日比谷音楽祭実行委員会(実行委員長:亀田誠治)は、5月31日・6月1日の 2 日間に渡り、日比谷公園とその周辺施設で、無料の音楽イベント『日比谷音楽祭 2025』を開催した。

 【写真】『日比谷音楽祭 2025』ライブフォト

 日比谷音楽祭は、音楽の新しい循環をみんなでつくる、フリーでボーダーレスな音楽祭として、2019年からスタート。7年目の今年は、秋以降に日比谷公園大音楽堂(通称野音)が改修工事に入ることから、現在の“3 代目野音“での最後の開催という節目の年となった。今年も「世代やジャンル、好みにとらわれずさまざまな音楽に出会える、誰に対しても開かれた場を作りたい。これまでの枠を超えて『新しい音楽の循環』を“みんなで”つくり、音楽文化を育んでいきたい」という想いのもと、総勢60組の豪華アーティストたちが日比谷に集結。日比谷公園やその周辺に設置されたステージで多様な音楽を奏で、会場を多いに盛り上げた。

 また、ステージプログラムに加え、楽器体験ブースや音楽業界の第一線で活躍する専門家によるトークショーなど、親・子・孫三世代で一緒に楽しめるワークショップや森枝幹シェフ監修による多彩なフードも展開。音楽を軸にした、多様なコンテンツを提供した。さらに、開催日には2019年の初開催から日比谷音楽祭の開催を支えるクラウドファンディングの累計支援者数が1万人を突破。初日はあいにくの雨となったものの、2日間で合計14.5万人が来場し、音楽を中心とした空間で誰もが楽しめるボーダーレスなイベントとなった。

 初日の開会に先立ち、実行委員長を務める亀田誠治は「日比谷音楽祭でしか体験できない音楽の感動体験を親・子・孫三世代で心ゆくまで楽しんでいただきたく、こんなに気持ちの良い空間が東京の日比谷にあるんだということを堪能していただけると嬉しいです! たくさんのアーティストの音楽が風に乗って聞こえてきたり、美味しい匂いも漂ってきますので、音楽のある豊かな時間を、この日比谷音楽祭で気ままに過ごしていただければと思います。ぜひみなさん楽しんでください!」と、年々アップデートし続けている日比谷音楽祭への想いを語るとともに、参加する全ての方に自由に日比谷音楽祭を楽しんでもらいたいと意気込んだ。

 開会宣言後のトップバッターを務めたのは実行委員長・亀田誠治と師匠である武部聡志との特別企画「武亀セッションワークショップ〜 一緒に歌ってみませんか? 2025〜」。スペシャルアクトに一青窈を迎え、一般の方々から選ばれた歌い手が披露する一度限りのステージで音楽祭は幕を開けた。

 その後はアーティストによるステージライブが次々に展開。野音で行われた HibiyaDream Session では、日比谷音楽祭初出演となり、野音のステージに32年ぶり登場した小沢健二や甲本ヒロト、imase、真心ブラザーズ、氷川きよし+KIINA.、KREVA、清塚信也、岡本知高など、世代やジャンルを超えた日本のトップアーティストたちが日比谷に大集結し、特別な2日間を盛り上げた。

 さらに、日比谷音楽祭 2025 のラストを飾る Hibiya DreamSession 3 の最後には、実行委員長・亀田誠治から「日比谷音楽祭 2026」が5月30日・31日の2日間で日比谷公園と東京ミッドタウン日比谷、そして東京国際フォーラム ホール Aで開催されることが発表された。亀田誠治は「野外と屋内のいいところをかけあせて、変わりゆく時代の中で、音楽のある豊かな生活を提案していきます。『日比谷音楽祭2026』にご期待ください!またね!」と来年以降の音楽祭への期待感を高め、野音のボルテージが最高潮を迎えた中、日比谷音楽祭 2025 は幕を下ろした。

<ライブレポート>

■Hibiya Dream Session 1

 初日の夕方に行われた「Hibiya Dream Session 1」は、野音のステージ自体が初となる imase によるアップテンポな楽曲『Happy Order?』でスタート。雨がパラつく不安定な天気を吹き飛ばすかのようなエネルギーのあるステージで、これから二日間に渡り野音を盛り上げる Hibiya Dream Session のオープニングを彩った。

