奇想天外なステージの裏に見える、巧妙さ

ピアノゾンビ

ピアノゾンビ

 続くファンキーな「LET IT DIE~ゲームの歌~」、疾走するハードなロックテイストあふれる「DDD」、かと思えば、演歌的な風味すら感じさせる「骨の慶次」と、曲の引き出しも充実した様子を見せるピアノゾンビ。しかしそのサウンドの芯には、アキパンマンがしっかり歌い上げる、キャッチーなメロディがどこにも感じられる。それは歌詞の語呂を無理やり突っ込んだものではない、まさに口ずさめるような完成されたメロディ。このメロディを中心に音が作られ、かつそれを際立たせるよう、ホネヌキマンと下僕を中心にバンドが精一杯のステージを繰り広げる。そんな彼らの姿に観衆はずっと心を奪われ、最前列ではモッシュが発生するほどにフロアでは強烈な盛り上がりが発生していた。

 続いてホネヌキマンの「行くぞ!赤坂!」という叫びから「ゾンビのうた」、さらに和太鼓のプレーと、ラウド系を髣髴とさせるホネヌキマンのシャウトを絶妙にミックスした「ゾンビの祭り」と、一時もじっとさせない演出の応酬は、まったくとどまることを知らなかった。さらにダンサブルなナンバー、ハードなロックナンバー、リズムもグルービーな16ビート、前進するような8ビートと変幻自在のサウンドの中で、「敬礼!」というキーワードによる、観衆との掛け合いを行う「敬礼」など、一時も観衆をほっとさせない、パンパンに詰まったグルーブを会場に振りまいていく。

 そしてクライマックスを直前に、いまだ派手には弾けないというホネヌキマンのキーボード、その彼のピアノイントロから、バラード「ゾンビの光」へ。ふっと登場したそのナンバーを、それまで暴れまわるように彼らのステージを楽しんでいた観衆は、それまでのことがまるでなかったように、じっと耳を傾けて聴いていた。そしていよいよ大詰め。「世界平和ロックンロール」を皮切りに、キラーなナンバーを立て続けにプレーし、まさに「強化合宿」の集大成を決めるかのようなラストスパート。しかしラストは一転。この「強化合宿」をしみじみ語るようなホネヌキマンとアキパンマンのコメントよりラストは、彼のピアノによるイントロよりバラード「ウサギのうた」、そして2度のアンコールに応じ「スターダスト」にて、この日のステージは終焉を迎えた。

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