ステージの佐野元春©DaisyMusic

ステージの佐野元春(C)DaisyMusic

 1980年3月21日にシングル「アンジェリーナ」でデビューした佐野元春は、昨年12月5日に京都でスタートした全国11ヶ所12本の35周年アニバーサリー・ツアーの真っ最中。ツアーは前半の公演を終え、いよいよ折り返し地点に差し掛かった。各地を興奮と熱狂に包みこんでいる35周年アニバーサリー・コンサートツアーの模様をレポートする。

 アニバーサリー・コンサートの会場に集まったのは10~20代の若い世代に加え、中高生の頃に佐野を聴いて育った40~50代の元ティーンエイジャー&ロックンロール・キッズたち。開演を告げる影アナに歓声が上がり、場内BGMに合わせて大きな手拍子がおきる。これから始まるロック・ショーを今か今かと待ちわび、早くも会場内はヒートアップ。ステージに佐野やメンバーが表れるや客席も総立ちで迎える。

 コンサートは佐野元春が走り続けてきた35年を総括するオール・タイム・ヒッツ構成。それゆえにサポート・バンドのコヨーテ・グランド・ロッケストラも、佐野の35年のキャリアから集められた盟友とも呼べる精鋭のメンバーが結集。80年代のTHE HEARTLANDからギターの長田進。90年代のTHE HOBO KING BANDからはキーボードのDr.kyOnにサックスの山本拓夫。そして00年代以降のTHE COYOTE BANDから小松シゲル(Dr)、深沼元昭(Gt)、高桑圭(Ba)、渡辺シュンスケ(Key)。そこにスパム(Per)、西村浩二(Tp)が加わった9人編成。この豪華過ぎるメンバーで80~90'sのナンバーから最新アルバム『Blood Moon』収録曲まで、次々に演奏していく。

佐野元春のライブの模様©DaisyMusic

佐野元春のライブの模様(C)DaisyMusic

 それぞれ発表された時期が違う曲にも関わらず、コヨーテ・グランド・ロッケストラにかかると、全てが同じ時代の曲のように一線に並んで違和感無く聴こえる。そんな盤石の演奏に支えられ、佐野はアコースティック・ギター、黒のレスポール、赤のストラトキャスターと持ち替え、時にはキーボード・スタンドに座り、時にはハンドマイクでステージを走り回ったりと全身全霊をぶつけたパフォーマンスを繰り広げ、集まったオーディエンスに応える。佐野本人も熱いが、向かい合う客席も異常な興奮と熱気で充満。途中、何度か「みんな凄いね!大丈夫?」と佐野が心配して声をかけるほどだ。

 佐野の通常のコンサートではアルバム曲をライブ用にアレンジし直して歌われる事が多いが、このツアーでは出来る限りオリジナルのアレンジに近い形で演奏されている。特に80年代のヒット曲が演奏されるコーナーになると、古くから応援してきたファンは大喜び。『約束の橋(1989)』のイントロが奏でられるや、感極まって泣き出す元ティーンエイジャー&ロックンロール・キッズが続出。

 「30年以上前、全国の色んな街に行ってこの曲をやると、その街のキッズ達が気にいってくれてました。それを見て、ああ、この曲を書いてよかったなぁと。この曲をずっとそばに置いてくれてた人もいたと思います!」と話し、歌ったのは1982年にリリースした4枚目のシングル「サムデイ」。イントロのキーボードが流れた瞬間、泣き出す人、ニコニコと笑い出す人、怒号のような歓声をあげる人と、様々な感情や表現が場内を錯綜し異様な空間に。サビでは全員が右手を掲げて大声で歌い全員で大合唱。

 夫婦やカップル、友だちと連れ立って来た人、単独で参加した人。互いの面識はなくても、みんながひとつになれ、同じ時代にタイムスリップして、全員がティーンエイジャーやキッズに戻れてハッピーになれる。まるで巨大な同窓会に来たような30数曲、3時間超のロックンロール・ナイトであった。

 35周年アニバーサリー・コンサートは、この後、佐野の誕生日でもある3月13日の大阪、26&27日の東京と続く。『すごいロック・ショーだよ。観なかったら損する……何か安っぽい言い方になっちゃったけど(笑)、でも、ひとことで言うと、本当にそういうこと。特にこの35周年のしめくくりとなる、東京国際フォーラム2デイズ。何かすごいロック・ショーを観たいと思ったら、ここに来るのがいちばんてっとり早い。本当にすごいから!』と語るように、ツアー千秋楽の東京公演はエラい事になりそうだ。みんなが聴きたい佐野元春が、そこにはある。

 また、佐野元春はTBSテレビ「オトナの!」にトーク・ゲストとして出演予定。放送は3月16日深夜25:31より。

<佐野元春 & THE COYOTE GRAND ROCKESTRA 35周年アニバーサリー・ツアー>
大阪公演(チケットは完売):
日時:3月13日(日)17:00開場/18:00開演
会場:大阪・フェスティバルホール
東京公演(2日公演):
日時:3月26日(土)17:00開場・18:00開演/27日(日)15:00開場・16:00開演
会場:東京国際フォーラム ホールA
チケット料金(税込):8,200円 ※3歳未満入場不可/6歳以上チケット必要。

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