“グドモ”楽曲の秘密
――ところで、グドモの曲には、歌詞が暗くてもサウンドは明るいものが多い気がします。暗い雰囲気の楽曲をどういった手法で表現しているのでしょうか
金廣真悟 基本的にはライブを意識して作るのは大前提なんですけど、そこと歌詞はあまりリンクしていないんですよね。最終的にポジティブと言いますか、喜劇であれば良いなと思うんです。
――歌詞とサウンドは別物?
金廣真悟 結果的に1つのものなんですけど…難しいな。凄いフィットさせる曲もあります。例えば「低気圧」とか「飛行機」とか。
――一般的に曲を聴いてから歌詞を読むという人が多いと思います。聴いている人に引っ掛かるフレーズや単語をあえてチョイスしている
金廣真悟 そうですね。「ディスポップサバイバー」とかもそうですけど、何かしら耳に引っ掛かるのはとっても大事だと思っています。そういう引っかかるフレーズ、メロディの力も加わって、響き方や聴こえ方が変わってくると思うんです。その言葉とそれを置く場所は考えますね。
――これだけ多くの作品で歌詞を書かれていて言葉が枯渇することは
金廣真悟 しますね。でも、できるだけ色んな勉強しています。それでも言葉はたくさんあるし、「ディスポップ」もそうですけど、言葉を作ってしまうことも最近はいいかなと思います。通じる程度にというか。言葉は進化するものでもあるので、作るのはアリかなと。
――「コピペ」という言葉のセレクトはインパクトありますね
金廣真悟 「コピペ」はたまたま引っ掛かったんです。普段は普通に使うんですけど、ミーティング中にたまたまこのワードが飛んできて「コピペという題名は良さそうだな」と。それですぐに作りました。「コピーアンドペースト」というのは模倣みたいな意味といいますか、そのようなイメージがあって、当時すごく嫌いな人がいまして、人のモノマネばかりして、さも自分の物のようにしているという。それもあって「コピペ」という言葉を聞いた時に、その人を題材にしたいな、と考えて、曲自体は結構すぐにできました。
――皮肉めいた歌詞だったんですね
金廣真悟 そうですね。最初の歌詞は、散々言ってる内容だったんですけど修正を重ねて、今くらいになりました。
――グドモは2007年に大転換を行いました。それまでは英語詞だけだったのに、日本語詞に切り替えました。メロディやサウンドそのものも変化した
金廣真悟 当時やっていたのがメロコアでそこからエモが派生して、激しいものからより表現するものに変わっていって、ライブのやり方も、あまりMCをしないで曲間はインストとかで繋げて、例えば「低気圧の夜」みたいな曲だったら、雨の日で失恋して引きずっているみたいなものを音楽だけで表現するというのをやっていました。当時は若かったのもあるんですけど、自分が表現していることを押し付けていたと言いますか、そこのライブに来ている全員に「解ってくれ!」みたいな気持ちでやっていたので、悲しい曲をやってるのに楽しそうに笑ってる奴がいるみたいな状況が嫌で、「何も伝わってねえな」とか思って。今から考えてるとその気持ちは分かる。けど、当時は凄く嫌で。
――「伝わっていない」と
金廣真悟 「何も伝わっていないのは何でだろう?」と思って、自分が英語があまり得意じゃないのもあるけど、単純に言葉の壁があるなと思って、俺は日本語にしたいなと思ったんです。そのタイミングで他のメンバーも同じふうに「日本語にしてもいいかな」と違う理由で各々思っていて、そのタイミングが一緒だったんで日本語にしようとなりました。でも、なかなか上手くいかなくて活動休止する事になったんです。そこから「停滞しても駄目だな、ライブしよう」というのでライブをし始めて。メロディは、その頃はミスチルとかサザンとかを意識してと言うか、対等にできることを意識して作っていたので、英語詞の頃とはメロディや曲の作り方は違ったように思います。そこからまたライブバンドとしてペギが入って活動し始めるようになってから、逆に英語詞の頃にやっていた時のリズムとか曲の作り方の感性でやることもあるので、今と昔がメロディの感じが似ているかと言われたら、似ているように感じます。
――転換期だったんですかね
金廣真悟 転換期ですね。
――今回の武道館は転換期? あるいは通過点?
金廣真悟 通過点ではありますけど、武道館は武道館なので、大事なものとして通過できたらいいなと思います。もしかしたら転換期になるかもしれないし、そうではないかもしれない。そこはあまり意識はしていないで挑みたいですね。あくまで、今までちゃんとやってきた歴史を振り返りつつと言いますか。この日が大事な日というのは変わらないと思います。
――結成当時を振り返ることはありますか
金廣真悟 特に今はありますね。武道館公演のインタビューというか、やはり色々と聞かれるので、振り返ったりはします。
――不安などはありますか
渡邊幸一 バンドが上手くいかない時期というのは、それこそ何も考えていなかったというか。今はチームで物事を考えてやっているので、不安なことは不安であるんですけど、ちゃんと考えてやっているので、最善を尽くすのみという感じですかね。
――それでは、武道館に向けての意気込みを皆さんお願いします
金廣真悟 色んな人達にお世話になって今があるので、そういう人達が喜んで誇れるようなライブができたらないいなと思います。そして、その先が見えるようなライブしたいです。
たなしん バンドにとって大きな目標でもあったし、今、目の前にある大きな壁でもあると思います。それを今のチームで、お客さんと共に乗り越えられたら、またバンドとして別の楽しみが出てくるんじゃないかなと思います。今まで応援してきてくれた人も、これから出会う人も、この日は駆けつけて欲しいなと心から願っています。
渡邊幸一 グッドモーニングアメリカというバンドは、本当に色んな仲間だったり、ライブハウスだったり、それこそお客さんだったり、色んな人に力を貸してもらって、応援してもらって進んできたバンドだと思います。ですので、武道館も今まで出会った人達みんなに来て欲しいし、力を貸して欲しい。そして、最高の武道館公演がつくれたら良いと思います。待ってます!
ペギ 地元から友達がいっぱいくるんで、先輩とかも。「お前ホントよく頑張ったな」と思ってもらい「お前は津山で2番目!」と言って欲しいですね!
金廣真悟 1番目は?
ペギ B'zの稲葉さんだね(笑)
(取材/撮影・木村陽仁)