英バンド「THE BOHICAS」初来日へ、彼らが放つ弩級ロックサウンドを考察
記者がイチオシする英バンド「THE BOHICAS」。写真はConverse Red Light Sessionsのミュージックビデオ(YouTubeより)
イギリス発、弩級のロックンロールを叩き付ける「THE BOHICAS」(ザ・ボヒカズ)が今年2015年フジロックフェスティバルへの出演が決定した。正統派ロックンロールを野性的なプレイで魅せる4人組バンド。とにかく遠慮なくギターをゴリゴリ弾く様な純粋なロックンロールバンドを熱望するロックファンには期待充分の新人UKバンドの初来日だ。
「これでもくらえ!」と言わんばかりの全力ロックンロールを、体格の宜しい4人衆がドヤ顔で炸裂させる。これはひとたまりもない。絵的な迫力も伴い、容赦ない爆音とみなぎる熱量が容易に想像できる。堂々と革ジャンで演奏される彼らのステージは、聴衆のボルテージが沸点に達するまでの即時性を伴うロックンロールライブそのものだろう。
THE BOHICASとは
Pavement(ペイヴメント)やArctic Monkeys(アークティック・モンキーズ)、Four Tet(フォー・テット)など、ロックからエレクトロシーンにおいての重鎮アーティストらを輩出してきた「ドミノ・レコーズ」より期待の新人として昨年デビュー。2014年6年11日リリースのEP「The Bohicas」収録の楽曲「XXX」は英NME誌エッセンシャル・トラックスに、楽曲「Swarm」はザ・ホッテスト・トラックスという栄光を見事獲得し、一気に注目を浴びる。そして、ラジオ局オンエアチャート第1位という旋風をオーストラリアにまで轟かせた。現在までフルアルバムのリリースが無い事から、今後のリリース情報からは目が離せない。
男気溢れる4人のメンバー
大将肌な雰囲気が漂うフロントのドミニク・マクギネス(Vo.Gt)。思わずジミヘン(注釈=JimiHendrix - 60年代に活躍、ロック史に多大な影響を残したギタリスト)を思い浮かべずにはいられない、レフト・ハンドのストラトキャスターをセクシーにうねらせる男前・黒人ギタリスト、ドミニク・ジョン(Gt)。とにかく野太いビートでドラムをブッ叩く、PA(音響)さん泣かせのブレンダン・ヒーニー(Dr)。そして、ロックンロールバンドでは意外と珍しい「指弾き」ベースで、ソウルミュージックを奏でる様に8ビートを走らせるリアン・アコラツェ (Bs)。地味なメンバーなど1人として見当たらないという、ルックスもプレイも屈強な、個性溢れる4人組バンドだ。
ロックの伝統を受け継ぐバンド
とにかくワンフレーズを押して!押して!押しまくる!と思ったらサッと引く。真正面に言い放つ様なボーカル。そして、どの楽曲もほぼ2〜3分というロックンロールらしい潔さ(?)がなんだか清々しくもある。
2000年代以降、ザ・ストロークス、フランツ・フェルディナンド、アークティック・モンキーズなどに代表される、先輩ロックンロールバンド方が繋いだ正統派ロックサウンド。60年代のガレージロック、70年代のパンクなど、ロックの源流、原点要素を継承し、伝統と意思を受け継いだとも言えるTHE BOHICASのロックンロール。明日への活力みなぎる起爆剤として、確かな効果ありだ。
国内でも昨今ではOKAMOTO’S(オカモトズ)やTHE BAWDIES(ザ・ボゥディーズ)など、言わば正統派ロックンロールの素晴らしいバンドが存在する。彼らもまた、ロック3種の神器「ギター・ベース・ドラム」を用いて、欲求、欲望、願望を、最大限の爆発力をもってしてロックンロールに変換し、ガンガンに揺さぶり燃やしてくれる。
時代と共に、様々なアプローチで変化していくロックシーンだが、先述の「ロックの源流」を確保した上で、その時代のロックンロールとして呈示し、常にリアルタイムで出力してくれるバンドの存在からは、この上ないエネルギーを直に浴びる事が出来る。
期待の新人としてUKドミノ・レコーズから発射されたロックンロールバンド「THE BOHICAS 」。初来日、フジロック初出演となるこの夏、「直」なロックで踊りたい方に是非ともおすすめだ。日本の夏は彼らの祖国イギリスに比べ、厳しい気候ではあるがここはひとつ、是非とも皮ジャン着用での全力ロックンロールプレイを期待に胸を膨らませたい。 【平吉賢治】