俳優の河合優実と諏訪珠理が、オーディオブック及び音声コンテンツ制作・配信サービスAmazonオーディブル(以下、Audible)で6月23日より配信が開始される、汐見夏衛氏の書き下ろし最新作『さよならごはんを今夜も君と』の朗読に挑戦した。「夜食」をテーマに展開される、悩みを抱えながら過ごす若者の日常を綴った『さよならごはんを今夜も君と』は、書籍よりも先に音声で届ける「オーディオファースト作品」として配信される。音声で聴くからこその、登場人物の感情や料理が出来上がる情景の想像を掻き立て、思わず美味しい夜食を食べたくなる、心温まる物語となっている。その中で二人は地の文以外にも河合は物語の中心である女子学生・小春に加え、物語を取り巻く女性たちを、諏訪は、物語の中心となる、朝も昼も『夜食』を出す夜食専門店『お夜食処あさひ』の店主・朝日と、登場するその他の男性の朗読を担当した。インタビューでは初めて朗読に挑戦した2人に本作の注目ポイントから、一度は「もう無理かも...」と思ってしまったという収録の舞台裏に迫った。
朗読は演劇の延長にあるような感じ
――朗読はお2人とも初めての経験ですか?
河合優実 はい。お仕事では初めてです。大学に通っていた時に、ちょっとだけ朗読に触れたことはあったんですけど、 1冊まるまる朗読するのを初めてでした。声のお仕事も前から興味あったので、Audibleに出れると聞いて、「おおっ!」と思いました。
諏訪珠理 初めてです。僕は読書が好きなので、いつか本に関わるお仕事をしてみたいなと思っていたので、お話をいただいてすごく嬉しかったです。
――普段からAudibleのような音声コンテンツは聴いたりされてますか?
河合優実 利用したことはなかったんですけど、もちろん知っていました。読書の新しい楽しみ方だなと興味はありました。
――普段はどんな本を読まれるのでしょうか。
河合優実 小説が多いんですけど、川上未映子さん、村上龍さん、最近は村上春樹さんも読んでいます。
諏訪珠理 中村文則さんの作品です。僕が本を好きになったきっかけが中村文則さんの『銃』という作品で、それが初めて自分で購入した本でした。そこから読書が好きになったので、中村さんの作品は大体読んでます。
――お2人は汐見夏衛さんの作品に触れてみて、どんな印象の作家さんだと思いましたか。
河合優実 私は今回朗読をしてみて、すごく読みやすかったですし、自分の声でも入ってきやすい癖のない文章といいますか、すごくまっすぐで素直な文だなと思いました。後から知ったのですが、汐見先生は国語の教師をなさっていた方で、それを聞いてすごく納得しました。
諏訪珠理 今、それを聞いて僕も納得しました。とっつきにくさが全くなく、受け止めてくれる感じがする文章で、楽しく読ませていただきました。基本、読み手は作者の想いを受け取るものなんですけど、すごく受け止めてくれてるような感じがしました。
――さて、朗読するにあたり、どのようなことを考えていましたか。
河合優実 初めての経験だったので発見だらけでした。朗読はどういう風にやるものかも分かってない状態だったので、まずやってみて自分がこの朗読を聴いたらどういう気持ちになるのか、そういったことを想像しながら読んでいました。舞台上で役者がテキストを読む朗読劇という形もありますが、オーディオブックを聴くというのは、その公演を見に行くのともちょっと違うなと思いましたし、色々考えて試しながらやれたので面白かったです。
――難しさも感じて。
河合優実 はい。セリフの部分が特に難しかったです。書いてあるテキストをそのまま伝えようという気持ちでやっていたのですが、セリフはもちろんそこに気持ちもあるけど、普段映像作品でやっているような声色で演じるのは、ちょっと違うのかなと思いました。
諏訪珠理 読み聞かせというのは、学校や家庭内で体験したことがある人も多いと思うんですけど、僕はそれを思い出しながらやってました。難しかったんですけど、録音ブースの外でチェックしてくださる方々がいらっしゃるので、まずはその人たちに向けてやってみようと思いました。
――今回の経験が役者業にどう活きそうだと感じていますか。
河合優実 朗読は演劇の延長にあるような感覚がありました。演劇は戯曲として完成されてるものじゃないですか? 作家が書いた言葉を舞台の上で伝えるということが、映像よりもその色が強い気がしています。映像だったら言葉以外の表現でも色んな情報が出せますが、もしそれを断たれた時に自分の声1 本でどこまで表現できるのか、ということが舞台に繋がるなと思いました。
諏訪珠理 普段は映像の仕事が多いんですけど、僕がお芝居をしたものを監督さんやスタッフさんが映像に収めて、編集をして届けてくださるわけですけど、それって僕の声がそのまま伝わるわけではなくて。朗読はいつもの芝居よりも聴いてくれる人と直接的に関われてる気がして、すごくいい経験になりました。
――本作の注目ポイント、お2人はどう感じてますか?
