INTERVIEW

藤岡真威人

目指すのは違和感がない演技 初舞台に臨む姿勢:ミュージカル『浜村渚の計算ノート』


記者:村上順一

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掲載:23年08月24日

読了時間:約7分

 俳優の藤岡真威人(ふじおかまいと)が、8月26日〜9月18日まで全国4都市で上演される数学×ミステリー×ミュージカル『浜村渚の計算ノート』に出演。藤岡真威人はお調子者刑事の瀬島直樹を演じる。同作は2009年より講談社Birthおよび講談社文庫(共に講談社)から刊行されている青柳碧人による推理小説で、シリーズ11巻までの累計発行部数は110万部を突破している人気作。今回ミュージカル化され主人公・浜村渚を演じるのは桑原愛佳、他にも立石俊樹、飯窪春菜、井上小百合、ダイアモンド☆ユカイらが脇を固める。MusicVoiceでは藤岡真威人にインタビューを実施。初舞台となる本作にどのような姿勢で臨むのか、ミュージカルで楽しみにしていることについて、話を聞いた。

一緒にお芝居ができる日が来るなんて夢にも思っていなかった

――舞台初出演とのことですが、出演が決まった時の心境はいかがでした?

 お話をいただいてから小説を購入して読みました。この作品は数学というテーマの中で、女子中学生の浜村渚がテロリストに立ち向かっていく、という発想がすごく面白くて、これがミュージカル化した時に、どのような世界観で数学の素晴らしさ、面白さというのを表現していくんだろうと想像が膨らみました。僕はこれまで映像の方をメインでやってきたので、まだまだ勉強していかなければいけないところがあります。生のお芝居という面が映像と大きく違う部分だと思うので、先輩方に教えていただきながら、自分でも新しい新境地を開拓する気持ちで、全力でぶつかっていけたらと思っています。

――今回演じる瀬島直樹はユーモアがある、ユニークなキャラですが、藤岡さんはどのような人物だと感じていますか。そして、役柄として見てほしいところは?

 アメリカ帰りの若手刑事で自信たっぷりな反面、かなりコミカルで言動も忙しないのですが、刑事として犯人を捕まえるぞ、という正義感に溢れた真剣さも持ち合わせているので、そのギャップに注目して欲しいです。

――ミュージカルで楽しみにしていることは?

 今まで僕は観客として俳優さん達が舞台で歌っているのを見て、ものすごく伸び伸びとしていて気持ちよさそうだなと思っていました。次は僕が舞台に立つ人間として気持ち良く伸び伸びと歌えたらいいなと思っていますし、稽古から本番にかけて共演者の皆様との関係性だったり、絆をどれだけ深めていけるか、皆さんと一緒にお芝居をできることがすごく楽しみです。

――本番に臨むにあたって準備されていることはありますか?

 セリフが聞こえない、聞こえにくかったりすると、全体のストーリーが理解しにくくなってしまうので、お客さんにいま舞台上で何が起こっていて、誰が何を言っているのか、そこがしっかり伝わることが大事だと思っています。ですので、セリフの言い回しやイントネーション、アクセントを意識して台本を読み込んでいます。セリフを録音して繰り返し聞くという、練習をしています。

――舞台やミュージカルと映像作品との違いは?

 本番ではやり直しがきかないところが舞台と映像の大きな違いだと思っています。舞台はミスをしてもそこで止めることはできないので、 一瞬一瞬にかける思い、熱量というのは舞台の方が大きいと思います。稽古だったり準備をするにあたって、心構え、姿勢というのはより一層強く持っていなければと思っています。

――この作品のどんなところに注目してほしいですか。

 どうやって事件を数学で解決していくのか、切り口とか手段とか展開が面白いと思います。数学が苦手という方もきっといるだろうし、数学がテーマのミュージカルってどういうもの? と疑問に思っている方もいると思うのですが、見終わった後に「数学ってこんなに面白いんだ」と、数学を身近に感じてもらえるような作品にできたらいいなと思っています。

――共演者の皆さんの顔ぶれをご覧になって感じたことをはありますか?

 僕を含む刑事対策本部の 3 人のうち1人に立石俊樹さんがいらっしゃいます。立石さんは僕の姉、天翔愛が過去に参加していたミュージカル『ロミオ&ジュリエット』で、ティボルトを演じられていて、僕はそこで舞台に立っている立石さんを拝見しました。その舞台での立石さんがすごくカッコいいなと思って、それ以来ずっと個人的に応援させていただいています。ですので、今回『浜村渚の計算ノート』のお話いただいた時に、同じ刑事チームの一員として立石さんがいることを知り、めちゃくちゃ嬉しかったです。一緒にお芝居ができる日が来るなんて夢にも思っていなかったです。

――ちなみに藤岡さんは数学はお好きですか。

 好きな時と嫌いな時があって、例えば因数分解は好きなんですけど、微分・積分は嫌いでした(笑)。

――ご家族の方々から舞台に関してアドバイスをいただいたりされました?

