©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

 『ギヴン』映画2部作の後編かつ、シリーズ完結編となる『映画 ギヴン 海へ』が9月20日に公開。TVアニメ『ギヴン』のOPテーマ「キヅアト」でデビューしたセンチミリメンタルが、今回、TVアニメ~『映画 ギヴン 柊mix』までの4曲をピックアップし、物語と共に楽曲制作秘話を明かした。

 印象的な歌声を持つ佐藤真冬と、高校生離れしたギターの腕前を持つ上ノ山立夏の出会いから始まる、ロックバンド「ギヴン」のメンバーを中心とする青春模様を描いた『ギヴン』。原作者キヅナツキにより、「シェリプラス」で連載がスタートし、“ノイタミナ”初となるBLコミックのアニメ化作品として、2019年にTVアニメが放送開始。その後、中山春樹と梶 秋彦、村田雨月の甘くて苦い恋模様を描いた『映画 ギヴン』(2020年)が公開され、ミニシアターランキングで5週連続の1位を記録するなど大きな反響を呼んだ。

 今年1月には、映画2部作前編となる、真冬の幼馴染である鹿島 柊と八木玄純の物語にフォーカスした『映画 ギヴン 柊mix』が公開。Filmarksの「初日満足度ランキング」にて第1位を獲得し、SNSでは“おかわりギヴン”という言葉が現れるなど、リピーターが続出している。そして、9月20日に映画2部作の後編かつ、シリーズ完結編となる『映画 ギヴン 海へ』が公開。初週3日間のミニシアターランキングで1位、さらにFilmarksの「初日満足度ランキング」でも前作に続き1位を獲得し、全国30館で上映中。

 これまでのアニメ『ギヴン』シリーズで多くの楽曲を担当してきたのは、TVアニメ『ギヴン』のOPテーマ「キヅアト」でデビューしたセンチミリメンタル。

 今回、TVアニメ~『映画 ギヴン 柊mix』までの4曲をピックアップ!センチミリメンタル・温詞がこれまでのアニメ『ギヴン』シリーズの物語と共に楽曲制作秘話を語る。

■TVアニメ1番のピークと言われるライブシーン。 “真冬がこれまで感じてきた想い”を探し続けて作り上げた、渾身の楽曲。(「冬のはなし」)

©キヅナツキ・新書館/ギヴン製作委員会

 まずは真冬にとっての初めてのライブで披露された「冬のはなし」(TVアニメ第9話)。『映画 ギヴン 海へ』の本編では、立夏がコーラスとして参加する「冬のはなし -with 立夏ver.-」が披露されていることでも話題を呼んだ。この楽曲は、これまで真冬が抱えてきた想いが紡ぎ出されており、製作陣も「冬のはなし」のライブシーンがTVアニメの1番のピークと語っている。センチミリメンタル・温詞も「放送開始の1年前から制作を開始し、原作のキヅナツキ先生や山口ひかる監督とも、何度もすり合わせを重ねて完成させました」と手塩にかけて作り上げた楽曲であることを語る。また、ステージに立った真冬が歌唱する前に「他の人がするみたいに泣いたり笑ったり上手にできない。多分きっと人より伝えるのがへたくそなんだ」「でも、だけどほんとは。いつもほんとは――」と語るモノローグがあるのだが、これについても温詞は「モノローグ部分が楽曲が流れている上に重なって入ってくると思ったので、あえて詞の中にはそこ(モノローグ)で出てくる表現やそれに近い言い回しの言葉は入れないようにしていました」とこだわりを明かす。そして実際に歌唱を担った、真冬役•矢野奨吾との制作については「たくさんすり合わせをし、レコーディング本番日以外に練習日を設けたりもしました。2人で一緒に『冬のはなし』というものを、そして何より“真冬がこれまで感じてきた想い”を探し続けてきましたし、お互いの痛みや人生を本気でぶつけ合って出来た渾身の音楽だと思っています」と振り返っている。

■春樹と秋彦、そして雨月。大人組の人生にも影響を与える一曲ー―。 制作の始まりは、“夜明け“についての新たな捉え方に気が付いた時。(「夜が明ける」)

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 春樹と秋彦、雨月の甘くて苦い恋模様を描いた『映画 ギヴン』で披露された「夜が明ける」は、真冬の音楽面での成長に加え、春樹、秋彦、雨月の人生を突き動かす一曲。この楽曲について温詞は「広い視点で幅広い人たちに言葉を投げかけるイメージのもと、『冬のはなし』よりも俯瞰性や客観性を大事にしました」と、こだわりを語る。また制作にあたっては「原作を読んでいて、”夜明け” の捉え方がとても印象的だったんです。基本的に期待や希望といった意味合いで使われることが多い中で、〈二度と戻れない気がして 夜明けが来るのが怖かった〉と、ネガティヴなものとして見る角度に初めて出会って、ハッと気づかされました」と新たな気づきがあったことを明かす。そして「“上手く眠れなくて朝が来てしまった時、世界はもう翌日を歩んでいるのに自分だけ取り残されたような感覚があった”と思い、そこから一気に書き上げました」と制作当時を振り返った。