河合優実 色々あるんですけど、私は作品で登場するご飯の描写が文字で読んでいても、すごくそそられました。声に出して読んでいたらすごくお腹が空いたので、聴いてくれた人が汐見さんの狙い通りに、「なんか美味しそうだな」とか思ってもらえたらすごく嬉しいです。
――文章でそれを伝えられるというのはすごいことですよね。
河合優実 そこで見てるみたいな感じがしました。
諏訪珠理 わかる! 映像で見ているような感じがしてました。
――諏訪さんが思う注目ポイントは?
諏訪珠理 自分のことが許せなかったり、認めることができなかったりする人が、ご飯でほどけていく、そんな作品なのかなと思いました。僕にも登場人物のような部分はありますし、少しでも聴いてくれた人が温かくなるような、そんな朗読作品になっていればいいなと思っていて、作品全体の雰囲気が注目ポイントだと思います。この作品のシチュエーションは夜が多いんですけど、浮かんでくる情景は温かくて、それもすごく面白いなと思いました。
河合優実 私はオレンジっぽい感じがしてました。
――ところで、小春という人物はどんな見た目だと想像してますか。
河合優実 役の時だったら絶対自分が映るから自分の姿しか想像しようがないんです。イメージが全くないわけじゃないんですけど、自分が演じている役ではないので、自分の姿でもない、でも今の自分の髪型と同じような感じがしました。今回、小春のお母さんのセリフもやりましたが、小春だけがちょっと自分に近い感じがしています。小春意外のキャラは自分の見た目とは違う想像するので、それは不思議なんです。
――本作でキーマンとなる朝日はどんなイメージの人だと思いましたか。
諏訪珠理 朧げながらはイメージはあるんですけど、ピントが合ってないような感じなんです。僕も自分という感じでは全くなくて、こういう人がこういうことを言ってるみたいな、人のことを語ってるような感覚はすごいありました。
「もう無理かも...」朗読の大変さを味わった収録
――収録は何時間ぐらいかかりました?
河合優実 私は5時間×3日でした。
諏訪珠理 僕は 1日に集約して6〜7時間くらいだったと思います。途中から“ストイックモード”とでも言いましょうか、そういうモードになって「まだいける、まだいける」といった感覚で、大変でしたが、すごく楽しかったです。
――河合さんは3日間に分けてとなると、初日と3日目ではだいぶ違ったのでは?
河合優実 違いました。最初は朗読への興味と意欲がすごくあって「全然大丈夫です!」という感じで収録が始まったんですけど、途中ですごくしんどくなってきて...。実はブースの中で「もう無理かも...私この仕事もう二度とやりたくない」くらいの気持ちになってしまいました。
――想像以上の大変さで。
河合優実 はい。とにかく体力的にもきつくて、自分が思っていた以上に朗読の大変さを味わいました。ブースの中でずっと気を張っていて、もちろん失敗してもやり直しはできるんですけど、それがすごい疲労に繋がって...。でも、その山をひとつ超えたらどんどん楽しくなっていきました。ゾーンに入る瞬間もありましたし、「ここもっとやりたいです 」という意欲も出てきて。録り終わる頃には「次、何やりますか?」みたいな(笑)。
――180度変わりましたね。もし、朗読の仕事をやってみたいという方がいたら、お2人はどんなアドバイスをしますか?
