INTERVIEW

森七菜×奥平大兼

信頼から生まれた数多のアドリブ「すごくいいチームワークだった」:『君は放課後インソムニア』


記者:木村武雄

写真:冨田味我

掲載:23年06月23日

読了時間:約5分

 森七菜と奥平大兼がW主演を務める映画『君は放課後インソムニア』(池田千尋監督)が23日に全国公開される。オジロマコト氏による同名漫画が原作。石川県七尾市を舞台に、不眠症に悩む高校生・中見丸太(がんた)(演・奥平大兼)が、物置になっている天文台で、同じく不眠症の曲伊咲(演・森七菜)と出会うことから始まる青春物語。奥平にとっては映画初主演作となる。池田監督に「天才」と言わしめた2人はどう対峙して作り上げていったのか。【取材=木村武雄/撮影=冨田味我】

奥平大兼、森七菜に学び

――共演は『世にも奇妙な物語’21 秋の特別編』(フジテレビ/21年11月)以来ですが、その時はお話しする機会がなくて、今作がほとんど初対面と聞きました。現場で対峙された時の印象は?

奥平大兼 一緒にお芝居をしていて楽しい役者さんという印象でした。良い意味で何をしてくるか想像がつかないので素直に反応することが出来ますし、次はどういう風に来るんだろうという楽しさもありました。

――奥平さんは役を作り込まず現場で感じたことを体現していくスタイルなので、森さんとのやりとりは楽しかったんですね。刺激になりましたか?

奥平大兼 刺激になりました。実は、お芝居で考えていた時期でもあったんです。今まで、何か内に秘めて影のある暗い人物を演じる事が多くて明るい役は少なかったんです。これとは別の作品でそういう役を頂いて、お芝居で明るい人柄を表現するために勉強したいと思っていた頃にこの撮影が始まって、そこで森さんが演じる伊咲の振舞いを見てすごく刺激になって勉強になりました。そのおかげで助けられた部分もあって、森さんの芝居を間近で見られて良かったです。

奥平大兼

奥平大兼

森七菜

森七菜

森七菜、安心して臨めた

――対して森さんは奥平さんにどういう印象を受けましたか?

森七菜 すごく自然体で、悪い意味ではなく一緒にやっていて手応えが掴めなくて。お芝居をしている感覚ではなくただ喋っているだけだけど大丈夫かなって。でもそれはこの映画にとってはすごく大事なことだったような気もしていて安心して臨めました。なかなかそういう風になれない相性の方もいらっしゃるので奥平さんにそういう部分で助けてもらいました。

――森さんは普段、撮影に向けた役の持って行き方はどうされているんですか?

森七菜 何回か台本を読んで、だいたい分かったところまでで止めるかもしれないです。それ以上作り込んでしまうと現場で臨機応変にできないと思っていて。いい意味で中途半端にさせておいて現場で完成させることが多いです。

――キャラクターの核も現場で作るような感じですか?

森七菜 核は持って行って、周りの皮の部分は割と何もなく現場で作り上げる感じです。

――その上で伊咲の悩みを抱えつつも明るく振る舞う人物像はどう構築されましたか?

森七菜 伊咲としては、かっこよくいるつもりもなければ、誰にも心配されたくないし、かけたくもないという気持ちがあって、いろんな思考がそこに繋がっていると思うんです。心配されたくないというのは一つの強がりでもありますし、優しさもあるので、その根の部分を意識しました。

森七菜

森七菜

奥平大兼

奥平大兼

信頼の上でのアドリブ

――お二人の芝居のスタイルがどこか似ている気もしますが、先ほど「自然体で臨んだ」という趣旨の話がありました。自然体だとアドリブも結構多かったのかなとも思いますがいかがですか?

奥平大兼 多かったと思います。アドリブの時は森さんがセリフを言う時が多かったので、僕自身はあまり多くなかったんですけど…(笑)。もちろんアドリブなので何を言ってくるか分からないんですけど、伊咲の言葉として聞こえてくるので、丸太として僕も自然と言葉が出てきますし、そういうところも一緒にやっていて面白かったです。

――池田監督がお二人の印象を「とりあえずやってみましょう、というスタイルだった」という趣旨の話をされていましたが、具体的なエピソードはありますか?

森七菜 たぶん、私たちがやってみないと何も分からない、答えを言葉で出せないタイプだからだと思うんですけど、「こうやってみます」と言ってもその言葉通りにできないんです。なので、ひとまずやってみてという感じでした。

奥平大兼 実験に近いと思います。一回やってみて「あっ!こうなるんだ」って池田監督も僕らも感じて、そこから池田監督の要望があれば、それに寄せていったり。ほぼほぼ「一回やってみましょうか!」という感じでした。

――「生っぽさを大事にした」とも話されていて、そういうところに出ているんですね。

奥平大兼 そうだと思います。そういう意味では池田監督は僕たちに任せて下さったので嬉しかったです。信用して下さっているので僕たちも100%信用することができましたし、安心してお芝居することができました。

森七菜 私も安心してお芝居ができましたし、奥平さんは何でも返してくれます。さっき、「僕はアドリブをあまりやっていない」と言ってましたけど…(笑)、ちゃんと私が滑らないようにいろいろとフォローしてくれて、奥平さんのことも信頼していましたし、池田監督の事も信頼していたので、すごくいいチームワークだったと思います。

森七菜×奥平大兼

――ところで雨に降られることも多かったとようですが、天候の影響でシーンが変わったというのはありましたか?

奥平大兼 あったかな…?

森七菜 日にちがズレたりとか、ちょっと待つみたいなのはあって。深夜にエナジードリンクを飲みながら頑張るというのもあったよね?

奥平大兼 あった!あった!

――翼を授かった?

森七菜 もうバッサバサ(笑)

奥平大兼 バサッてね!(笑)

(おわり)

この記事の写真
奥平大兼
奥平大兼
森七菜
森七菜
冨田味我

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)

関連する記事