■華やかで疾走感に溢れる曲調が、熱狂の渦を巻き起こすー―。 “圧倒的ライブ感”と“爆発的なパワー”を存分に打ち出した一曲。(「ストレイト」)

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 真冬の幼馴染である柊と玄純のバンド「syh」の楽曲、「ストレイト」。映画2部作前編となる『映画 ギヴン 柊mix』で披露された楽曲だ。ボーカルを務める柊の明るいキャラクター性が存分に活かされたアップテンポな曲調が特徴の本楽曲は、「『ギヴン』の音楽が緻密で技巧的、そして感傷的な部分を多く含んでいるので、『syh』はオーディションで打ち勝ったバンドであるということを念頭においていました。“圧倒的なライブ感”、“感情が外向きに爆発するパワー”、そして“わかりやすいかっこよさ”を大切にしました」と、「ギヴン」と「syh」の2バンドの特徴を捉えた対照的なスタンスでの制作であったと振り返る。そして作詞にあたっても、「柊が『(歌詞は)ぶっちゃけ響き』と言っていましたが、彼の中にある負けん気や鋭さ、そして優しさを出せるように意識しました。“LIVEというものの魅力”だったり、“現代社会への憂い”など、しっかり読み込んで見れば意外と気づきあるメッセージも込められているように作っています」と歌詞に込められたメッセージ性についてもこだわりを明かした。そのこだわりから生まれた「ギヴン」とは異なる魅力を持ち合わせた「syh」の楽曲も、アニメ『ギヴン』シリーズの魅力の1つである。

◆よりキャッチーに洗練された音楽が、ファンを新たな世界へと誘うー―。意識したのは、「syh」がさらに上の舞台へ突き進んでいくバンドであるということ。(「パレイド」)

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 「syh」のメジャーデビュー曲として披露された「パレイド」。サビ部分を中心に「syh」の世界観に誘われるような歌詞が魅力的な本楽曲だが、「今後は、「syh」がさらに一歩先のメジャーの舞台で戦っていくことになるので、彼らのありのままの魅力は保ちつつ、よりキャッチーなアプローチが必要でした。もし僕が彼らのプロデューサーだったらどのように楽曲を取りまとめて、デビューさせるだろうという意識で制作しました」と、作品の中の視点に合わせて作り上げたことを明かす。

 また歌詞の語感の良さや、サウンドのインパクトを特徴に挙げ、「相手に投げかける音楽というよりは、こちら側まで飛び込んできて、その場にいる全員の手を引いて新たな世界へと連れていくようなリーダーシップ感を大切にしています」と、聴いた人々を自分たちの世界に誘うような感覚を大切にしていたと言う。そして実際に歌唱を担った柊役・今井文也との制作については、「今井くんはとにかく陽のオーラが強い人間で、そこが柊そのものでした。なので、細かい擦り合わせというよりかは、ざっくりと曲に合うディレクションをメインにレコーディングをし、一緒に柊の歌唱像を探しました。思ったより早くその回答に辿り着けた感じがあったので、全体的に非常にスムーズでしたし、そういったところもまさに柊っぽいなと思います」と今井と柊のイメージの近さが曲作りに大きな影響を与えたと語る。

【作品情報】

佐藤真冬、上ノ山立夏、中山春樹、梶 秋彦のバンド「ギヴン」は、フェス出場をかけたコンテストに落ちるも、メジャーデビューへの誘いがかかる。各メンバーがデビューに前向きな姿勢を見せる中、真冬は答えを出せずにいた。

一方、メジャーデビューを決めた鹿島 柊と八木玄純のバンド「syh〈シー〉」。
一時的なサポートギターとして加入していた立夏は、柊から託されたある曲を完成させようとしていた。

そんな中、立夏のもとに真冬から「あいたい」と連絡がくる。
ただならない雰囲気を感じた立夏は真冬のもとに駆けつけるが、真冬の音楽を拒むような態度に気づいてしまう。

立夏への想い、音楽への想い。
さまざまな気持ちの前で戸惑い、立ち止まってしまう真冬。
そんな彼に声をかけたのは、世界的に活躍するヴァイオリニスト・村田雨月だった。

<CAST>

佐藤真冬:矢野奨吾
上ノ山立夏:内田雄馬
中山春樹:中澤まさとも
梶 秋彦:江口拓也
鹿島 柊:今井文也
八木玄純:坂 泰斗
村田雨月:浅沼晋太郎

<STAFF>

原作:「ギヴン」キヅナツキ(新書館「シェリプラス」連載)
監督:橋本能理子
脚本:綾奈ゆにこ
キャラクターデザイン:大沢美奈
総作画監督:山形孝二/二宮奈那子/永田陽菜/大沢美奈
美術監督:NGUYEN THI THANH CUC/別役裕之
色彩設計:加口大朗
撮影監督:中川せな
CG監督:水野朋也
編集:伊藤利恵
音響監督:菊田浩巳
音楽:未知瑠
アニメーション制作:Lerche
主題歌:センチミリメンタル「結言」(EPICレコードジャパン)
配給:アニプレックス
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