世界を揺らす7人の現在地 KID PHENOMENONがニューアルバムに込めた覚悟
KID PHENOMENON
LDHのオーディション「iCON Z」第二章を経て結成された7人組グループ、KID PHENOMENON from EXILE TRIBE。2023年のデビュー以降、精力的なリリースや国内外でのライブ経験を重ね、世界最大級のフェス「SXSW」への出演などグローバルな飛躍を見せている。彼らは新たに〈TOKYO NEO POP〉をアティチュードとして掲げ、ニューアルバム『KIDS00’s』(6月17日発売)をリリースした。全員2000年代生まれである彼らならではのみずみずしい表現や、ナイーブな自意識、時代に翻弄される揺らぎを映し出しつつ、根底には「誰かの勇気の源になりたい」という強いポジティビティが貫かれている。本記事では、これまでの経験からニューアルバムにかけた情熱、楽曲解説、〈TOKYO NEO POP〉の真意、そして未来の展望まで、彼らの率直な思いに多角的に迫った。
7人の結束がしっかりと固まった時間だった
――まず前アルバム『PHENOMENON』から現在までの1年半の時間を振り返ってもらえますか?
岡尾琥珀 この1年半は、グループとして7人の結束がしっかりと固まった時間だったと思います。世界で活躍したいといったたくさんの理想を掲げてきましたが、それを早く形にしないとという焦りだったり、個人としても自分の強みをどう形にすればいいのかが見えにくくなったりする時期もあったんです。「多くのボーイズグループの中でKID PHENOMENONじゃなきゃダメな理由はなんだろう?」と。でも、この1年半の活動の中で個人の強みやオリジナリティが明確になっていって、さらにそれをグループとしての強さに還元できるようになったと感じます。アベンジャーズじゃないですけど、強い7人が集まってやっとひとつの最強のグループになれると思いますし、その意味でもこの1年半はメンバーそれぞれが自分自身と深く向き合って自分を強くして、そしてグループとしてより深くつながる時間だったのかなと思います。
――国内でのツアーはもちろん、今年は国内外のフェスにも登場しました。『SXSW』やアジアでの活動などライヴ全般についての手応えを教えてください。
遠藤翼空 海外ではタイやベトナム、アメリカにも行かせていただきました。そこで自分たちのスキルや音楽性をどれだけ魅せられるかという点については、正直凄く不安を抱いていたんです。でも、どうやったら僕たちの楽曲を心に突き刺せるのかを考えたら、それはとにかく自分たちのパフォーマンスを信じてやるしかないんだなということでした。そこでのパフォーマンスは、『SXSW』も含めて本当に学びが大きくて、自分たちは今後どうしていけばいいのかという部分が見えたので、大きな収穫を得られた機会だったと思います。中でもロサンゼルスのミュージックフェスティバル『Friends From Elsewhere Summer Concert』は、パッションだけじゃなくてライヴとしての完成度を追求した部分もあって、それに対するレスポンスはどんなものなのかを知ることにもなりました。それは今後にもしっかり活かされると思います。
――KID PHENOMENONの提示するテーマやカルチャーであり、アティチュード、行動原理でもある〈TOKYO NEO POP〉について、どう感じて打ち出していこうとしているかを教えていただけますか?
