藤原季節が19日、東京都多摩市・パルテノン多摩小ホールで行われた、第33回映画祭TAMA CINEMA FORUM『デビュー10周年記念 藤原季節特集 in TAMA』に出席。舞台挨拶後にはインタビューに応じた。

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 デビュー10周年記念特集上映は、今年9月に東京・テアトル新宿で行われて以来2度目だ。「企画を受け入れて下さった劇場の皆さん、TAMA映画祭の皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。映画館に来て下さる方がいらっしゃらなかったら企画は成立しないので皆様にも本当に感謝しています」

 この日上映された2本のうち『東京ランドマーク』は25歳の時に撮影したもの。9月の記念特集上映までは公開されていなかった未発表の初主演作。「自分の主人公の映画を撮ってみたかったという気持ちがありました。それと一緒に出演した義山真司はずっと夢を追い続けてきた友達で彼と一緒に主人公をやるという小さな約束を叶えたかったというのもありました」

 思い入れのある『東京ランドマーク』だが、日の目を見るまでに5年の歳月がかかった。ただその間に、転機になったと明かしている主演作『佐々木、イン、マイマイン』や『空白』『くれなずめ』『明日の食卓』『のさりの島』などが公開され、それらの演技が評価され、2021年には『第13回TAMA映画賞』で最優秀新進男優賞を受賞した。自身も住んでいた多摩での特別上映は願ったり叶ったり。「今度はもっといいカタチでTAMA映画祭に帰ってきて恩返ししたいです」と誓った。

 この5年は俳優としての成長だけでなく、個人にも意識変化をもたらした。「5年前よりも人の顔や名前が覚えられるようになり、特にこの1年は一人ひとりの距離が短くなっています。応援して下さる方がいらっしゃるから僕は生かされているんだと思えて、これからやっていく大きな仕事も目に見える人たちのために頑張りたい。それは25歳の時の漠然としていた自分とは違います」

 「とにかくいい俳優になりたいです」と清々しい表情で意欲を示す藤原季節。こう続けた。「最近出会った言葉があって、三浦綾子さんの小説『泥流地帯』に<懐かしいものをたくさん持って置くんだ。懐かしいものをたくさん持っている人間は簡単には堕落しないだ>というセリフが出てきます。僕も懐かしいものをたくさん抱えて生きていきたいと思っていて、自分に出会ってくれる人がもっと幸せになって欲しい、心の中にある宝物を共有して皆の人生が豊かになればいいなと思っているので、いい俳優になりたいです」

 「表現を届けることを諦めたくない」とも語った。インタビュー中、多く出てきた言葉は感謝と「いい俳優になりたい」。デビュー10年。俳優の厚みにもなる「懐かしいもの」という宝物を探し求めていく旅はまだ始まったばかりだ。

藤原季節

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