セプテンバーミーが繰り出す「3人ならではのサウンド」とは
INTERVIEW

セプテンバーミーが繰り出す「3人ならではのサウンド」とは


記者:編集部

撮影:セプテンバーミーの魅力とは[1]

掲載:15年11月19日

読了時間:約16分

意識が一番変わったのが「感謝」

撮影・ヨコマ キミヨ

撮影・ヨコマ キミヨ

――新しいアルバムのお話をうかがえますでしょうか? 「Godspeed you!」というタイトルはどのような意味なのでしょうか

土肥 「あなたに幸運あれ」という意味なんです。自分がこのアルバムを作っていたときに、いろんな出会いがある一方で別れもあって、どちらかというと別れの方が多くて。自分の素直な気持ちを歌詞にしたら別れにちなんだものが多くなったので、タイトルもそういった別れを意味するものにしようと思ったんですが、「別れ」ではなく「送り出す」という前向きな気持ちも込めたかったので、このタイトルにしました。

――響きだけだと、ちょっとオシャレな感じですね。全般に聴くと速い曲、ミディアム、尖った感じからバラードもありと、5曲でもバラエティに富んだ感じがします。一方で詞に関しては先程言われたシューゲイザーという指向が感じられますね。1曲目の「トケナイヨル、マジラナイヨル」は、まさにシューゲイザーっぽい雰囲気で、わりと爽やかな感じなのに、詞はわりとシリアスな感じというか

土肥 そうですね。最近音楽を聴く人って、やっぱりYouTubeでMV曲を聴くじゃないですか。YouTube上げている僕らの楽曲はテンポの速い曲が多いので、そういうイメージをもたれている人って多いと思うんですけど、「そうじゃないぞ!」という。俺たちはこういう曲も作るし、YouTubeに上げているのが全てじゃないぞっていうのも見せたかったので、敢えて1曲目にこの曲を持って来ました。

――2曲目「幽霊ダイブ」は、以前からライブでは演奏していた曲ということで、アルバム中の他の曲とはちょっと違う感じではありますが…他の曲が、わりと主観的なイメージで書かれているのに対し、この曲だけが何か幽霊との物語みたいな。ユニークな内容ですが、このお話を書いたエピソードみたいなのがあるのでしょうか

土肥 いや、そういう実体験はないけど、オカルトが大好きで、自然に幽霊の歌を歌いたいなと思ったので作りました。

――そうでしたか。でも内容的にはどちらかというとファンタジックな物語に感じられますよね

土肥 そうですね、たとえば、すっげぇカワイイ幽霊が出てきたら、俺はどう思っちゃうんだろう?って所から作ってみました。

――ちょっと会ってみたいですよね(笑)

土肥 でしょ?だからそんなイメージを書いてみたんです。

――気になるのは、サビの部分で「問題です」というくだりがありますが、これは何のことなのでしょうか

土肥 幽霊と仮にうまく行くというのはどういうことなのかな? って考えたんですけど、幽霊と出会って恋に落ちたとしても、やっぱりその先ってないじゃないですか…。いずれ来る別れを、どう別れるか? という俺なりのイメージを、その後に込めた感じです。

――面白いですね。なるほど深い雰囲気もある。3曲目の「ロックスターにあこがれて」に関しては、土肥さんのライブにかけた熱い感じ、みたいなイメージが見られます

土肥 今まで47都道府県でツアーをやってきて、その場所場所でいろんなお客さんと出会って得たものをちゃんと曲で返したいなと思って作りました。俺らなりの感謝の気持ちを込めた曲です。

――そうですか。わりと本当に素直に自分の気持ちを出しているなという感じはありますね。感謝という部分は深い。4曲目の「僕らのイノセンス」はわりとパンクな感じもありますし、5曲目の「ぐらぐら」はゆったりとしたバラード。自分の内面としてこれだけいろんな面を出されているのは本当に面白いですね。このアルバムでは、どんな雰囲気をお客に感じてもらいたいと考えておられるのでしょうか

土肥 そうですね…以前は「ライブで生き残るためにはこういう曲が必要だ」という思いが大部分を占めていて、主体性がなかったところがありました。でも今回は自分が聞きたいと思う曲を作れたし、素直な気持ちを歌詞に乗せられたので、聴いてもらった時にそれを感じてもらえたら、それでいいのかなと思っています。

――では素のまま見て欲しい、という感じですね

土肥 そうですね、それに尽きます。

――先程楽曲のバラエティ性という部分を挙げましたが、それについては何かアイデア出しに工夫もあったのでしょうか

土肥 もともと「幽霊ダイブ」でMVを作りたいと思っていたんですよ。で、自分の中である程度設定やシナリオを考えていたときに、それとリンクするアー写にしたかったんです。だからMVはその学生服で出ているんですけど、アー写はその布石という意味ですね。MVを見たときに「あ、そういうことだったんだ」と思ってもらえるようにしたかったんです。

撮影・ヨコマ キミヨ

撮影・ヨコマ キミヨ

――では最後にこのアルバムのリリースやツアーなどのアピールを含め、今後の意気込み的なところをコメントいただければと思います

ココナッツ よく言われることではありますが、「バンドは生もの」と(笑)。そのときそのときに、バンドのその姿が出ていると思うんですが、このアルバムというのは今の自分たちが一番色濃く出ているものです。だからそういったところを感じて聴いていただければと思います。そこから別の作品を聴いてもらうのもいいですし。

岸波 私たちの一般的なイメージとして、前作の『YES!YES!YES!』がかなり強いと思うし、そこから入った人がこれを聴いたときにどう思われるかは、実はドキドキしています。最初に聴いたら「あれ? 前回の方がなんかノリが良くてライブでよくやっているし」と思われるかもしれない。だけどスルメじゃないけど、よく歌詞カードを見て、曲を聴いていろいろ感じてもらえれば、また聴こえ方も変わってくるんじゃないかと思う。このアルバムを持ってこれからのライブにもガンガン行きますので、そこでそんなことをいろいろ感じでもらえれば嬉しく思います。

土肥 僕はこのアルバムを作るにあたって、今までの意識と比べて一番変わったのが「感謝」という気持ち。今までは当たり前だと思っていたことが、実は当たり前じゃなかったんだということをすごく痛感しているし、そこにかかわった人たちに向けて思いを発信していかなければいけないと思う。そしてそういう人たちに届けられるバンドにならなければと、すごく思っているんです。今回の「Godspeed you!」ツアーは、今のセプテンバーミーを皆に伝えていきたいと思いますが、その一方で全国のいろんな人からもらった気持ちとか、自分たちが感じたものを違った形で、また次のアルバムや、これからの活動の中で表現していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします!

(おわり)

この記事の写真
セプテンバーミーの魅力とは[1]

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事