英バンド、Radiohead(レディオヘッド)のフロントマン、Thom Yorke(トム・ヨーク)が手紙の日と称される今月7日にサンタクロースへの手紙を綴り、話題を集めている。

 この手紙の日は、英語で「National letter writing day」。由来は定かではないが、豪写真家のRichard Simpkinが著名人に手紙を送り、撮影やインタビューを行った彼の05年の著書『Australian Legends』から始まったとされる説が有力。

 トム・ヨークの手紙は毎年3月に英ロンドンで行われている、著名人が手紙を朗読するという、チャリティイベント、Letters Live(レターズ・ライブ)のキャンペーンに送られたもので、英バンドPulp(ぱるぷ)のフロントマン、Jarvis Cocker(ジャーヴィス・クッカー)や、英俳優のBenedict Cumberbatch(ベネディクト・カンバーバッチ)など多数の著名人による手紙が寄せられている。

 そのトム・ヨークの手紙を以下に紹介したい。

 親愛なるサンタクロースへ

 僕があなたに手紙を書いて、随分月日が経ちました。あなたが変わりなく、まだラップランド(ヨーロッパ最北部の地域)でも雪が降り積もっているといいんだけど…

 こちらはほとんど雨ばかりです。まだ厚い上着を着る天気じゃないかな。でも、すでに店ではクリスマスソングがかかってるよ。(この状況は)きっと、あなたにばつの悪い思いをさせてるよね?

 今年は特に忙しくなると思う。

 だって、現在では、僕たちみんな、少しあなたに期待しすぎてる部分があると思うから。それにテレビではあなたの偽者で溢れてるしね、もちろん、街中にも…

 あなたに最後に手紙を書いたのは…僕が9歳の時でした。僕は、できるだけ良い子でいるよう努めたけど、時々、大失態もあったように思います。大体、正直に生きてきたけど、しばしば、嘘をついて喜んでいたこともありました。でも、僕はいつも愛をもって人に接してきたし、決して、誰かを傷つけようとしたことはありません。

 だからサンタさん、僕が言いたいことは…

 今、僕は47歳になりました。もしも、まだ僕が最期にあなたにお願いできるなら、ちょっとだけ聞いて下さい。

 僕の子供たちが、愛と思いやりに満ちた、素晴らしいクリスマスを過ごせますように。

 できたら、ホワイトクリスマスだと素敵です。あと、貴重な物を彼らに送って下さい、彼らにとって意味のある物を。それから希望と未来を。これはとても大事なこと。

 僕はあなたに社会問題の解決は望みません。それは、僕らだけの問題だから。

 あ、でも、今年は石油会社の執行役員と、その利権に関わる政治家にプレゼントを贈るのは、止した方がいいよ。

 僕? 老眼鏡がいいな、青いやつ。

 愛を込めて

 トム

 追伸

 11歳の時に貰ったzx81(1981年にスコットランドで製造されたタイメックス社のホームコンピューター)、ありがとう。最高だったよ。

 なお、トム・ヨークは12月4日に仏パリで行われた、Pathway to Paris concert(パスウェイ・トゥ・パリス・コンサート)で来年にも発表される予定の、Radioheadの新作に含まれるとみられる、新曲を披露している。(翻訳、文・松尾模糊)

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