UVERworldが7月29日に 『UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM』
、30日に『UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000』を日産スタジムで開催し、2日間で14万人を超えるファンを動員した。

 29日、UVERworld初のスタジアムライヴとなったこの日、青空が広がり強烈な陽ざしが照り付ける日産スタジアムに7万2千人が駆け付け、チケットはソールドアウト。17時、誠果がバックスタンド近くのステージに登場しDJタイムがスタート。カメラが客席を映し、“ロックオン”されたファンがダンスを披露し盛り上げる。

 真太郎のドラムソロが響き渡り、オープニングナンバーは「VICTOSPIN」(現在放送中のドラマ『CODEー願いの代償ー』主題歌)。2022年12月21日に行われたTAKUYA∞生誕祭ライヴで、日産スタジアムでのライヴを行なうことが発表されてから220日。ファンとメンバーが待ちに待った日、ライヴの幕が切って落とされた。

 双方の思いが一曲目から爆発。最新のバンドの音を聴かせた後はTAKUYA∞が「2023年7月29日、UVERworldの歴史的最高の日、やばい日になるから覚悟してこいよ」と煽り、「ナノ・セカンド」「7th Trigger」「CORE PRIDE」とライヴでは鉄板のとびきり熱いナンバーの連発に、客席のノリは早くも最高潮だ。「このテンションなんで最後までやり切るんでよろしくお願いします。初速から全力でラストまでピーク持っていくからな」という言葉通り「No.1」を投下しスタジム全体が熱狂。出し惜しみなし、最初から全力疾走で「俺達このライブに人生かけてるから」(TAKUYA∞)と、いつも以上に気合が漲っている。「IMPACT」では全員がリミッターを外し<Wow~>と一体となって叫ぶ。大合唱がサッカースタジアムにピッタリだ。ドラムの真太郎も「3年前のコロナで声出せなくなってどんな声出てたかなと思ってましたけど、今日で思い出せそうです」と満足した表情で客席を見渡していた。

(写真:平野タカシ)

 多くのCrew(ファンの総称)を支えた曲「在るべき形」、そして「20年前に作ったこの曲が沢山の人を幸せにする奇跡」と語り「CHANCE」(2005年)を歌い始めると大歓声があがる。アリーナを囲うように張り巡らされた花道を、ライザー(乗り物)に乗り演奏しながらバックステージへ到着すると「φ choir」を披露。薄暮に包まれたスタジムに7万2千のフリフラ(リストバンドライト)の光の華が咲く。

 ライヴでおなじみの曲はもちろん、久々に演奏する曲も多く揃え、TAKUYA∞の祖父との思い出が詰まった特別な曲「モノクローム」を、「披露するのは最初で最後」と歌い始めると、客席に感動が広がっていった。そして7月19日に発売した最新アルバム『ENIGMASIS』に収録されている「ENCORE AGAIN」で、世代を超えたコラボが実現したBE:FIRST・SHUNTOが登場すると大歓声が沸き起こった。<もうこれ以上進めないや からが本番>という、UVERworldというバンドの根底に流れる真理と感じることができる、また後輩へのメッセージともとれる歌詞を共作したTAKUYA∞とSHUNTO、その二人の声が重なるユニゾンも掛け合いもエネルギッシュで、それぞれへのリスペクトを感じる名演だった。19歳のSHUNTOの目にこの日の光景はどう映ったのだろうか。

 アルバム『ENIGMASIS』に収録され、TikTokでも絶賛する声が飛び交っていた美しいラブソング「echoOZ』では、スタジアムが紙吹雪で包まれ、まるで歌と共に空に吸い込まれていくような感覚に襲われる。ファンとのコミュニケーションから感じた“愛おしさを”描いた「ビタースゥイート」、躍動感のあるリズムと内省的なストレートな歌詞が印象的なヒップホップ色が濃い「Don’t Think.Sing」と、最新アルバム曲を次々と披露。デビューからロック、ポップス、ヒップホップ、ダンスミュージック、ジャンルを限定せずに音楽を追求し続けている。だから一曲ごと、アルバムごとに違う世界観を提示し続けてきたことを実感できるライヴだ。