夫松健介 アルバム『KIDS00's』にもその想いは込められているんですが、僕たちは多様性という部分にとても重点を置いているんです。ひとりひとりのカラーや好きなものが違うところを尊重して、それをグループの魅力にしていくのが自分たちのよさだと思っています。一方で、それによってわかりやすいひとつのテーマ、強固な自分たちのスタンスを掲げることが難しいというジレンマもあったんです。単に個性を尊重していますと言うと、ありきたりな表現になってしまう。それに、「ありのままでいいんだよ」と言い続けてきましたが、自分たち自身が本当にそうできていたかというと、ちょっと違っていた気もすると。だけど、ありのままでいいというメッセージや、僕らが影響を受けてきた様々なカルチャーを自分たちのフィルターを通して表現するとの意識を、〈TOKYO NEO POP〉という言葉でパッケージして掲げることで、本来伝えたかったメッセージや自分たちのよさを表現できるという気がしたんです。だから、この〈TOKYO NEO POP〉というテーマを見つけられたからこそ、心からありのままでいいと言えるようになって、「Mirror」や「KIDS」のテーマ感をしっかり提示できるようになったんだと思います。いろんな作品を作っていく中で導き出したひとつの答えなので、これが見つけられたことは自分たちにとって本当に大きいです。
川口蒼真 「〈TOKYO NEO POP〉は自分たちが伝えたいメッセージでもありますけど、自分たち自身にもまちがいなく言えることだなと思っています。デビューしてからの3年間でいろんな経験をしたり、ぶつかってきた壁もあり、これからも想像していないような大変なことがあると思うんです。でも、その中で〈TOKYO NEO POP〉を伝えていくには、自分たちが一番〈TOKYO NEO POP〉していなきゃいけない。これからもいろんなものにもまれながらも、自分たちを信じてこの7人を信じてファンのみなさんを信じて〈TOKYO NEO POP〉を体現する。そのイメージを考えるだけじゃなくて、行動としても示していく。そして、僕たちが自ら動いて自分たちが思うありのままを体現していく。改めてそこを意識していきたいです。
アルバム収録曲について
――では、ここからアルバム収録各曲についての解説をお願いしたいと思います。まずは1曲目「KIDS」からお願いします。
夫松健介 「KIDS」は、リリックに〈ノレよ KID PHENOMENON〉というワードが出てきたり、〈闘志を宿す俺らのDNA〉とか凄く強気な言葉でパワフルさを表現していたり、今回のアルバムの中でもここから前に歩んでいく僕たちという部分を一番強く打ち出した、自分たちのコンセプトやメッセージを提示できる曲だと感じています。アルバムの曲順は自分たちで決めたんですが、だからこそこの曲がトップにふさわしいと思ったんです。〈点滅しない俺らのグリーン〉というフレーズも、俺たちはの信号は青から変わりそうもないという勢いが凄くて、歌っていてテンションが上がります(笑)。サウンドも90年代っぽさがありつつちょっとアグレッシブになっているので、今の自分たちの燃えている闘志、前に進んでいく勢いみたいなものを届けられる楽曲になったんじゃないかなと。ファンのみなさんには、これを聴いて「これから一緒に歩んでいくぞ!」と思ってもらえたら嬉しいです。この楽曲をきっかけに僕たちを知ってくださる方には、自分のモチベーションを上げる時などに聴いてほしいです。
――5曲目の「ネオコード」は?
山本光汰 サビの頭で〈むき出しでも叫ぼう〉と歌っているように、アルバムの中でも最もありのままでポジティブな曲かもしれないです。僕たちも聴いてくれているみなさんに向けて、「この想いをいろんな人に届けていこう!」という気持ちで歌いました。「ネオコード」という、〈新しいコード(規範・ルール)を生み出す〉という言葉も凄くしっくりくる。自分なりのこだわりや自分たちにしかない概念を持つことって、本当に大事にしていかないといけないと思うんです。その信念を持つこと、その上での表現という美学みたいなものがあるはずなんですよね。だから、みなさんにも何かに挑戦する時は自信と探究心を持って自分の好きなことを極めていってほしいというメッセージになっています。曲調もちょっとファンク感のあるポップスでリズムに乗りやすく、アルバムの中でも凄く明るいカラーになってると思います。サラッと聴きやすいですし、こういうポップスを通して前向きなメッセージを発信していくのも自分たちらしいと感じます。たくさんの人に届いてほしい楽曲です。
――7曲目の「BLUE」。
鈴木瑠偉 前アルバム収録の「雨上がりのDiary」以来メンバー全員で作詞に携わった曲で、作曲にも関わっています。今回は何をテーマにするか、前回とどう差別化するかに深く悩んで、スタジオにみんなで引きこもって丁寧に意見をすり合わせたので、想いが詰まった楽曲になりました。結果、この曲を歌うと、自分はひとりじゃないんだと思えて、強く仲間を感じられる楽曲に仕上がったと思います。個人的には、健介のパートの〈20歳のあの日〉というワードがとても印象に残っています。メンバーには、僕のように20歳になっていない人もいれば、健介のように20歳を超えている人もいる。だから、それぞれの20歳という時期を想像したり振り返ったり、いろんな見方ができるんですが、それが凄くいいなと感じました。KID PHENOMENONを好きな人には絶対一回は聴いてほしいですし、長く愛される楽曲になってほしいと願っています。ちなみにリリックはこの曲以外にも個人的にみんな書きためているので、いつか形にできたら嬉しいですね。