 姉の天翔愛からアドバイスをもらいました。本番に向けてこういう準備をした方がいい、こんな心構えで臨んだ方がいいとか、おせっかいなくらいいろいろ教えてくれました。

感動や勇気を与えられるような俳優になりたい

――本作では数学を愛している浜村渚ですが、藤岡さんが愛してやまないものは?

 音楽です。僕はライブやフェスも大好きで聴くのはもちろん、楽器を奏でたり歌うのも大好きなんです。時間がある時にギターを弾いたり、ちょっと疲れた時や行き詰まった時のリフレッシュできるものとしても音楽はすごく必要不可欠で、愛してやまない存在です。

――どのような音楽が特にお気に入りですか?

 BUMP OF CHICKENの曲です! 最近だと「アカシア」を聴くとテンションが上がります。

――気分転換をするために必要最低限なものとヘッドフォンで出かけるというのを、過去のインタビューで読んだのですが、これは今もやられてるんですか?

 今もやっています。スマホとヘッドフォンと少々のお金だけを持って、自然の中を散歩するのが好きなんです。何にも考えない、音楽と目に入ってくる景色だけに身を委ねながら、ボーッとしてみたり(笑)。そうすると自分の中でリセットされる感覚があります。何か行き詰まった時とか1度頭の中をリセットしたいと思った時によく行う方法です。

――それはご自身で編み出されたリラックス方法ですか?

 実は先輩の俳優さんから教えていただいたのがきっかけでした。実際にやってみたらすごく良かったので、それ以来ずっとやってます。

――私もやってみたいと思います。さて、藤岡さんはどのような役者さんを目指していきたいですか?

 自然ながらも人に感動や勇気を与えられるような俳優になりたい、というのが僕のベースにあります。僕がもともと役者という道を志したのが、大きなスクリーンで演技をされている俳優さんに感動や興奮を覚えたのが始まりでした。今度は自分が大きなスクリーンから人を感動させたり、勇気づけられる存在になりたいと思っています。

――その存在になるための課題もあるのでしょうか。

 スクリーンのような大きな画面で見ると、お客さんに表情から僕の内面などわかってしまうと思うので、しっかり芯のある人間、技術とか小手先だけじゃない内面的な美しさだったり、正しさというのをしっかり持った俳優を目指したいです。

――いま追求されていることはありますか。

 自然さです。違和感がない演技と言いますか、 海外の俳優さんを見ていると本当に演技に見えないくらいナチュラルなんです。セリフもそうですけど、演じている人物のバックグラウンドを感じさせるような動きとか動作を自然とやっているので、そこにすごい憧れがあります。

――ドラマ『テッパチ!』(フジテレビ系)で、役を作り込みすぎて撮影に臨んでしまったと、過去のインタビューでお話しされてました。

 そうなんです。普段の自分とは違う役を演じることが大半で、そうすると自然さというのはどうしても薄れてしまいます。『テッパチ!』の時は演技も本格的に始めてまだ2作品目くらいで、自信があまりなかった時期でした。役のプランを練りすぎて本番に臨んでしまい、先輩や監督さんに「もっと肩の力を抜いて、あまり考えずに自分の体が動く通りに自然にやってみて」とアドバイスをいただいて、深呼吸をしてやってみたら、すごく流れるようにお芝居ができました。一つの感覚として自分の中でつかめた部分があり、それは大きな気づきでした。

――本作で瀬島を自然体で演じるというのはやりがいがありそうですね!

 はい! 自分とは違う性質の役を演じるというのも成長につながると思います。自分の殻を破るじゃないですけど、当たって砕けろの精神で全力で瀬島直樹という役にぶつかろうと思っています。

(おわり)

藤岡真威人プロフィール

 最近の出演作に、ドラマ『クールドジ男子』(’23)、『テッパチ!』(’22)、『恋に無駄口』(’22)、映画『仮面ライダー ビヨンド・ジェネレーションズ』(’21)などがある。2023年11月3日からは日本テレビ開局70年記念舞台『西遊記』に出演予定。1st写真集「EXPRESSIONS」が発売中。

公演情報

原作:青柳碧人「浜村渚の計算ノート」(講談社文庫刊)
脚色・演出:植木護
作曲・音楽監督:松田純一
出演:桑原愛佳 / 立石俊樹、藤岡真威人、飯窪春菜、隅田美保、入来茉里、藤岡舞衣、西條妃華 /井上小百合、レ・ロマネスクTOBI、朝隈濯朗、ダイアモンド☆ユカイ 他
©青柳 碧人・講談社/ミュージカル『浜村渚の計算ノート』製作委員会

【福岡公演】2023年8月26日(土)~27日(日)キャナルシティ劇場
【大阪公演】9月1日(金)~9月3日(日)森ノ宮ピロティホール
【名古屋公演】9月9日(土)~10日(日)ウインクあいち大ホール
【東京公演】9月14日(木)~18日(月・祝)サンシャイン劇場

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