奏で駆け抜けていく。バンドから放たれたエネルギーをオーディエンスが弾き返すという、エネルギーの交換会とも言えるリフレクションが相乗効果を生み出していく。シームレスなライブハウスとはまた違った、ホールならではの整然とした一体感のある美しい光景が会場に広がった。

 本編ラストは、「この曲が俺らの方向性を定めてくれました。良い方向に導いてくれた曲です」と告げ「狂乱 Hey Kids!! 」を披露。派手なレーザーライトが縦横無尽に会場を飛び交うなか、メンバーはこのツアーの全てをぶつけるかのような鬼気迫る演奏を観せた。それに呼応するかのように会場のボルテージはマックスに。

 「帰ってくる場所を用意してくれて本当にありがとう!僕らは紛れもなく奈良のバンドです。また逢おうぜ!!」と山中拓也が告げ、圧倒的なパフォーマンスを魅せつけた本編を終了した。

(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 すぐさまアンコールを求める手拍子が会場に響き渡る。ステージに戻ってきたメンバー、「(ライブが)終わるのが寂しい。初めてのホールワンマンだし、みんなが楽しんでくれるか正直不安でした。でも初めての今日は一緒に楽しく共有できたと思います。本当に最高の1日でした。俺らは紛れもなく奈良のバンドです。奈良で何かを起こしたいと思っています、その時はどうかみんな力を貸して下さい。みんながいたから作れた曲です」と述べ「Everything」を演奏。

 6年目を踏み出しバンドの未来を提示するかのような演奏と歌でツアーファイナル、故郷でのワンマンライブの幕を閉じた。深々と長いお辞儀をする山中。そして、名残惜しそうにホールを見渡すあきら。メンバー各々がステージ上から今日のライブに集まったファンに感謝を伝えていた。

 そして、最後にファンには嬉しいニュースが届けられた。7月下旬にニューシングル「DIP-BAP」のリリース、そして、10月から「唇対バンTOUR 2016〜キラーチューン祭り巡業行脚の巻〜」が奈良NEVER LANDを皮切りに全14カ所で開催されることも発表された。

 タイトル通り、故郷に錦を飾ることができたTHE ORAL CIGARETTES。このライブをきっかけに新しい一歩を踏み出したと言っても決して大げさではない、オーディエンスと一体となったメリハリのあるステージを魅せてくれた。自分たちの矜持を掲げたライブはこの先どのような進化を魅せてくれるのか。非常に楽しみだ。(取材・村上順一)

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