福山雅治「やっぱり音楽が好き」世界の音楽に触れ再確認した本質
INTERVIEW

福山雅治「やっぱり音楽が好き」世界の音楽に触れ再確認した本質


記者:小池直也

撮影:

掲載:16年03月24日

読了時間:約9分

作曲に影響するもの

取材会で記者の質問に答える福山雅治

取材会で記者の質問に答える福山雅治

――第2回が「ブラジル音楽」を予定しているそうですが、それに関しての印象があればお願いします。

福山雅治 ブラジルのサンバの取材でしたが、サンバというのはもっと古いものだと思っていたんです。今回の取材で(分かったの)はまだ120、130年…とかですかね?

番組ディレクター 録音されたサンバからちょうど約100年です。誕生は大体19世紀中頃だと言われていますけども、そういう意味では比較的新しく100年ちょっとの歴史ですね。

福山雅治 もっともっと前からサンバはあったと思っていたんですけど、100年ちょっとということで。さらに「なぜサンバが誕生したのか」という歴史が大変興味深い。新大陸の南米に、ポルトガルが入植して開発していく時にアフリカの黒人たちを労働力として使っていって。そこで南米の先住民の自然信仰、ポルトガル人の持ってきたキリスト教、それからギターの原型である…多分リュートの様なものなどが入ってくる。その中で黒人と白人の音楽が融合して生まれたものがサンバだった。

 黒人のリズムと踊りと歌に、白人のメロディ楽器が混ざったという歴史的背景を知りました。そうやって様々な違う文化、違う民族、労働者として使う側、使われる側の間で音楽が混ざり合って最終的に親しまれるサンバに変化していくということに驚きと発見があったブラジルの旅でしたね。

――今回の交流と旅を通して改めて音楽の持つ力というものをどの様に感じましたか? また、今後の活動にどう反映させていきたですか?

福山雅治 ギターをやっていて良かったな、と思ったんですよ。もちろん歌もやっていて良かったですけれども、日本でどれだけ日本の方に知られている楽曲をいくつか作っていたとしても、やはり知られていない所に行けば当然知られていないわけです。まあ「日本人のシンガーが来た」といったって「ああ、そう」という感じだったりするんです、最初は(笑)。

 でも、今回の番組にも何度か出てきますけど、現地の音楽にギターで参加しているセッションのシーン。あそこはもう言葉は全く要らないですし、何かしらのアプローチでセッションすることができた。「あ、できるんだ」という発見もありましたね。ギターで実際にセッションすると、何か向こうも凄くリラックスして心を開いてくれるんですよ。急に認めてくれる、感じになって迎え入れてくれるんです。本当にギターをやっていて良かったなって。よく「音楽は国境や色々なものを越えていく」と言われますけども、そのことを改めて体験させてもらえた旅でした。

 それから今後の音楽ということでいうと、旅の中でも歌詞は無いんですけど「LALALA…」とか「WOWOWO…」とかでその瞬間に曲を作りました。その曲自体はどのようにレコーディングされていくかとか、まだ未定なんですけども。もう撮影も終わって「海沿いでイメージカットでも撮りましょうよ」と撮影していたらヨルング族の子供たちが水遊びしていたんです。そしたら人懐っこくて寄ってくるんですよ。「なにしてるんだろう」って。言葉は全然通じないんですけどね。僕も彼らに今回出会えて「ありがとう」「嬉しかった」「色んな発見があった」という様々な想いがあったんですけど、それを伝える術もない。

 だからまあ、何かみんなでノレる様な感じの曲でもその場でできたらと思って曲をそこでつくったんですよ。そうしたら皆盛り上がってくれて。やっぱりギターという楽器はメロディ楽器であると同時に、カッティングをすればそれがリズム、ビートになっていってというパーカッションとしての機能もある。だからシンプルだけど皆で最初に聴いたら一緒に歌ってひとつになれるような曲を改めて作りたいなって思いました。

 デビューして、初めてのライブハウスツアーした時とかは割とそういう事を考えてたんですけど。曲がヒットしてなくても何かライヴで初めて聴いて一緒に歌えるような歌ですね。本当に20年ぶりくらいにそういう曲をつくりたいなってできた曲もあります。多分そういうのが作曲とかに影響してくると思います。

(文・小池直也)

番組情報

SONGS スペシャル
「福山雅治 SONGLINE ~歌い継ぐ者たち~」 第1 回 人はなぜ歌うのか?
<放送予定>3 月25 日(金) 夜 10 時~10 時59 分 NHK総合

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