 常に最高のパフォーマンスを届けるべく、毎日10km走り続け強靭な肉体と鋼の喉を手に入れたTAKUYA∞が歌うからこそ説得力がある人気曲「PRAYNIG RUN」では、<全部やって確かめりゃいいだろう><LaLaLa>という大合唱が響き渡る。感動が残る中「Touch Off」でさらに熱気が増す。コロナ禍でもその歩みを止めず「あのほふく前進があるから今があるんだ。俺達は何があっても進み続けるけどお前はどうするんだよ?俺達の今一番大切な曲、聴いてください」と「EN」を披露。客席は涙を流しながら一緒に歌い、聴いている。7万2千人に歌っているようで、一人ひとりの心を鼓舞するように、強く優しい言葉ひとつひとつをオーディエンスに届ける。UVERworldのライヴは、ライヴハウスでもスタジアムでもそのスタイルは変わらない。常にオーディエンスの心のど真ん中に、芯を食った言葉を届けてくれる。

 「俺達の人生は間違いなく俺達だけの物。けどこのバンドはあなたの人生でもあるってこと」と「THEORY」を披露。花火が打ち上げられ歓声があがる。この曲は『REVERSI』(2012年)のカップリング曲『セオリーと決別の研究+81』がガラッと生まれ変わった作品で、Crewにとってはそのエッセンス探す楽しみ方ができる。

 そして「もっともっと強くなりたい。本当の強さが欲しい。でも強くなりすぎて相手の気持ちが分からない強さはいらない。このアルバムの中で一番大切な曲、聴いてください」と「ピグマリオン」が投下される。壮大なバラードで、後半のアグレッシヴな演奏とのコントラストが鮮やかだ。TAKUYA∞「これからも好きなことをやり続ける」と改めて決意を口にし、「でもそれが嫌で離れていく人もいるかもしれない。ただしあなたがUVERworldの何が好きだったのか、何の曲が好きだったのか、それを伝えて去ってってくれよ。そしたら俺達はそれ以上にいい曲を作ってあなた達を連れ戻すから!」と叫び、ラストの「MONDO PIECE」へ。6人とファン=Crewとが築いてきた絆、信頼を丁寧に映し出す歌詞が胸に響く。<信じた道を進めたのなら どこにいてもどんな状態でも笑っていられる気がするんだ それでこそ人生が輝く>と、とにかく好きなことを信じてやるんだと背中を押してくれるメッセージソングは涙と感動を連れてくる。まさに大団円。

(写真:平野タカシ)

 「今日俺達の出来るものすべて出しきった」(TAKUYA∞)、ベース・信人は「ほんまに俺らを選んでくれてありがとう。一生幸せもんです」と男泣き。ギター・克哉は「無謀な夢が叶いました。何回も無謀だって言われて笑われてきた俺らだから言えること……もしあなたの夢が誰かに笑われても僕ら6人は応援するんでこれからも一緒に人生歩いていきましょう」と感極まっていた。「絶対一生忘れられない思い出ができました」(サックス・誠果)、「約1年日産に向けて準備してきて最高の1日になりました」(ドラム・真太郎)、「ありがとうございました!明日も頑張ろう!」(ギター・彰)とメンバー一人ひとりが客席に感謝の言葉を贈ると大きな拍手がメンバーに贈られ、歴史的な一日は幕を閉じた。

 前夜の興奮と熱量が残っている30日の日産スタジムは空は青、アリーナとスタンドは赤、美しいコントラストが生まれていた。『UVERworld KING’S PARADE 男祭りREBORN at NISSAN STADIUM 6 VS 72000』は開演前から異常な盛り上がりだった。赤いライヴTシャツを着た男達が「男!男!」とコールし、盛り上がる。男祭りでは恒例のシーンだ。2019年、東京ドームに男性4万5千人を動員した「FINAL」と題した男性限定ライヴから約3年半。「REBORN」と名付けられたこのライヴで、この3年半でさらに進化し成長したバンドの音と生き様を、ずっと応援しているファン、そしてこの日初めてUVERworldのライヴを観るファンに見せつけた。

(写真:平野タカシ)

 全員でカウントダウンを大合唱するとTAKUYA∞(Vo)、克哉(G)、彰(G)、信人(B)、真太郎(Dr)、誠果(Sax)が登場。「のっけから全部くれてやる」というTAKUYA∞の言葉通り、「Don‘think Feel」「ナノ・セカンド」「7th Trigger」「Fight For Liberty」と最初からクライマックスを迎えたような盛り上がりで、「KINJITO」で歌詞の通りスタジアムが“桃源郷”になる。ここでラッパーのANARCHYが登場し「FINALIST」をコラボ。ドープなリズムに乗りラップバトルが繰り広げられる。客席は「そっちに行きたいぐらい」(信人)というほど終始もの凄い盛り上がりでバンドも煽られ、熱い演奏が続く。

