THE ORAL CIGARETTESにとって重要な一夜となった凱旋ファイナル公演(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

THE ORAL CIGARETTESにとって特別な公演となった(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 4人組ロックバンドのTHE ORAL CIGARETTESが4月30日に、メンバーの出身地である奈良県のコンサートホール、なら100年会館で、全国ツアーのファイナル公演『唇ワンマンライブ〜故郷に錦を飾りまSHOW!!〜』をおこなった。2月・3月の『唇対バンTOUR』などを経て15本を回ったツアーのファイナル。アンコール含め全19曲を、個性あふれる熱い演奏をもって故郷に響かせた。山中拓也(Vo.Gt)は「次のステージに上がる一歩目が今日だと思う。みんなと次のステージに行けたらと思っています」と語り、結成6年目にして新しい一歩を踏み出した。ライブ終了後には、ニューシングル「DIP-BAP」を7月下旬にリリースすることと、10月に奈良Neverlandを皮切りに『唇対バンTOUR 2016〜キラーチューン祭り巡業行脚の巻〜』をおこなうことも発表した。

凱旋ライブは「エイミー」で幕開け

山中 拓也(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

山中 拓也(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 バンド初の故郷での凱旋ホールワンマンライブとなる特別な日。バンドの雄姿を見届けようと「なら100年会館」に続々とファンたちが集結していく。オーケストラの演奏もおこなえる優雅な会場は、明らかにライブハウスとは異なる雰囲気を持つ。そのホールで、THE ORAL CIGARETTESはどのようなライブを観せてくれるのか。会場はこれから始まるスペシャルなショウへの期待感で満たされていた。

 定刻を少々過ぎたところで暗転し、ライブでは恒例の4本打ちの音声が流れた。そして、ピアノの音と共にスクリーンに「唇ワンマンライブ〜故郷に錦を飾りまSHOW!!〜」のタイトルが映し出され、眩い光とオーディエンスの大歓声の中、メンバーがステージにゆっくりとした歩みで登場した。

 凱旋ライブは「エイミー」で幕を開けた。山中のギターと歌のみのスローなバラード調でスタート。スクリーンには歌詞も表示され、その旋律からは並々ならぬ想いが伝わってきた。そして、ドラムのカウントからバンド全体でのイントロへ突入。感謝をテーマに制作されたストレートでメロディアスな楽曲に、サビではファンもリズムに合わせ手を振り一体感をみせた。山中が途中「なら100年会館もそうでしょう?」と歌詞を変えてオーディエンスに問いかけると、大歓声が起こった。

中西 雅哉(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

中西 雅哉(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 そして、2曲目の「気づけよBaby」へ突入。バンドはアクセルを踏み込み、派手なライティングも相まってホールのテンションはどんどん上昇していく。あきらかにあきら(Ba.Cho)のメロディアスなフレーズが歌の隙間を縫うように響き渡る。

 立て続けに「MIRROR」を披露。縦に腕を上下させオーディエンスを煽る山中。鈴木重伸(Gt)のトリッキーで情熱的なギターと、あきらの骨太なベース、そして、安定感のあるタイトなリズムワークでバンドの中枢を担う中西雅哉(Dr)のサウンドに、ソリッドな山中拓也のギターと存在感のある歌声がホールを満たしていく。

 「初のホールワンマン、一緒に共有して楽しみましょう。奈良と大阪を結ぶ近鉄線に怪しい駅があるんですけど、その駅を題材にした曲です」と「瓢箪山の駅員さん」へ突入。妖艶なグルーヴで会場を、先程までとは違った世界観でみせていく。そして「ハロウィンの余韻」へと続き、さらにディープで独特な世界観を持つサウンドで、オーディエンスを酔わせていった。

 「みんなタオル持ってる? 思いっきり廻そうぜ!!」と「STARGET」を披露。サビではホールが、回転するタオルで埋まり圧巻の絶景を観せてくれた。山中の鋭いギターカッティングや、あきらのライトハンド奏法など見せ場の多い楽曲で、会場がオーディエンスの熱気に満たされていく。

「昔も今も繋がっている」

あきらかにあきら(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

あきらかにあきら(撮影・Viola Kam(V'z Twinkle Photography))

 MCでは「ホールめちゃくちゃ響く、気持ちいい〜」と、ホール独特の残響感にご満悦の様子の山中。ファンから「おかえり〜」と歓迎され、そこからファンとのトークのやりとりでアットホームな一面も。そして、ファンに向けて「これからもみんなと一緒に歩んでいきたいと思っています。応援宜しくお願いします」と感謝を述べた。「各々、いろいろ経験はあると思うんですけど、その経験に入っていけるような音楽を鳴らしていきたいなと思っています。いつになっても心地よい音楽を鳴らしていきたい」とここから、ミディアムナンバーのセクションへ。「通り過ぎた季節の空で」を感情を込めしっとりと聴かせてくれた。

 続けて山中が自らギターでアルペジオを奏でながら「歴史あっての自分たちだから、昔の僕らも受け止めてほしい、だから今も昔も繋いできたい。繋ぐということをこのステージから訴えたいと思います。昔の曲も今の曲もしっかり繋がっているということをここで証明したい」とファン同士の絆や繋がっていることの大切さを切実に話した。「通り過ぎた季節の空で」はこの曲の続編として作ったというエピソードから「この季節に僕が唄う歌」を披露。イントロでは山中と鈴木が向き合い叙情的なフレーズで会場を包み込むと、バンドの過去と現在、楽曲から放たれるメッセージをしっかりと受け止めようと、オーディエンスもステージを見つめ、1音1音に耳を澄ましているようだった。

 「上京するタイミングで周りの環境の変化に順応出来ない自分がいた。その時に作った楽曲」と山中は語り「リメイクセンス」を披露。山中は今まで抱えていたテレキャスターを降ろし、ハンドマイクで、その時の感情を思い出すかのように情感たっぷりに歌い上げていく。

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