強気な姿勢に隠された繊細さ
――しっかりと作れたという点においては今回のアルバムがバンドとしてのスタートという位置づけでしょうか
KOKI 感覚的にはそうかもしれないですね。ライブを経験した事で、INKTの音楽性はこっちで良かったという確信を持って、「自信を持って聴いてくれ」というものが作れたと思います。感覚的には解放された感じがあるのかな。清々しいというか。作った時の達成感がありました。
――何に対して解放されました
KOKI なんて言うんですかね、INKTとしての方向性も明確に見え始めたというか。お客さんはこういうものを求めているんだというのが分かった。前作を作っていた1年間は、何も分からないまま作っていました。「これで合っているのかな」と。モヤモヤ感がどこかにありながら。もちろん自信を持ってお届けは出来るけど、不安のほうが大きかったので。今回のは「どうだ、聞けっ!」て言えます。
――前作では不安が大きかった分、攻撃的になったという事も言えますか
KOKI 迷いを払拭するような感覚もありました。
――今回は確信が持てたことで余裕もできた
KOKI そうでうすね。ポジティブな部分も見せられればなと。曲は結構沈んでいたり、激しいけれど、ポジティブなことを歌っていたり。そのギャップも見せられるようになったのかな。
――自分の気持ちを素直に出せるようになった
KOKI そうですね。基本、ネガティブなタイプではないので。
――ところでバンド活動は昔からやりたかった
KOKI 自分はジャンルに捉われる人ではないので、結構ロックやパンクも聴くし、ヒップホップもR&Bもレゲエも、J-POPも聴きます。それこそ、演歌も聴くし。ジャズやブルース的なのも好きだし。なんでも聴くんです。自分の表現方法は歌しか知らないのですが、バンドでなければいけない、という感覚はあまり無いです。バンドだからハードじゃないといけないということも思っていないし。バンドをやるということが必ずしもロックバンドではなくて、ジャンルに捉われない、INKTというジャンルという感覚でやっています。
――今後曲の幅も広く変わっていくことも
KOKI そうですね。もっとごりっごりのハードなアルバムが出来るかもしれないし、もっとポップなアルバムが出来るかもしれない。ラブソングアルバムみたいなものだってあり得る。
――可能性が見えますね
KOKI やりたい事がまだまだたくさんあります。
――幼い時から音楽は好きだった
KOKI 小さい頃は、自分ではあんまり音楽を聴かなかったんですけど、父は尾崎豊さんとかが好きで。車に乗ると、僕が助手席で、親父が運転席で、尾崎さんを歌っている。その光景がいまだに頭に浮かんです。母はカラオケで騒いで踊ったりするのが好きで。ピンクレディーとかを踊るんですよ。「私ミーちゃん」とか言って。でも、歌はめちゃくちゃ下手なんですけどね。騒ぐのが好きなんですよ。だから、どっちの血も引いたんだと思います。
――すごく明るい家庭が想像が出来ますね。KOKIさんの出身は千葉の柏。7月に行う全国ツアーの初日は柏です
KOKI メンバー全員の地元でライブはしたいと思っていて。凱旋ライブとか面白いだろうし。気づいたら客席に地元の友達がいたというのも胸が熱くなるだろうし。「あそこにいるの元カノだぜ」「マジかよ!」というのも面白いだろうなと。たくさんの都市を回りたい。事情や都合があってライブに来れない方も多いと思うので「来れないなら行ってやろう」みたいな。本当は47都道府県ツアーとかやりたいです。
――ライブがあってのバンドとのことですがこれからはライブが活動の主体に
KOKI 基本は相変わらず曲を作って、ライブをして、タイミングでいろんな地方に行ったり、海を越えて、いろんな国に行ったり。あとは、他流試合じゃないですけど、他のバンドと対バンもしたりしてみたい。フェスにも出てみたいという気持ちもあります。夢は尽きないですね。上を見たら切りがないですね。