諏訪珠理 アドバイスなんてできないです(笑)。しいていえば、自分の好きなお菓子をたくさん持って行った方がいいよということです。やってみて糖分がすごく大事だと思いました。
河合優実 確かに糖分はすごく大事でした。
――河合さんはどんなアドバイスを?
河合優実 アドバイスではないんですけど、とにかく「やってみたらわかるよ」と伝えたいです。というのも、朗読に向き不向きがあると私は思いました。自分は結果的にめちゃくちゃ楽しくなったけど、たぶん無理だと思う人もいるんじゃないかなと思います。朗読をするというのは他のお芝居ともかなり違うもので、それを体験する価値はすごいあるので、興味があるなら、まずチャレンジしてみてほしいです。
――最後に、お2人がこれから追求していきたいことはありますか。
諏訪珠理 最近久々に会った友人から「明るくなったね」と言われるんです。これまでは自分から「お茶しに行こうよ」とか、友達にも言ったことはほとんどなかったんですけど、最近言えるようになってきて。ですので、もうちょっとLINEのようなメッセンジャーアプリを上手に使えるようになれたらいいなと思っていて、コミュニケーションを追求していきたいです。
――なぜ、なかなか誘えなかったんですか。
諏訪珠理 誘ったら嫌わてしまうんじゃないかなとか、ネガティヴに考えてしまうんです。もともと人と喋ることは好きなんですけど、より好きになり、そういう考えもなくなってきたので、美味しいコーヒーを好きな人たちといっぱい飲みたいなと思っています。
――河合さんはいかがですか?
河合優実 私は元々ダンスをやっていて、踊ることが楽しかったことがきっかけでこのお仕事を始めました。表現することが思っている以上にいま楽しいですし、広い世界があるなということを実感しています。役者として演技を極めたい、それは私が追求する先にあるゴールではないと思っていて、もちろんお芝居はずっと続けていくつもりですが、そういうところだけではなく、普段生活してる中で感動できることを追求していきたいですし、時間を掛けたいと思っています。
(おわり)
配信情報
Amazonオーディブル『さよならごはんを今夜も君と』は現在配信中。
2023年6月21日~7月18日の間、Amazonプライム会員は、Amazon・Audibleサイト経由の新規オーディブル会員登録で3ヶ月間無料になるキャンペーン中(非プライム会員は同サイト経由で30日間無料)
【作品詳細】
さよならごはんを今夜も君と
著者: 汐見夏衛
ナレーター: 河合優実、諏訪珠理
URL: https://www.audible.co.jp/pd/B0C779MWQ1
この世で一番あったかい料理は「夜食」。
お腹がぽかぽかすれば、凍えていた心や身体から不思議と力が湧いてくる。
今なら歩いていけるはず、わたしの行きたい未来へ。
昔の自分にさよならを告げるごはん、ここで食べませんか?
朝も昼も『夜食』を出す夜食専門店『お夜食処あさひ』は、学生さんであれば誰でもワンコインで食べられる。何を食べても美味しくない学年1位の成績を誇る小春。オーガニックな料理やお菓子しか食べさせてもらえない凌真、今よりほんの少しでいいから可愛くなりたい中2の若葉……。抱え込んだ悲しみも、さびしさも、絶望も少しずつ消化できるように、店主の朝日さんがとびっきりの一皿をつくる。長い夜に迷子になりがちな君に贈りたい、汐見夏衛の渾身作。
Audible(オーディブル)について
いつでもどこでも気軽に音声でコンテンツを楽しむことができる、世界最大級のオーディオエンターテインメントサービスです。プロのナレーターや俳優、声優が読み上げる豊富なオーディオブックや、ニュースからお笑いまでバラエティあふれるプレミアムなポッドキャストなどを取り揃えています。日本向けの会員プランでは、会員特典として12万以上の対象作品を聴き放題でお楽しみいただけます。
現在、世界10ヶ国(米・英・独・仏・豪・日・伊・加・印・西)でサービスを展開。オリジナル作品の制作や、書籍との同時配信など、オーディオエンターテインメントの先駆者として可能性に挑戦し続けています。
URL:https://www.audible.co.jp