INTERVIEW

坂巻有紗

「達成感も倍」精神が入れ替わる役に臨む姿勢:映画『GONZA』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年06月24日

読了時間:約6分

 坂巻有紗が、6月30日に全国公開される映画『GONZA』に出演。坂巻は上村侑演じる鹿島拓海と精神が入れ替わってしまう北嶋ナディアを演じる。映画『GONZA』は、研修センターで5人の新入社員の精神が入れ替わるさまを描くラブコメディ。インタビューでは、「達成感が倍あった」と語る映画『GONZA』の撮影の舞台裏から、大黒摩季が歌う主題歌「リアル」にコーラスで参加した経緯やレコーディングエピソードについて、話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

絶対この役をやりたい!

村上順一

坂巻有紗

――出演が決まった時の心境はいかがでした?

 オーディションの時から入れ替わる役を演じていたので、その時からすごく楽しい役だなと思っていました。コメディテイストの部分もあったので、「絶対この役をやりたい!」って。オーディションは3回ぐらい受けて、最後の最後まで残れた作品だったので、ここまできたら絶対に受かりたいという気持ちが強かったので、後日「決まりました!」と聞いた時はすごく嬉しかったです。

――男女が入れ替わる役を体験して感じたことは?

 自分1人ではできる役ではなく、常に相手ありきの役になるんだなと思いました。入れ替わってナディアの気持ちになった上村さんの演技を見て、「こうやって演じてるんだ。じゃあ私もそうやって演じよう」みたいな感じでした。そして、お互いのことをよく理解するために話し合って、拓海とナディアを構築していくということをやっていました。

――性を使い分けるというのは大変ですよね。

 そうなんです。性格とか、どうしてこうなってしまったのか、その人のバックボーンを色々考えました。でも、1人で2役やっていたような感覚だったので、撮影が終わった後は達成感も倍ありました。

――お芝居のどんなところを見てもらいたいですか?

 自分が見ていて面白いなと思ったのが慌てっぷりなんです。拓海になった瞬間の「えっ、どういうこと?」みたいな演技が、うまく出せたんじゃないかなと思うので、そこを特に見てもらえたら嬉しいです。

――監督とのやり取りで印象的だったことは?

 私はモードが切り替わると言いますか、スイッチが入るタイミングがあるんです。監督が「今どう思ってるの?」みたいなことを問いかけてくださったりすると、私のスイッチが入ります。そのタイミングを見計らって撮影していただけたので、すごくやりやすかったです。

――キスシーンのお芝居も印象的でした。

 私、そのシーンの撮影は覚えてないんですよ。役に入り切ってしまっていたので、記憶が飛んでしまって(笑)。ですので、意識していたわけではなく自然と出た演技でした。どんな映像になっているのか、早く完成した映像を見たいです。

――すごく自然な感じで良かったです。

 自然体というのがすごく大好きで、私自身そういう演技に憧れているので、そう仰っていただけて嬉しいです。

つまみ食いしているところを監督に...

――撮影のなかでハプニングとかありました?

 ハプニングと言いますか、ちくり事件というのがありました。

――なんですか、その事件(笑)。

 マネージャーから、「クランクインする前にもう少し痩せてほしい」と言われていて…。当時ちょっとふっくらしていたので、ダイエットして2〜3キロ落として撮影に臨むことにしました。でも、撮影は体力を使うじゃないですか? 差し入れでお菓子をいただいていたので、それを見てしまった私は「これはもう食べるしかない!」と思いました。つまみ食いしているところを監督が隠し撮りをしていて、それをマネージャーに送られるという(笑)。

――我慢できなかったんですね(笑)。共演者に久住小春さんがいらっしゃいますけど、どんな印象の方でした?

 久住さんは大人の余裕を感じて、かっこいい人だなと思いました。みんなでごった煮を食べるシーンがあるんですけど、監督は久住さんが「一番食べるのが上手い」」と絶賛していたのですが、確かに食べた後の表情とかすごく美味しそうに見えるんです。そういう仕草もすごく勉強になりました。

――上村さんはどんな印象の方でした?

 一言で表すとすごく優しい方です。 ナディアと拓海の2人が入れ替わることがメインの作品になるので、お互いを知り尽くしていないと、どうしても細かい所作でバレちゃうじゃないですか? 先ほどもお話に出ましたが、そういうことがないように、お互いちゃんと擦り合わせていこうと、上村さんはお話ししてくださって。私はこう見えて人見知りと言いますか、壁を作ってしまうタイプなんですけど、上村さんとは最初から心を開いてお話することができました。

――上村さんは坂巻さんより年下ですが、すごくしっかりされていて。

 現場でも明るく振る舞っていて、上村さんも疲れてるはずなのに、頑張って盛り上げていた姿が印象的でした。

大黒摩季からのアドバイスとは?

村上順一

坂巻有紗

――主題歌を担当する大黒摩季さんの楽曲「リアル」にコーラスで参加されていますが、どのような経緯があったのでしょうか。

 歌がすごい大好きで得意だということを監督にお伝えしたところ、参加させていただけることになりました。

――ミュージシャンの堀川真理央さんと一緒にバンドみたいなものもやられてましたよね。YouTubeでカバー動画を拝見させていただいたのですが、すごく良かったです。

 ありがとうございます! あの時はまだボイトレにも通っていなくて、自己流だったので全然まだまだなんです。最近トレーニングを始めて、ギターも習い始めたので、さらに自信があります!

――参加されてみての感想は?

 レコーディングはすごく楽しかったです。参加させていただいて本当に光栄でしたし、すごく幸せな空間でした。私、ちゃんとしたスタジオに入って録音したのは今回が初めてだったんです。大黒さんから歌のアドバイスもいただいたり、すごく貴重な時間になりました。

――どんなアドバイスを?

 例えば、歌うスケール感が「アリーナではなくてZeppぐらいの勢いで」とか。最初は「どういうことなんだろう?」と思いました。でも、私はその言葉の意味をよく理解しないまま「経験はないけどオッケーです!」と勢いで歌ったら、大黒さんは「今の歌はドームだね。もうちょっと抑えて」みたいな(笑)。そういうやりとりもすごく楽しかったです。

――面白いですね(笑)。ちなみにレコーディングの自己採点は何点?

 初めてで緊張もしたので、60点くらいかな? 自分の中でまだまだいけるという伸びしろもあったレコーディングでした。

――シンガーとしての活動の展望はありますか。

 最近、Instagramにアカウントを作って、「歌ってみた動画」を始めました。アーティスト活動はこれからどんどんやっていけたらいいなと思っています。

――アーティストとしての活動も楽しみにしています! 最後に坂巻さんはこの作品から、お客さんにどのようなことを感じ取ってもらえたら嬉しいですか。

 人はそれぞれの悩み、抱えてるものがあると思います。でも他人だからそれを100%理解してあげることは基本できないじゃないですか。それを入れ替わるお芝居によって、自分じゃないけど自分みたいな感覚に私はなれた気がしました。世の中には色んな人がいるから、自分本位ではなくて、しっかり人と向き合っていかないと、いい社会になっていかないんじゃないかなって。『GONZA』は自分を投影してその役になったような感覚で観られる作品だと思います。こういう人もいるんだ、こういう生き方もあるんだ、ということをこの作品から感じ取ってもらえたら嬉しいです。

(おわり)

村上順一

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