宮本佳林、オーディションを落ち続けた時期を振り返る
INTERVIEW

宮本佳林、オーディションを落ち続けた時期を振り返る


記者:編集部

撮影:

掲載:16年01月27日

読了時間:約17分

コピンク楽曲への思い、一生に残る宝物

吉田豪 それぞれにコピンクとクインセとして楽曲を歌われていますけど、楽曲にどんな思いがありますか?

宮本佳林

宮本佳林

宮本佳林 1曲まるまる自分の曲がもらえると聞いて、びっくりしちゃったというか、コピンクだけど自分が歌わせてもらえるというのにびっくりしました。毎日「カリーナノッテ」をかけていたし、どこにいても聴いていましたね。まわりが、デビューしていくなかで、自分自身への自信がどんどんなくなっていって、自分の魅力は何なんだろうな、どういうふうに頑張ればいいんだろうとかを考えていて。

 でも、そうしたなかでも「コピンクで歌っている佳林ちゃんの声を聴いてすごく元気になれたよ」と言って下さる方も多く出てきて、私はやっぱり声で、歌で何かを伝えて元気になってもらえる人にならないといけない、ということを教えてもらいました。1曲1曲にすごく重みがあるというか。

 曲を書いて下さった依田(伸隆)さんはもちろんなんですけど、作詞して下さる雨子さんの歌詞は、私のその時の状況を理解していてくれて、心情にめっちゃ合っているところがいっぱい散りばめられていて、もう特に「リバース」はあきらめないで頑張ったから夢が叶ってJuice=Juiceに選ばれて、新しい一歩を踏み出すというところまで詞になっていて、いま歌おうと思っても一つ何か魂をぐっと入れないとその曲に負けてしまうというか、ついていけないみたいな感じがしていて、一生に残る宝物になっています。

吉田豪 いい話じゃないですか! 児玉さん、それぐらいの思いを込めて作詞したんですか?

児玉雨子 私の中で手応えのある歌詞ほど、書いている時の記憶がないんです。なので「カリーナノッテ」も“ここをこうやりました”というのはあんまりないんですよね。後から言ってもらって“ああそうだったかもしれない”と。逆にライナーノーツがいっぱい出てきちゃうとあんまり良くないのかなと思っていて。でもすごく嬉しいですね。そこまで言って頂けるのは。書いていて気が引き締まりますね。

吉田豪 本当に素晴らしい曲だったじゃないですか。当時は配信限定だったから、その割には世間に広まっていない感じもありましたけど。

吉田豪

吉田豪

宮本佳林 ずっとダウンロードチャート1位を頂いていて(編注※2012年 Amazon MP3ダウンロード数上半期2位になり、当時音楽誌などでも「このコピンクって何者?」と話題になった)、皆さんからも聴いているよとか。色んな人から言ってもらえるし、握手とかしていてもやっぱりこう「カリーナノッテ」はいいよねとか言ってもらえる。そういうのが自分でもすごく嬉しかった。今もやっぱり自分のなかで自信を失ったり、自分の声の魅力って何なんだろうな、と思うときに聴き返すのは「カリーナノッテ」ですね。

吉田豪 そんな配信曲の数々がミニアルバムとしてCD化されることになって、CDが先行発売された日の午前中に静岡でコピンクとしての初ライブ兼卒業ライブがあって、その日の午後にパシフィコ横浜に戻ってJuice=Juiceとしての初ステージという流れがすごい良かったんですよね。

宮本佳林 こんなに幸せでいいのかって毎回思うんですよ。現場に行くたびに幸せな空間というか、本当に皆さんに支えてもらいましたし、いい意味でこうしたらいいんじゃない、ああしたらいいんじゃないというのもあるし、そういうのが自分のなかでも勉強になりました。いまの宮本佳林では出せない何かがそのときの宮本佳林にはあったのかなとすごく思うので、そういう面では絶好のタイミングで楽曲やいろんな成長の機会を頂けたんだなと思いますね。

吉田豪 荻野さんはどうですか。

荻野可鈴

荻野可鈴

荻野可鈴 私はソロ曲のあと、夢アドで「ハナモモ」という曲を歌わせて頂いて。

吉田豪 児玉さんが作詞した、あの曲も最高ですよ!

荻野可鈴 夢アドの代表曲で、本当に可愛らしい曲だし、私がナレーションする時にそれが流れていて、自分たちの曲を番組とかで使ってもらえるのも初めてだったから、すごいテンションがあがりました。自分たちの曲が入っている映像に自分の声が入っているという快感。私いま芸能人みたいな事をしているとすごいその時に思っていて。

吉田豪 あまり芸能人と実感することはないんですか。

荻野可鈴 なかったですね。テレビに馴染みがなかったので、そこに夢アドの曲が掛かるだけでも嬉しいのに、更にそこに自分の声でナレーションをやっているという喜びもあって。ソロ曲も、佳林ちゃんも言っていましたけど、私の心情に合った曲で、曲を作るときに雨ちゃんに色々な話をして作ってもらったので、なお私に近い歌詞になっているから、私も落ち込んだりしたら聴きますね。私は歌うのは下手だけど、この時の私がいたから今の私もいると思っていて。こんなことで悩んでいたなという悩み事とかも想い出すし、過去を思い出させる曲になっているなと思いますね。自分に寄り添っている歌詞だなって。ほんと雨ちゃん、本当にすごいなって。

吉田豪 ちゃんと打ち合わせもされていたんですね。

荻野可鈴 そうですね。結構ね。

児玉雨子 夢アドさんの時に志田友美ちゃんのソロ曲も書いたんですけど、その時もすごく話は聞きました。宮本佳林ちゃんは逆に話さない方が良いかなと思って距離を置いたんですよ。こっちが色々アプローチするより、佳林ちゃんの表現力に任せた方が向いているだろうと思い。反対に、荻野さんは話した方がいいなと思って。いろいろ聞いたよね。

対談の様子

対談の様子

荻野可鈴 今朝も、雨ちゃんが作ってくれた(夢アドの)「どこにでもいる、至って普通」を聴いていて、1人でエモくなっていました(笑)雨ちゃんが書いてくれる歌詞は歌った当時の環境や気持ちを想い出せるし、今聴くからこそ思う気持ちもあって。結構考えさせられる曲が多いです。素敵だなと思います。

吉田豪 宮本さんは「私も児玉さんと話したかったのに!」的な思いはありますか?

宮本佳林 でもお話ししたとしても、当時は年齢的に考えていることがしっかりしていない部分もありましたし、私自身は頂いた曲からその世界観を想像するのが楽しいと思う方なので。歌詞をみても確かにあれだなこれだなって思うことが多いなと思うし、多分、いろいろと思って書いてくれているんだろうなと、私自身が想像していることと一緒だなと感じるところも沢山あって、そういうふうに考えて下さったんだなと知ると凄いなと思う。

児玉雨子 荻野さんとは年齢差もそれほどなくて、でも宮本佳林ちゃんは5つ離れているから10代と20代前半の違いは大きくて。逆に緊張しちゃって。

吉田豪 宮本さんも「雨ちゃん」って呼んでみたかったと思いますよ!

(後編は2月3日公開)

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