――9曲目「Sparkle Summer」は翼空さんにおうかがいします。
遠藤翼空 僕たちが持つフレッシュさとかパワーを存分に込めた、エネルギー溢れるサマーチューンです。個人的には、僕たちがこの曲をステージなどで披露した瞬間から「夏が始まります! 夏開始です!」と思っています(笑)。実際、リリースのタイミングで披露しているんですけど、「この夏を楽しむために、僕たちの「Sparkle Summer」で盛り上がっていこう!」と思いながらパフォーマンスしていて、ファンの方々もその印象が強いと思います。夏の大きな入道雲と青空みたいな情景が思い浮かぶようなリリックが入っていたり、サウンドもサビに向かうにつれて鮮やかに広がっていったりします。だから、この「Sparkle Summer」と過ごす夏は、より素敵なものになるんじゃないかなと思います。
――11曲目の「Snakebite」は、峻乃介さんに言葉をいただけたらと。
佐藤峻乃介 今はSNSなど情報が周囲にたくさんあって、誰でも自由に発信できる分、いい方向にも悪い方向にも出てしまう時があると思うんです。この曲では、SNSの声や誰かの評価に惑わされて悪影響を受けてしまうことを、〈ひどいねソーシャルは勝手/ヘビに噛まれて痣だらけ/猛毒がカラダ 巡って動かない〉と歌っている。僕たちもSNSを利用して発信していますし、そこから完全に離れるのは難しい。でも、この時代を生きているからこそ、左右に身を振って蛇のようにうまくかぎわけて避けていけば=必要な情報と不必要な情報を精査していけば、もっと生きやすくなるよね、ということを歌っています。ただ、現代社会の問題に切り込んでいる感じだけど、それをシリアスすぎないようにポップなファンクのノリで軽やかに表現してみようと制作に臨みました。今を生きている僕らやリスナーのみなさんに、いろんな発見だと受け取ってもらえれば嬉しいです。
――最後に、2026年7月11日からスタートするライヴツアー『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00's” 』についても教えてください。
夫松健介 今回のライヴツアーは、アルバムと同じ『KIDS00's』というタイトルを掲げているんですけど、特に重きを置いているのが〈HIP HOPカルチャーを構成するものをいかにして表現するか〉というところなんです。僕たちが提唱している〈TOKYO NEO POP〉は、カルチャーをちゃんと理解した上で、自分たちで新しいものを作っていくものだと捉えているんです。だからこそ、自分たちが影響を受けているHIP HOP、特にグラフィティ、MC、ブレイクダンス、DJのような、HIP HOPの4大エレメンツだったり、HIP HOPのイズムや要素をどうライヴに昇華していくかっていうところに今回は凄くこだわっています。HIP HOPと名前は知っていても、本質的なところまで知らない方もいらっしゃるはずなんです。だからこそ、自分たちはこういうカルチャーから影響を受けているんだよとしっかり届けていきたいんです。こういうことをやっているボーイズグループはなかなかいないはずなので、新鮮さもあるんじゃないかなと。自分たちのクリエイティブな能力をすべて注ぎ込んだ、めちゃくちゃ面白いライヴに仕上がっていると思います。
(取材=高木JET晋一郎)
KID PHENOMENONライヴ情報
『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00’s” Special Edition』
2026年7月31日(金)SGCホール有明[東京公演]
『KID PHENOMENON LIVE TOUR 2026 “KIDS00’s”』
2026年7月11日(土)岐阜club-G[岐阜公演]
2026年7月19日(日)広島クラブクアトロ[広島公演]
2026年7月20日(月祝)周南RISING HALL[山口公演]
2026年7月25日(土)新潟LOTS[新潟公演]
2026年8月2日(日)cube garden[北海道公演]
2026年8月9日(日)京都FANJ[京都公演]
2026年8月15日(土)仙台RENSA[宮城公演]
2026年8月16日(日)盛岡CLUB CHANGE WAVE[岩手公演]
2026年8月29日(土)SOUND SHOWER ark[静岡公演]
2026年9月3日(木)ダイアモンドホール[愛知公演]
2026年9月5日(土)GORILLA HALL OSAKA[大阪公演]
2026年9月6日(日)GORILLA HALL OSAKA[大阪公演]
2026年9月12日(土)熊本B.9 V1[熊本公演]
2026年9月13日(日)DRUM LOGOS[福岡公演]
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