「渋谷のラジオ」記者説明会(1)

記者説明会に出席した左から箭内道彦と谷村新司、野宮真貴。谷村新司はラジオの可能性を「一番下って最高じゃん?」(撮影・桂 伸也)

 クリエイティブディレクターの箭内道彦が代表を務める新たなコミュニティFM「渋谷のラジオ」が2016年春に開局する予定である。その記者説明会が3日、東京・渋谷のスタジオ開局予定地で行われた。この日は、パーソナリティの予定となっている歌手の谷村新司と野宮真貴、そして監事を務める渋谷区商工会連合の大西賢治会長が出席した。

 「渋谷のラジオ」は、渋谷区を放送エリアとするコミュニティFM局。箭内が理事長を務めるNPO法人CQが運営を行う。開局のいきさつについて箭内は「3年前まで渋谷にもコミュニティ放送局はありながら閉局、それをもう一度やるなんて無茶じゃないか? というお話もいただいてましたが、やはり渋谷、さらに全国にむけて発信できる発信メディアの必要を強く感じ、敢えて挑戦をしたいと考えました。よりよい渋谷が全国に波及できるような、新しい風を作っていきたいと思っています」と語った。

 局の運営は「『渋谷のラジオ』市民ファンダー(出資者)」と銘打った個人の出資者を募りながら、さらに有志の企業などのサポートも募り、運用基盤を固めていく模様。最初にファンダーとして名乗りを挙げた箭内に続き出資を行ったのは、箭内の友人でありミュージシャン、俳優の福山雅治。

 福山の出資に対し箭内は「長い間ラジオを続けている福山さんは、“だからこそのラジオ愛”と、災害時の情報伝達に大きな威力を発揮するコミュニティFMというものを、普段から多くの人に聴いていただくお手伝いができればということで、出資をしてくださいました」とその経緯を説明。

「渋谷のラジオ」記者説明会(2)

記者説明会に出席した左から箭内道彦と谷村新司、野宮真貴、大西賢治会長(撮影・桂 伸也)

 実際の運営上では「まだ番組でしゃべってもらうとか、番組をプロデュースしてもらうとかいうのは、まだ打ち合わせを重ねているところですが、例えばアイデアを出してもらうとか、何らかの形でラジオには関わっていただく予定です」と、今後福山も活動に絡んでいく旨を語っていた。

 この局で放送される番組は、その福山が発案したという、学校の「部活」というコンセプトで制作、番組はその部活名が名付けられる予定。現在予定されているパーソナリティは、この日出席した谷村、野宮の他に、ミュージシャン、芸能人ではホフディランの小宮山雄飛、HKT48の指原莉乃、BRAHMANのTOSHI-LOW、女優の樹木希林などの名が連なり、一方で渋谷に根付いた名物人的な人材など多彩なラインアップが出揃う。

 渋谷を「自分の青春があふれている場所」と語る谷村は、ラジオの可能性に対し「たとえばテレビの視聴率みたいなレーティングとか、そういうものから解き放された(ラジオという)場所で、誰とも争うことなく素敵なものが生まれていったら、それは渋谷にとっても素敵な出来事になるんじゃないでしょうか」とあくまでクリエイティブな方向での意向を語りながら「現在、ラジオって広告の影響力って最低とも言われていますが『一番下って最高じゃん?』って思うんです。それは逆に『次に来る』メディアであるとも言えるし」と、開局への期待の思いを語っていた。

 音楽ユニット、ピチカート・ファイヴの3代目ボーカリストを務めていた野宮は、90年代にJ-POP界を席巻した「渋谷系」ムーブメントの一翼をになう存在として活躍しており、渋谷とは切っても切れない存在。自身の活動目標でもあり、局での活動の一つと考えている方向性として「渋谷系スタンダード化計画」という目標を掲げていることを野宮は語った。

 その真意について野宮は(ピチカート・ファイヴで歌った曲は)もう20年も過ぎ、当時の曲をスタンダードとして歌ってもいいのではと思うんです。渋谷系って、過去の名曲をリスペクトして自分たちなりに発信していたというのもありますので、ルーツとなる曲も歌い次いでいくという活動もしていますし」と明かした。(取材・桂 伸也)

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