“浦ちゃん”桐谷健太の曲なぜヒット?

桐谷健太が扮する“浦ちゃん”こと浦島太郎。三線で恋歌を弾き語る

 俳優の桐谷健太(35)がテレビCMで演じている“浦ちゃん”こと浦島太郎が歌う「海の声」が音楽配信チャートで上位にランクイン、これまでに40万ダウンロードを記録するなど話題だ。その“浦ちゃん”が22日夜、楽曲の“生みの親”であるBEGINと『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)でコラボ、同曲を披露した。この競演は放送直後からネット上で話題に。関連ツイートは1万件超にものぼり「違和感ない」「良かった」という声を得て、“歌手”としての株をあげた。

 MCのタモリに対し「心を込めて歌いたいと思います」と意気込んだ桐谷健太は、凛とした表情でステージに望んだ。「華やかでテンションが上がってます!」と、Mステに対しての気合いも十分。今回共演するBIGINとの関係はというと、「初対面ですでに朝まで飲みに行った」という程の“仕上がりっぷり”を語っていた。

 いざ、桐谷とBEGINによる「海の声」。桐谷は三線を構え、凛としたスーツ姿のいでたち。眼の輝きはカウント・インでスイッチが入った。第一音を、2本の三線とアコースティックギターがアンサンブルした瞬間に、自然に、スッと、楽曲の温かい世界に入り込み、視聴者を惹き付けた。

 ツイッターでは「BEGINのコラボ違和感なさすぎでしょ…」という、ひねりや奇をてらった魅力とはまた異なる「真っすぐな格好良さ」を醸す桐谷の姿に感銘。オーガニックな魅力が滲むBEGINとのベストマッチな相性を評価する声が上がっていた。

 「海の声」を歌う桐谷は、表情、眼の輝き、歌声、つま弾く三線の音色、「その全て」で感情表現をする。百戦錬磨のミュージシャンでも、名だたる表現者でも、動作、表情、物腰、演奏、歌声、その全てに感情を乗せるのは容易ではないはずだ。

 しかし、桐谷は、それら全てを「ごく自然に」、役者として演じるように、はたまた本音でぶつけるように、人々に向けて発する。結果、多くの人々の心の最深部まで届く演奏を魅せる事となったのだろう。

 それは、視聴者からリアルタイムで上がった「期待していなかったけど良かった」「丁寧に歌っているのが伝わってくる」などの数多く声として反映していた。

 なかには「彼は俳優だ。今は『歌手』を演じているんだ」という、もっともな意見も上がっていた。演じているのか本気なのかは当人にしか知り得ないが、桐谷健太の最も特筆すべき魅力は、「役者」として演じていたとしても、彼の根底にある人間的情念は止めどなく真っすぐに溢れ、人々と深く共鳴するという事だ。

 その温かく、優しく、ワイルドな人間性は、今回の生出演「海の歌」の歌唱を通じて、美しくもカッコ良い感情として視聴者と共鳴した様だ。

 演奏を終えた桐谷健太は最後に、「最高に刺激受けましたし、篠原さん(作詞者)とBIGINさんと浦島太郎に感謝です」と、感謝の意をストレートにコメントし、“BEGINと桐谷健太”としてのMステ初出演を締めくくった。(文・平吉賢治)

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