 続いて夕暮れ時の野音にぴったりな『NIGHTDANCER』を披露し会場は温かな空気に包まれたところで日比谷ブロードウェイ(井上芳雄・島田歌穂・中川晃教・田代万里生・遥海)が登場。日比谷音楽祭を応援するかのように雨があがり、井上芳雄の「今年一番今の天気にぴったりな曲をやります!」という声とともに、5月28日にリリースしたばかりの日比谷音楽祭を代表する 1 曲『雨が止んだら』(作詞作曲・桜井和寿)が披露され、日比谷の空と観客の心に優しく、力強く響いた。続いて披露されたミュージカルの王道である『「レ・ミゼラブル」メドレー』は、秋に改修工事を控える3代目野音と、日比谷公園のすぐそばにあり、2月にクロージングしたミュージカルの聖地である帝国劇場を重ね合わせ、日比谷の演劇の炎を絶やさないためにという熱い想いとともに歌い上げられ、高らかなハーモニーが日比谷の街の空を包んだ。

 そして最後には観客のボルテージが高まる中、32年ぶりの野音のステージとなる小沢健二が登場。1曲目を『アルペジオ』からスタートすると、客席からは「オザケン!」との愛称が飛び交い、先ほどまでの雨を忘れたかのように観客は総立ちに。名曲『ラブリー』や 32 年前の野音で披露したファーストアルバムのメドレーなど、全10曲をノンストップで披露し、「日比谷野音ありがとう、外で音漏れを聴いてくれたみんなもありがとう」と鳴り止まない拍手の中観客へ感謝を伝え、日比谷音楽祭の 1 日目を締めくくった。

■Hibiya Dream Session 2

 2日目の前半に行われた「Hibiya Dream Session 2」は、ピアニスト・清塚信也が亀田誠治とハイタッチをしながら軽やかに登場し開幕。「クラシックをみんなにお届けしたい」という想いで誰もが聞いたことのあるショパンメドレーなどを披露し、ピアノの音色で野音をうっとりとした雰囲気に包み込んだ。

 これまでも日比谷音楽祭を盛り上げてきた新妻聖子は、マントを思わせる、繊細に揺れる動きが美しいイエローのドレスに身を包み鮮やかに登場。『アンパンマンのマーチ』を、YOYOKA のドラムによる力強いリズムに合わせて圧倒的な歌唱力で歌い上げ、親・子・孫三世代が楽しめる音楽祭を体現した。

 さらに、今回が日比谷音楽祭初出演となるソプラニスタ・岡本知高は「ボーダレスな音楽祭、自分にピッタリと思って心待ちにしていました!」と念願の出演を喜びながら”奇跡の歌声”と称される圧倒的な歌唱力で日比谷公園全体を包み込み、観客を魅了した。

 その後、バンドのリズムに合わせてステージに登場したのは元プリンセス プリンセスの岸谷香。「ダイアモンド!」という掛け声が投げかけられると観客たちは自然と立ち上がり、大きな拍手と歓声に包まれた。『ボディガード』『世界で一番暑い夏』も披露され、次々と繰り出される楽曲に観客は手を上げたり跳ね上がったりと思い思いの形で音楽を楽しんでいた。そして Hibiya Dream Session 2 のトリとして登場した日比谷音楽祭常連のKREVA は、亀田誠治と作った楽曲『恩返し』を手話サークル Hand Shape と共に12年ぶりに披露し盛り上げた。

 フィナーレを飾った『Na Na Na』では、観客とのコール&レスポンスや手拍子が響き渡り、最後には「Hibiya Dream Session 2」の全出演者がステージに集結。初夏の爽やかな陽気に包まれた野音は、ステージと客席の垣根を越えて心がひとつになった。

■Hibiya Dream Session 3

 日比谷音楽祭のラストを飾る「Hibiya Dream Session 3」は、GLIM SPANKY with YOYOKA が奏でる『怒りをくれよ』で開幕。今年最後の Hibiya Dream Session としてふさわしい力強い歌声と演奏で、一気に観客を魅了した。

 続く、チェロ奏者の Eru Matsumoto は自身初の日本の音楽フェス出演となる日比谷音楽祭のためにロサンゼルスから来日。2 月にグラミー賞を受賞したアルバムから、楽曲を音楽祭限定のアレンジで披露し、野音の空に繊細な音色を響かせた。

 続いて亀田誠治と旧知の仲である真心ブラザーズが登場。YO-KINGは「実はデビューの初ライブをここ野音でやらせていただきました、改修前最後の年に出られて嬉しいです!」と野音への思い入れを語った。そして名曲『ENDLESS SUMMER NUDE』を披露すると、夏を感じさせる一曲に客席からは歓声の嵐が沸き起こり野音は熱気に包まれた空間に。

