センチミリメンタル、いくつもの奇跡が導いたアニメ「ギヴン」との親和性
INTERVIEW

センチミリメンタル、いくつもの奇跡が導いたアニメ「ギヴン」との親和性


記者:村上順一

撮影:

掲載:19年09月29日

読了時間:約14分

 センチミリメンタルが9月11日、シングル「キヅアト」でメジャーデビューした。作詞、作曲、編曲、歌唱、ピアノ、ギター、プログラミングのすべてを担う温詞(あつし)によるソロプロジェクト。2015年、別名義のプロジェクト「ねぇ、忘れないでね。」時代に『イナズマゲート2015』でグランプリを獲得しデビューのきっかけを掴んだ。「キヅアト」はOA中のノイタミナ TVアニメ『ギヴン』のオープニング主題歌。また、今月18日にアニメから飛び出したバンドである「ギヴン」のデビューシングル「まるつけ/冬のはなし」のプロデューサーとして楽曲も制作し多彩な才能をみせる。インタビューではプレッシャーもあった今作の制作背景についてやアーティストとしての心構えなどを聞き、センチミリメンタル・温詞の素顔に迫った。【取材=村上順一】

多くの人の人生に影響を与えたい

「キヅアト」ジャケ写 通常盤

――メジャーデビューされた、今の心境はいかがですか。

 メジャーデビューは、大きな目標のひとつでした。センチミリメンタルとしては2012年からバンドとして活動していて、ソロになってしまったんですけど、7年越しで辿り着けたのは感慨深いです。自分の言葉、音楽を多くの人に受け取ってもらいたい、多くの人の人生に影響を与えたいと思っていたので、その第一歩を踏み出せるのかなと思っています。

――バンドでメジャーを目指していた、その途中で解散してしまったと。

 僕とベーシストを残して脱退してしまった、というのが正しいです。ベーシストと僕の2人になってしまって、視野を広げるために2人で始めたプロジェクトが「ねぇ、忘れないでね。」というバンドでした。でも、ベースの子はこの活動にあまり乗り気ではなくなってしまって、結局活動も1人でやっていました。バンドよりも自由度が高かったからなのか、周りからの評判が良くなってきて、センチミリメンタルのサブなのに「ねぇ、忘れないでね。」の方を評価する声が大きくなって、僕もその狭間で苦しい感じになってきてしまって…。それで、最後にオーディションに参加して、散って終わろうと思いました。

 散ることが前提ではあるんですけど、もし、ある程度残ってしまうとベースに迷惑が掛かるので、1人で参加しました。そうしたら優勝してしまいまして。それをきっかけに今のレーベルに声を掛けて頂きました。でも、自分が表現したいことはセンチミリメンタルに集約されているんじゃないかという結論になりました。新しい名前で活動する案もあったんですけど、やっぱりセンチミリメンタルというのは大切な言葉だったんです。

――そのセンチミリメンタルという言葉にはどのような想いが込められているんですか。

 まず、造語のカタカナでバンドをやりたいというのがありました。それは、僕がレミオロメンがルーツというところから来ています。レミオロメンのように、世の中に“ない”言葉を作りたかったんです。その中でセンチメンタルという言葉が好きだったので、使いたいと思いました。感傷的なだけではなく、喜びも悲しみもこの言葉に集約されているような気がしているんです。センチとミリで色んな尺度で感情を表現出来たらと思い、このバンド名にしました。なので、英語表記だとSentiではなくCentiになります。

――カタカナというところで今作の表題曲「キヅアト」もカタカナなんですね。

 そうなんです。タイアップを頂いた「ギヴン」もそうですし、原作者のキヅナツキさんもカタカナで、そういうご縁があるのかなと思いました。

――タイアップのお話はどのように来たのでしょうか。

 劇中に使われている「冬のはなし」という曲があるんですけど、その制作のお話をいただくところから始まりました。その中で「冬のはなし」を気に入っていただけて、オープニングとエンディングもセンチミリメンタルで作って欲しいという流れでした。結果、全てを担当させて頂いたんですけど、ここまで関わらせていただけるとは最初は思ってもいませんでした。

――「冬のはなし」は既にドラマCDで同名曲があったみたいですね。

 そうなんです。先にドラマCDで展開されていて、アニメ化するにあたって新しい「冬のはなし」を書いて欲しいとオファーがありました。キャストも違うので別物として取り組んで欲しいとお願いされたのですが、それでもかなりのプレッシャーでした。やっぱりファンの方はドラマCDを聴き込んでいると思うので…。

――タイトルありきでのオファーだったんですね。

 はい。僕は割と一つの単語に集約して曲を締めていくというのは良くやるんですけど、それがもともとある言葉、僕から出てきていない言葉でやるという経験はなかったです。別の人格が当て書きをするというのは、誠実に向き合わないとズレが生じると思いますし、どちらかが嘘になってしまうような曲になってはファンの方も「これは『冬のはなし』ではない」となってしまうと思うんです。なので、この「冬のはなし」という言葉と向き合うところから始まりました。主人公の真冬が、葛藤の中でライブで紡いで歌詞を書いたという経緯があるので、僕が向き合わないまま歌詞を書いたらズレが生じるなと思いました。今までにない以上に向き合った曲になったと思います。

――この後の曲にも影響が出ますよね。

 そうなんです。それもあってこの「冬のはなし」がスタートで良かったなと思います。実は「冬のはなし」は2曲作ったんです。もう1曲はスピード感のあるロックチューンでした。結果的に今のミドルテンポの方が採用されたんですけど、自分の中の正解を探すのに苦労しました。自分の記憶とリンクするものがないかと、外に出てドライブもしてみたり。

――車でアイデアを出すこともあるんですね。

 結構、車を運転しながら言葉を浮かべることはします。動いている景色の中で考えていると、記憶のフックになることがあるので、そう言ったものを探しているんです。

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