亡父への人間賛歌 ベリーグッドマン、恩返しのデビューシングル
INTERVIEW

亡父への人間賛歌 ベリーグッドマン、恩返しのデビューシングル


記者:村上順一

撮影:

掲載:16年03月06日

読了時間:約20分

メジャーデビューするベリーグッドマン。大阪仕立てのパフォーマンス力と、音楽の経験と実力を兼ね備えている

メジャーデビューするベリーグッドマン。大阪仕立てのパフォーマンス力と、音楽の経験と実力を兼ね備えている

 大阪出身3人組ボーカルユニットのベリーグッドマンが、3月9日にメジャーデビューシングル「ありがとう~旅立ちの声~」をリリースする。メンバーはRover(Vo.Gt.Tp)、MOCA(Vo.MC)、HiDEX(Vo.Pf.Gt.Perc.TrackMaker)。13年11月15日に結成。14年発表のインディーズ1stアルバム『Sing Sing Sing』がiTunesアルバム総合チャート6位、レゲエチャート1位を記録するなどデビュー前から人気を集める。地元大阪でストリートライブ活動の下積みを重ね、観衆を惹きつけるパフォーマンス力を養っていった。それは彼らの礎ともなり、どのライブも大盛り上がりだ。そして、満を持してリリースする今作はRoverが5歳の頃に他界した厳父が残した手紙から生まれた曲だ。今回はメンバーのうち、RoverとMOCAにインタビュー。ソロ活動からグループ結成までの経緯、今作の制作秘話などを聞いた。

ビートルズの影響で音楽を始めた

Rover

Rover

――メジャーデビューが決まって今の気持ちはいかがですか。

Rover 小さい頃からの夢だったので嬉しいですね。でも、いざメジャーデビューとなると、プレッシャーのほうが大きいかなという感じです。皆が喜んでくれるような新しいアイデアはないかな、とか、建設的なことを考えすぎて、嬉しさはどこかにいってしまいますね。なので、今は頑張るぞという気持ちです。

――メジャーデビューの夢はいつから?

Rover 小学5年生ぐらいですね。ビートルズの影響で音楽を始めたんです。その影響でマッシュルームカットをずっと続けているんですよ。

MOCA えっ! そうなの。知らなかった(笑)

Rover あんまり言っていないんでね(笑)ジョン・レノンが好きなんです。当時、ロンドンブーツ1号2号さんの番組で、田村淳さんがピアノでビートルズの曲を弾いていたんですよ。その曲に感動して「これ何というタイトルの曲だろう」と探していたら「LET IT BE」だったんです。そこからビートルズに憧れて音楽を始めたんですけど、その時からプロになりたいと思い始めていましたね。

――早くしてプロの夢を抱かれたんですね。

Rover 3、4年生くらいの時は吉本興業に入ってお笑い芸人になりたいと思っていました。淳さんの「LET IT BE」を聴いて、その夢は一瞬で消えましたね(笑)

――MOCAさんはいつ頃から音楽を始めたんですか。

MOCA 僕は18歳まで野球をしていて、それをやりきった時に今まで励まされていた音楽を発信する側になりたいなと思って始めました。その頃はただ単に有名になりたくて「メジャーデビューを俺は絶対にする」とずっと言い続けていましたね。いざメジャーデビューというタイミングとなって「ヨッシャー」というよりかは、どんな曲を作るべきなのか、どんな人に歌っていくべきなのかを考えるので、嬉しさというよりかは…「いっちょやったるで~」という気持ちです。

ベリーグッドマンの前身、西村アコースティックス

MOCA

MOCA

――結成の経緯は?

Rover 最初は、僕とHiDEXが「Roofy」というユニットを一緒にやっていたんですよ。ここでは何も生まれなくてメジャーに行ける気配もなく、動員も微妙な感じで。MOCAはソロで活動しながらも、クラブで働いて、そこでMCをやったりしてました。そして、「Roofy」が解散となって、MOCAをみた時に「凄い奴がいる! こいつはパーティーピーポーや」と思って(笑)自分に今までなかったものを学べると思って、ずっと一緒にいたんですよ。

MOCA 2カ月間、毎日鍋してたな。

Rover 毎日、ゆずチューハイ飲んで。それが理由で、当時同棲していた彼女が部屋を出て行ったんですけど。

MOCA 彼女のベッドで僕が毎日寝ていたから…。「なんであんたいるの!!」って言われて(笑)

Rover そのぐらい深い関係になって、「こいつら付き合ってるんじゃないか」というところまでいってしまって(笑)それをみていたHiDEXが「なんか、あいつら楽しそうだな」と、音楽ってそういうことなんじゃないかなと彼が気づいて今があるという感じですね。

――最初はMOCAさんを2人がプロデュースしていたんですよね。

MOCA 僕のソロCDを作ってもらう時に、トラックメイカーはHiDEXにお願いしたいと思ってRoverに相談したら「わかった」と言ってくれて、そこから3人でスタジオに集まって作り始めました。

――それは「原始人の歌」ですよね。この曲をベリーグッドマンでのライブで披露したことは?

Rover 「原始人の歌」は前回のワンマンライブでやりましたね。

――ソロでやっていた時の曲は他にもありますか。

Rover 僕とMOCAがソロでやっている時は「共同制作しよう」と言って作ったのが「ミクロコスモス」という曲で、これは、インディーズ2枚目のアルバム『SING SING SING2』に入っています。

――ここから3人でのスタートになるわけですね。

MOCA ここから、アコースティックライブをよくやるようになって。Roverが「西村アコースティックス」というチームを作っていて、ソロの集合体なんですけど。そのイベントで3人がソロで出演することになって、最後にセッションコーナーがあってそこが最初ですね。

Rover 僕が西村という苗字なんですけど、西村アコースティックスというソロのシンガーソングライターのチームを作って、更にプレイヤーも集めて、おしゃれな小さなカフェとか路上で、最悪、電気が通ってなくても出来るというのを売りにやっていたんです。MOCAはその時、楽器が弾けなかったので、僕がサポートでアコギを弾いていたんです。HiDEXは楽しいことが大好きな男なんでカホンを叩き出して、そこにベースも入れちゃおうとなって、ひとつのバンドみたいに広がっていったんです。

――アコースティック楽器がベリーグッドマンのサウンドに絶妙に入っているのは、西村アコースティックスがあったからなんですね。

RoverとMOCA

RoverとMOCA

Rover そうですね、そこは僕に先見の明があったというか…。

MOCA 自分で言うな(笑)

――先見の明というのは?

Rover その当時からアコギとかアコースティック楽器をフォーカスしていた部分がありまして、演歌やEDM、どんなジャンルでもアコギの需要が増える時代が来ると思っていたんです。そういう風に思っていた2年後くらいにAvicii(アヴィーチー)が「Wake Me Up」というEDMの楽曲にカントリーギターを乗せてきたんですよ。それを聴いて「うわっ!きた!俺の時代だ」と思いまして(笑)

――それは先見の明があったと言っても良いですね。

Rover まあ、それは冗談だとして(笑)僕は基本的に弾き語りをやりたかったんです。実はベリーグッドマンみたいなサウンドは好きじゃなかった(笑)でも、僕とHiDEXの間にMOCAが入ってきたことによって、新しい気持ちが芽生えたんですよね。自分が育ててきた音楽性をベリーグッドマンのようなサウンドに放り込んだらどうなるんだろうと。

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