 真太郎が「お前たち、あの子達がいないと本気出せないでしょ?」と、この日招待された888人の“ラッキーガール”が見守るスタンドの方を見て煽ると、大歓声が起きる。「VICTOSPIN」は、頭から大合唱だ。<これから見る景色はきっと 昔と同じようにはもう見えない>と歌い、爆発力の中に明確に存在するバンドの真摯な姿が浮かび上がってくる。その後もまさに怒涛という言葉がピッタリの高いテンションのナンバーが次々と投下され、オープニングからクライマックスがずっと続いているような盛り上がりだ。そして“ラッキーガール”が声援を送るスタンド近くのバックステージに移動すると「888人の女子crewに男たちの誓いの言葉、23の言葉」と紹介し「23ワード」を歌い、男と男の魂と魂の本気のぶつかり合いを女性にも届ける。「ビタースウィート」でバンドが作るグルーヴの強さを改めて感じさせてくれ、そのままインスト曲「Massive」でUVERworldというバンドの音の強さ、豊かさを伝える。

 「俺達の思う通りのカッコよさを追求しようぜ!」と山田孝之と愛笑むを迎えて披露した「来鳥江」で客席はさらにヒートアップ。続く<ライブハウス客がゼロなんてざらだった 今じゃ何万人もがチケット取り合う中歌った〉という一節が印象的な「One stroke for freedom」は過去と現在、そして未来を映し出すバンドの歴史を歌った曲であり、「自分を信じないで何を信じる?」と聴き手を強く鼓舞するエネルギーに満ち溢れた一曲だ。「考えるな!歌え」と煽り、闘争心剥き出しの一曲「Don't Think.Sing」を披露。

 この日ライヴ前に行なったミートアンドグリートで出会った義足のCrewの事を話し始める。どこかでライヴを観ているその男性に「一緒に走ろうぜ。身体的に走ってる、走ってないの話じゃない。心が止まってるか、止まってねぇかの話なんだよ!」とメッセージを贈り「PRAYNIG RUN」。前日とはまた違う空気が生まれる。信人の強靭かつ歌うようなベースが気持ちを煽る。「Touch off」でさらなる一体感を作り上げ、「IMPACT」で全員で「Wow~」と大合唱すると、カタルシスが訪れる。この日のライヴが次元が違うことを感じさせてくれる。

 最後の男祭り「FINAL」と銘打った2019年の東京ドームを経て、何故「日産スタジアムでライブをやりたい」という思いが芽生えてきたのか。TAKUYA∞は「男が二言?前言撤回?カッコ悪いな。でもやりてぇな』と、3年間のコロナ禍でもがきながら「ほふく前進」で活動を続けていた時にそんな思いに至り、葛藤していたことを吐露した。でも「本気で思っても行けないところはある。行こうと思えば行けるところくらい行けって思った。ただやりいからやるだけ。それでいいんだよ。だからお前らもやりたいことやれよ」と開催を決意した経緯を包み隠さずCrewに語った。

 「EN」「Theory」「AFTER LIFE」と人気曲が続き、スタジアム全体の温度がどんどん上がっていく。そしてラストは「MONDO PIECE」だ。東京ドームを優に超える7万2千人の観客同士が肩を組み、涙を流しながら大合唱する、「男祭り」の真骨頂とでもいうべきシーンだ。こんなライヴを経験できるファンとバンドは、最高の幸せ者だと感じた。これ以上のものがあるのだろうか――そう思った瞬間そこで人生は止まってしまうのだ。そうUVERworldが教えてくれた。ライヴが終わった瞬間からUVERworldはさらなる高みを目指し、ファンは次はどんな景色を見せてくれるのかと期待する。それぞれがそれぞれを更新しながら、また感情をたたかわせる場を求め前へ進み続ける。

 最後に9月から年末まで開催される「UVERworld ENIGMASIS TOUR」と、開催を予告していた「UVERworld QUEEN'S PARTY 女祭り THE FINAL in HAWAII 2024」の詳細が発表されCrewは喜びを爆発させた。UVERworldとCrewの新しい物語が始まる。そしてその熱狂に巻き込まれる新たなファンも増え続ける。

 またこの日産スタジアム公演2daysの模様が10月・11月にWOWOWでオンエアされることが発表された。さらに8月・9月には歴代の”男祭り"4公演の模様も放送&配信される。【文:田中久勝】

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