真心ブラザーズ「今が一番歌うまい」爆笑と興奮の初日
YO-KING(撮影・eri shibata)
70~80年代の女性アイドルのカヴァー・アルバム『PACK TO THE FUTURE』をリリースした真心ブラザーズが9日、渋谷クラブクアトロから、同名のツアーをスタートした。アルバムのレコーディングと同じく、YO-KINGと桜井秀俊にLow Down Roulettes(ベース岡部晴彦、ドラム伊藤大地)が加わった4人編成。
『PACK TO THE FUTURE』の収録曲や、真心のライブになくてはならない代表曲に加えて、たとえばかつて他のアーティストに提供した曲のセルフ・カヴァーなどの「カヴァー」というキーワードで新作のコンセプトにつながっている曲や、『PACK TO THE FUTURE』に収録しようとバンド・アレンジまで完成させたものの諸般の事情で入らなかった2曲まで含めた、バラエティ豊かなセットリスト。
「お気づきでしょうか、『PACK TO THE FUTURE』では1曲も歌ってないんです、私」と言いつつ、桜井ヴォーカルの曲も2曲披露。さらに新機軸としては、このアルバムの制作にあたってYO-KINGに「弾いて」と要請され、完璧に弾きこなせるようになった桜井のスライドギター、ライブの要所要所で大活躍。
ただし本人は「弾き姿が地味なんだよね、座るからさ」と若干気にしたりもしている。一足先に各地の夏フェスで披露していた“グッド・バイ・マイ・ラブ”(アン・ルイス)はもちろん、ここで初めてプレイされる『PACK TO THE FUTURE』の曲たちも、ツアー初日とは思えないほどLow Down Roulettesと息が合っている。
不意に「あのー、長く観に来てるファンの方はわかったと思うんですけど、僕、今がいちばん歌うまいんです、27年やってきて」と断言するYO-KING。「いやあ、よかった。僕のおかげです。あ、でも俺7割、お客さん3割」と続けて「俺1ミリも入ってない……」と桜井を絶句させたり、「(ライブやってみて)どう?」「疲れます。いや、そう言うと語弊があるけど、好きな曲ばかりだしアレンジした方も尊敬してるから、その人たちに届けと言わんばかりの魂で──」と、桜井に延々まじめにしゃべらせた挙句「話がおもしろくなかった」と切り捨てたり、いつもに増して絶好調。そのたびにフロアは爆笑の渦に包まれる。
『PACK TO THE FUTURE』収録曲で真心の新しい一面を、そしておなじみの曲では変わらぬ真心のすばらしさをオーディエンスに存分に届け、本編が終了。アンコールでYO-KING、明後日の10月11日から水戸で新しいツアーが始まることを改めて告知。
『KING OF ROCK』リリース20周年を記念してアルバムを曲順どおりに再現するツアー『MORE KING OF ROCK 20th』と、この『PACK TO THE FUTURE』ツアーは、並行して続いていく。『PACK TO THE FUTURE』ツアーは11月21日・梅田CLUB QUATTRO、『MORE KING OF ROCK 20th』ツアーは11月28日・EX THEATER ROPPONGIでファイナルを迎える。 【文・兵庫慎司】
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