グドモ「終わりと始まりは同じようなもの」平成最後ツアー最終で最高の舞台
ライブのもよう(撮影=watanabe'kool'syo)
ロックバンドのグッドモーニングアメリカ(以下グドモ)が4月29日、東京・渋谷CLUB QUATTROで全国ツアー『みんなで!!!!YEAH!!!! ONE-MAN tour 2019』最終公演をおこなった。同ツアーは、昨年11月に発売したメジャー6thアルバム『!!!!YEAH!!!!』を引っ提げた、2年ぶりのワンマンツアー。今年1月12日の千葉LOOK公演を皮切りに14カ所14公演をおこなった。また、この日はグドモの平成最後のライブということもあり、ファンと彼らにとっては特別な公演となった。金廣真悟(Vo、Gt)が「終わりと始まりは同じようなものだと思う」と述べたように期待を裏切らない、彼ららしいステージで平成という時代を彼らなりに締めくくった。【取材=小池直也】
平成最後のツアーファイナル
BGMの音量が上がって、いよいよライブの幕が上がる…と思いきや、たなしん(Ba、Cho)がBPM速めのモーニング娘。「LOVEマシーン」に合わせて踊りながらフロアから登場。「平成最後のグドモのライブに来て頂き、ありがとうございます!」とMCしてオーディエンスを煽った。そして、渡邊幸一(Gt、Cho)、ペギ(Dr、Cho)、金廣も揃い、今度こそライブがスタート。
まずこのツアーのタイトルにもある、新作アルバムのリード曲「YEAH!!!!」から。テンション高く、マイクにメロディを吹き込む金廣。強めビブラートの歌唱も耳に残った。左右に手を振って楽しそうなオーディエンスの姿も印象的。続いてペギの2ビートで空間を切り裂くような「言葉にならない」へと繋ぐ。渡邊のキャッチーなギターのリフから始まった「バンバンガンガン」はコール&レスポンスで盛り上がり、「むすんでひらいて」はたなしんのうねるベースラインが気持ちよく鳴っていた。
ここで渡邊がマイクを取る。「久しぶりのワンマンツアーで、いろいろな土地でいろいろな人と出会って。そして、今日ここで平成最後のツアーファイナルだ! 自分自身もみんなも楽しませるつもりでいくんでよろしくお願いします」と挨拶してから、たなしんもまざって軽妙なトークを展開。
そして、たなしんのリードで、観客から合唱が起き「夢のマルティール」へ。サビに入る時の突っ込んだリズムのアクセントが爽快。「クラスター」はブレイク、音量、リズム、と好アンサンブルだった。久々の渋谷クアトロでライブするグドモだが、MCでの仲睦まじい様子を含め、どこで演奏しようとも彼らの連携にブレが生じることはないように思える。
人気曲「コピペ」ではクラップが起きて、演奏に勢いが増す。「永遠に」は全員の音が重なった瞬間のグルーヴに圧倒された。さらに印象的なギターのタッピングから始まる「in トーキョーシティ」でもオーディエンスを釘付けにする。季節はずれの「ベツレヘムの星」はこの日唯一の3拍子系の楽曲で、いい意味の異質感がセットリストのスパイスに。
終わりと始まりは同じようなもの
再度MC。2年ぶりとなる今回のワンマンツアーを振り返って、ペギは「11年目にして、初めてくらいにリラックスできてきた」と語った。金廣は「花粉がつらくて、苦しい毎日を過ごしていました。ミニ四駆をずっと作っています」と近況を報告。たなしんは水をかぶって濡れたことを口実に服を脱ぐ。そして会場全体で恒例の「ファイヤー!」。
これでエンジンがかかり、「アブラカタブラ」で後半戦へ。「悲しみ無き世界へ」、「心臓抉って」とエモーショナルな曲が続く。「明日また」では、たなしんが近頃取り組んでいるという指弾きプレイを堪能することもできた。
「平成が終わるんですね。昭和になったのも、平成になったのも自覚していなくて、まさかこういうひとつの時代をこの歳でまたぐとは思わなかったです。どの曲でも歌っているけど、終わりと始まりは同じようなものだと思う。ただ自分の中で設定したゴールに向かって自己採点、それを繰り返して、ひとつ一つ成長していけていたらいいな、なんて思うんです。今こういう環境があることをすごく嬉しく思っています。過去は過去として、今の方が絶対いいライブできていると思うし。そういう自分であれたらいい」
金廣がしっとり話してから、ラテン調のビートで「ゴールライン」。メンバーひとり一人が楽しげにプレイしているのが微笑ましかった。「輝く方へ」でシンガロング。そして代表曲の「未来へのスパイラル」が投下される。冒頭のメロディはオーディエンスに任せ、情感豊かなAメロから静寂をはさんで、サビへ飛び込む。会場一丸となってサビを待つような雰囲気があった。一体感を伴ったまま、セットリスト最後は「Tonight Tonight」。唯一、金廣がハンドマイクで歌うこの曲を終えて、メンバーが退場。
ほどなくしてアンコールが起こり、もう一度ステージに立つグドモ。歌い上げる「スクランブル交差点」と、テンション高めの「空ばかり見ていた」の2曲を披露した。さらに想定外のセカンドアンコールにも応じ、疾走感のある「光となって」が演奏される場面も。最後まで走り抜ける形で今回のツアーファイナルは終わった。令和という新時代を目前に、気負いすぎることもなく、持てる力を十分引き出して平成に区切りをつけたと言えるだろう。