 ボルテージが上がったまま、氷川きよし+KIINA.が『きよしのズンドコ節』で登場すると、野音はさらに盛り上がりを見せ、曲に合わせて「き・よ・し!」と会場全体が一つになる場面も。自身が5歳の頃に初めて歌い、歌手を志すきっかけとなった思い出の曲で、亀田誠治アレンジの元、カバー曲としてリリースした『赤いスイートピー』も披露し、会場を沸かせた。

 そして、2 日間に渡って開催された日比谷音楽祭の大トリには大きな拍手とともに甲本ヒロトが登場。「よろしくお願いしまーす!」と叫ぶと観客は総立ちに。「日比谷音楽祭 2025、今の野音に笑顔でさよならを言いたい」という亀田誠治とともに選んだ『涙くんさよなら』を披露し、想いの通り会場は笑顔と熱気に包まれ、Hibiya Dream Session の幕を下ろした。

■日比谷音楽祭 2026 の開催が決定!

 日比谷音楽祭の最後には、実行委員長の亀田誠治が「あっという間の二日間でした。皆さんの愛するアーティスト、まだ出会っていないアーティストへ出会う感動体験を心の中にしまって毎日生きていきましょう。素敵な体験を音楽で作っていきたいので、来年の『日比谷音楽祭 2026』を楽しみにしていてください!」と会場にいた観客に語りかけた。

 そして今の野音が工事に入る関係で、来年以降の日比谷音楽祭開催への不安がよぎる中、「『日比谷音楽祭 2026』の開催が決定しました!日比谷公園と東京ミッドタウン日比谷を存分に使い、さらに来年は国際フォーラムホール A を使用します!」と「日比谷音楽祭 2026」の開催を発表し、今回の日比谷音楽祭への感謝と来年以降の日比谷音楽祭の開催に向けたメッセージを呼びかけ、2 日間に渡る「日比谷音楽祭 2025」が終了した。

■日比谷公園内プログラムについて

 今年の日比谷音楽祭は、日比谷公園の改修工事に伴い、新たに「ONIWA(芝庭広場)」を解放し、サテライト会場の「東京ミッドタウン日比谷」を合わせて、計10個のエリアで開催された。日比谷公園内に新たに誕生した芝庭広場を使用した ONIWA(芝庭広場)では、ゆったりと芝生の上で音楽を楽しめる空間が広がり、「武亀セッションワークショップ」ではスペシャルアクトの一青窈がスタージ下で観客とハイタッチするなど雨の中でもステージを盛り上げ、ワークショップ参加者もプロと共演する喜びを体感した。

 HIDAMARI(健康広場)では、藤原さくらや半崎美子が出演。観客による手拍子で一体感が生まれ、日差しが降り注ぐ暖かなステージとなりました。サテライト会場の日比谷ステップ広場では、鳴り響く音楽に惹かれて会場を訪れた買い物途中の人や通りかかったお客さんの姿も見え、都会ならではの盛り上がりを見せた。

 MANABI(図書文化館大ホール)では、音楽業界の魅力や可能性を伝えるセッション「音楽業界のススメ〜音楽ディレクター編〜」を開催。昨年好評だったマネージャー編に続き、ディレクター編では裏方としてアーティストの活動を支える奥深い活動内容が語られ、音楽業界を目指す方にとって学びと刺激に満ちた時間となった。TAIKEN(日比谷図書文化館 小ホール)では、粋蓮による「箏、琵琶、尺八体験ワークショップ」や「YOYOKA とドラムを楽しもう!初心者向けドラムワークショップ」、「親子 DJ 体験ワークショップ」で、初めて触れる楽器に参加者たちが試行錯誤しつつも楽しげに音を鳴らす様子が広がった。その他にも多くの親子で賑わう ASOBI(草地広場)では、子どもたちの歌声が響く「キッズファミリーカラオケ」や「DJ ダイノジのキッズディスコ」、みんなで楽しくドラミング「ドラムサークル」など、子どもたちが自由に音と触れ合えるコンテンツが多く開催され、会場は大人顔負けの熱気と笑顔に包まれた。

 また、各エリアを繋ぐ沿道やおんがく KADAN(第一花壇)では、箏やハープ、太鼓、小さな子どもも楽しめるトイ楽器など、普段触れることのない楽器を体験できる楽器体験スポットも充実。「東京の街から日本を元気にする、親子孫三世代、誰もが音楽に触れ合える」音楽祭として相応しい盛り上がりを見せた。

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