――その上を見て行動するというバイタリティはどこから生まれているのでしょうか
KOKI 単純に…今でもですけど、周りや家族に心配をかけたし…かけているし…言わないけど心配だろうし。苦労もかけているだろうから。単純に恩返しがしたいのもそうです。ずっと付いてきてくれるファンたちにもそう。新しい景色を一緒に見たいなあと思いますね。
――自分よりも周りを
KOKI モチベーションになっているのはそこが一番という感覚ですね。
「動きで見せるしかない」
――結成からデビューまで1年ありました。先ほど迷いもあったという話もありましたが、この1年間の心の動きはどのようなものだったのでしょうか
KOKI いや…もう…それは今も変わらずやるしかないし、やらなきゃいけないという気持ちでした。
――バンドという活動の場を見つけられました
KOKI 言い訳しても返ってくるのは自分なんで。もう動きで見せるしかないと思っています。
――ところで趣味は
KOKI 多趣味なんですよ。漫画もゲームもアニメも映画も好きだし、サバゲーとかバイクとか、スケボー、スノボとか、何でもやりますね。
――好奇心が旺盛なんですね
KOKI 昔からそうなんですが、気になった事はやってみようと。誰かが言ってましたけど「やらなかった後悔はずっと残るけど、やった後悔は取り返せる。気になったものがあったらやってみよう」と。だから、格闘技も7歳くらいから色んな種類をやっていました。
――今はどのような種類の格闘技をしていますか
KOKI 今はやっていないんです。昨年から行けてない。一昨年までは4つぐらいかけもちでやってました。シュートボクシングや柔術、ジークンドー(截拳道)、あとカリ・シラット(軍隊格闘技)もやってました。
――格闘技はストレス発散にもなりそうですね
KOKI ストレスは結構発散できているタイプで。家帰って寝れば忘れるぐらいなんですよ。汗かくのは昔から好きでした。
――ご自身を動物に例えると
KOKI なんですかね? なんだろう? 肉食動物、ライオンでいたい、いなきゃいけないとも思う。それくらいの思いで攻めたいなと。人生それくらいの使命感はもっていなきゃいけないんだろうなと思うんです。でも、ハイエナとかになる事も必要なのかなと大人になればなるほど思う事もありますね(笑)。
――内面はナイーブ
KOKI どうですかね。自分ではあんまり分からないですね。古い友達とかには繊細だとかナイーブだとかって言われるんですけどね。
――ライオンでありながら心にはナイーブな一面も。そのギャップもまた面白いですね
KOKI ナイーブである心を守る為にライオンでいたいと思っているかもしれません。
――昔から体を動かすことは好きだという話がありましたが、格闘技をやるのはそれ以外の理由があるのでしょうか
KOKI 「男の子だから強くいたい」という気持ちはありましたね。小学校の頃、いじめられていたので。だから空手を習っていました。
――空手を習い始めていじめはなくなった
KOKI いや、そんな事はなかったですね。それを披露できる根性もなかったんで、だからいじめられてたんだと思います。
――小学校のときに受けたいじめの嫌な経験は今もその時の事が夢に出てきたりとかしませんか
KOKI 夢にまでは出てきませんが、記憶には残ってますね。
――歌詞は人生を投影しているという話がありました。今作では自分の人生のどの辺りが反映されていますか
KOKI やっぱり「今」なのかなと思います。あまり過去を引きずるのは好きじゃないし。やっぱり、今の自分のモチベーションだったり、気持ちのほうが、歌にしやすいのかなという気がします。
――今作を作詞した時期はいつ頃
KOKI 今年の1月ですね。年末から1、2月くらいまでかな。
――昨年11月にファンミーティングで体感したライブの高揚感やテンションはその後も数カ月は体に残っていると思いますが、1月の時点ではどうだったのでしょうか
KOKI そうですね。「始まった」という気持ちが一番にありました。