亡父への人間賛歌 ベリーグッドマン、恩返しのデビューシングル
INTERVIEW

亡父への人間賛歌 ベリーグッドマン、恩返しのデビューシングル


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年03月06日

読了時間:約20分

亡くなった厳父が残した手記「旅立ちの声」

Rover

Rover

――「ありがとう~旅立ちの声~」にはどのような思いが?

Rover 本当だったら「旅立ちの声」というタイトルで出したかったんです。僕が5歳の時に喉頭癌で父親が亡くなったんです。喉の手術を受けたので父は喋れなくて。僕は声を覚えていないんです。父は亡くなる2カ月くらい前に手紙を残したんです。そのタイトルが「旅立ちの声」で、内容は「家族みんなに感謝してるし、料理人としてもやれることは全てやったし、悔いはない。みんなありがとう」というものだったんです。

――その手紙はいつ頃読まれたのですか。

Rover 父の友人が、僕が18歳の時に手紙のことを教えてくれたんです。ちょうどトランペットを挫折した時だったので、その手紙を観て「俺、歌おう」と思ったんです。父の声が出なくなったのなら、俺が歌って恩返しをしようと。絶対プロになって良い曲を書いて「旅立ちの声」というタイトルでデビューしたいと思ったんです。で、18歳ぐらいの時に初めて書いた曲が「始まりの声」という曲で、そこから8年掛かって「ありがとう~旅立ちの声~」に辿り着けた。そのプロセス全てが父親への恩返しなんです。「これからもこの声でありがとうを歌う」という歌詞が僕の誓いであって約束だから、この歌は父親へ届けた人間賛歌なんです。

――お父さんへの感謝の歌なんですね。

Rover はい。でも、この話も曲もライブも全て観てもらって、みんなは「どう思うんだろう?」と考えた時に、それぞれの人生の出会いや別れ、転換期などひとつひとつパズルのピースを自分たちで集めてもらって、「これはどういう意味になっているんだろう」とこの曲を通して考えるきっかけになってもらえたら嬉しいですね。

――人それぞれ色々な受け取り方が出来る曲ですよね。

Rover 歌詞は凄く悩んだんです。二転三転どころじゃなくて八転ぐらいしたんですよ。メロディも変わって最後にはもう「これ自分で作った曲かな」というぐらい(笑)

MOCA 2カ月ぐらい掛かっていましたね。

Rover 出来上がった曲に対して、僕らの中ではまだ育っていないんです。もっとみんなの前で歌って発信して、みんなから色んな声を受け取って、次は自分たちで育てていかなければいけないなと思っています。ただ、その「旅立ちの声」の手紙をもらったんですけど、どこにやったか忘れちゃったんですよ。

MOCA 手紙が旅立った(笑)

――「ありがとう~旅立ちの声~」には、阿佐ヶ谷姉妹と千葉県立幕張総合高校合唱団と共演されますが、経緯は?

Rover 僕とHiDEXは吹奏楽出身なので、学生さんは吹奏楽や合唱団が身近にある青春時代の音楽だと思うんです。そんな音楽とコラボしたいなと思ったんです。あと、自分たちの曲が卒業式で歌われているのを聴いてみたいなという欲求もありました。というのもMOCAの歌を聴いて感動してくれて、MOCAのソロ曲「原始人の歌」を中学生が文化祭で歌ってくれたことがあるんです。縁もゆかりもない学校だったんですけど、「是非、観に来て下さい」とお誘いを受けたので観に行ったんですよ。中学生が「原始人の歌」を歌っているのを観て、感動して僕ら泣いてしまったんです。

――その経験があるから今回の合唱団に繋がったんですね。

Rover いろんな個性を持った生徒さんが、ひとつのメロディを一生懸命練習して歌うというのは、歌の原点だと僕は思うんです。それを生徒さんからも学びたいと思うし、聴いてみたいと思ったので提案したんです。でもやるならガッチリやろうとレーベルと事務所の方が動いてくれて、コンクールで金賞を取るような合唱団の方と歌えることになって。当初のイメージでは歌唱指導をしながら、レコーディングだったんですけど、明らかに自分たちより歌がうまいだろうという方たちで(笑)

MOCA

MOCA

MOCA 実は明日がそのレコーディングなんですよ。(※取材日は1月27日)

――阿佐ヶ谷姉妹はどのような経緯で選ばれたのですか。

Rover 僕は、感動と笑いは通じるものがあると思っているんです。なので、お笑い芸人の方とも一緒にコラボが出来たらなと思い、提案したんです。そうして、スタッフがオファーしてくれたのが阿佐ヶ谷姉妹さんで「また自分たちより歌うまい人が来てしまった」という(笑)明らかに自分たち3人が、一番歌が下手だという事態になってしまって。

――3月から始まる全国ツアー『ベリーグッドマン“てっぺんとるぞ宣言”ツアー2016~超好感男の進撃~』へ向けて意気込みを。

Rover 今年の春から第三弾の全国ツアー、メジャーデビューして初のワンマンツアーをやります。サブタイトルが「超好感男の進撃」なんですけど、これは「攻めのベリーグッドマンで行くぞ」という思いが詰まっていて、「てっぺんとるぞ」というのは、僕らのてっぺんは大阪城ホールでライブをすることなんですけど、凄く売れるというのも大事なことだけど、それよりも今までお世話になった沢山の方々に、自慢してもらえるような人間になって恩返しできたらなと思っているんです。ベリーグッドマンという名前で、名は体を表すじゃないですけど、めちゃめちゃイケてる3人組になりたいと思いますので、これからも応援よろしくお願いいたします。

MOCA まずは、武道館ではなく大阪城ホールで“てっぺんとるぞ”という思いで、3月からのツアー頑張っていきたいと思います。

(取材・村上順一/撮影・木村陽仁)

RoverとMOCA

RoverとMOCA

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