INTERVIEW

久間田琳加

「監督の言葉ですごく救われた」ラブコメ作品で見せた新たな一面:映画『おとななじみ』


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:23年05月13日

読了時間:約9分

 久間田琳加が、5月12日に公開の映画『おとななじみ』に出演。久間田は幼なじみの青山春(通称:ハル/演・井上瑞稀【HiHi Jets/ジャニーズJr.】)に長年片想い中のオカン系女子・加賀屋楓を演じる。同作は中原アヤが原作の『ココハナ』(集英社)で連載された大ヒットマンガ。幼なじみのまま大人になってしまった、進みそうで進まない恋愛模様を描いたコメディラブストーリーが実写化。幼なじみで、モテアネゴ系女子・小戸森美桜役に浅川梨奈、楓に密かに想いを寄せる蓮見伊織役を萩原利久が務める。インタビューでは撮影の舞台裏から、仕事をする上で大切にしていることについて話を聞いた。(取材・撮影=村上順一)

ゴリラっぽく見えるように鏡の前で練習した

村上順一

久間田琳加

――出演が決まった時の心境は?

 すごく嬉しかったのですが不安もありました。スクリーンにずっと自分たちが映ることを想像しただけで、すごく緊張してしまって。初めましてのキャストさんも多い中で、幼馴染みという関係性をどう作っていこうかすごく考えました。

――久間田さんは少女漫画がお好きだとお聞きしているのですが、『おとななじみ』は読んだことはありましたか。

 今回のお話をいただいてから原作を読ませていただきました。少女漫画は大好きなのですが、キュンキュンしかない作品をずっと読んできていたので、 こんなにもコメディ要素のあるラブストーリーってあるんだと思いました。

――原作を読んで、演じることへのヒントみたいなものはありましたか。

 たくさんヒントが詰まっていて、その中で唐揚げを作るシーンがあったので、家ではあまり揚げ物とか作らないんですけど、久々に作ってみました。楓のようにカリカリにはできなかったんですけど、そういうところから楓に近づけたらいいなと思ってました。

――コメディ要素のある役を演じてみてはいいかがでしたか。

 原作を読んだ時も感じたのですが、 楓は動きも大きいし、表情もすごく豊かで、自分とはちょっとかけ離れてるような気がしました。どちらかというと私はハルの方が近いかもしれないです。最初は演じることにすごく不安だったんですけど、これができたら、また新しい一面を皆さんに見てもらえるんじゃないかなと思って、ワクワクしてました。

――ご自身が演じる加賀屋楓にどのような印象を持ちましたか。

 天津乱漫という言葉がピッタリだなと思いました。そして、20年間もハルに片想いする一途さ、ピュアで真っすぐで好きな人に世話を焼いてしまう、そんなところが応援したくなるような女の子という印象を受けました。

――幼馴染み感みたいなものを出すために、話し合われたことはありますか。

 お互いのことを知らないまま撮影に入るのは不安だったので、最初は監督も一緒に散歩をしたり、他にもジェンガ大会や2時間ほど雑談したり、そうやって距離を縮めていきました。スタッフさんも交えてそういった時間があったことがすごく良かったなと感じています。同世代なので当時流行ったものとか、共通の話題もあったので楽しかったです。

――撮影で監督からの印象的な言葉とありましたか。

 「今までに見せたことがない表情をしてもらいます」という言葉が印象的でした。その言葉でめちゃくちゃスイッチが入ったと言いますか、この作品で今までの久間田琳加のイメージを変えたいと思ったので、それは自分の中でポイントになった言葉だなと感じています。ですので、撮影現場でも恥ずかしくなかったのは、監督のその言葉のおかげで、すごく救われたと感じています。

――今回、楓のイメージに合わせるため髪の毛を切りましたよね。それ以外にも役のためにやられたことはありますか。

 楓が春から「ゴリラかよ」と言われるシーンがあるのですが、少しでもゴリラっぽく見えるように、鏡の前で練習をしました。あと、カメラを置いて演じてみて、客観的にどう見えてるか確認したりもしました。

――録画されていたのですね。

 はい。でも、その動画は速攻で消しました(笑)。

――原作がないオリジナル作品もありますが、今回のように原作がある作品と比べるとどちらがやりやすいですか。

 ヒントがたくさん散りばめられてるという点で、漫画原作はすごく助かる部分もあるのですが、逆に悩んでしまったりすることもあります。それは原作が好きな方もいらっしゃるので、その分プレッシャーもすごく大きいです。どちらも大変で違う難しさがあるなと感じています。

――原作がある場合は、その役になりきるという点で、見た目というのはすごく重要ですよね?

 はい。髪の毛を切ってスイッチが入ったと言いますか、楓を演じるという点で、髪を切って本当に良かったなと感じてます。

――それは周りの方からの勧めではなく、ご自身から?

 元々髪の毛を切るという方向の話だったみたいなんですけど、私も原作の楓を見た時に、「あ、髪切りたい」とすぐに思いました。そうしたらスタッフさんも同じような気持ちだったので、安心しました。

――今回、演じるにあたって1番難しかったシーンは?

 冒頭の楓が寝ているハルを起こしに行くシーンは、リハーサルでも回数を重ねました。あのシーンでハルと楓2人の関係性を観てくれる人にわかりやすく伝えたい、という思いが監督にありました。個人的にも一番練習したシーンということもありこだわったシーンの一つです。

――そのシーンを撮り終えると、不安も払拭されました?

 その後もけっこう不安で「大丈夫かな...」と井上さんとも話していました。ただ、それを払拭できたタイミングはありました。意外と4人一緒のシーンというのは少なかったのですが、撮影も中盤に差し掛かったホテルでのシーンで4人が久々に合流した時、それまでの不安がなくなった感覚がありました。それは、私と井上さんがずっと不安がっていたので、浅川(梨奈)さんが引っ張って空気を変えてくださったからだと思います。

――久間田さんが1番キュンとしたシーンは?

 髪の毛が絡まってしまうシーンが1番 キュンとしました。ハルがキュンとするような雰囲気に持っていくんですけど、急に変なことを言いだすので、それが楓の反感を買うんですよね(笑)。でも、そのシーンはいい感じで進むので、すごく少女マンガ感があるなと思い、私はキュンとしました。

私もそういう人に出会えたら

村上順一

久間田琳加

――ハルと楓、2人の関係性はどう見えましたか。

 私自身、幼馴染と呼べる子はいないんですけど、環境が変わると話が合わなくなることって起こり得ることだと思います。 そういったこともないまま、ハルのことをちゃんと「好きだ!」と言えるのはすごく素敵だなと感じて、私もそういう人に出会えたらいいなと思いました。

――自分と楓はかけ離れていると仰っていましたが、楓に共感できたところは?

 楓も一つのことに集中してしまって、器用にこなせる子ではないというところは、私にも通じるところがあると思いました。それこそ恋愛だけじゃなくて仕事のことで悩んだりすることもあるんですけど、それがとても人間らしくて親近感がありました。私もガチガチになっちゃって、もっと柔軟に考えられればいいのにと思うことは沢山あります。自分の中で直したいところの一つなんです。

――共演された井上瑞稀さん、浅川梨奈さん、萩原利久さん3人の印象は?

 井上さんは私がすごく心配性なので、「いまの大丈夫かな...」とか言っていると「大丈夫できてるよ」とか「監督がオッケーって言ってるんだから大丈夫」みたいな感じで話してくださって、本当にポジティブな方なんだなと思いました。

 浅川さんはご自身でもおっしゃっていたんですけど、自分は役のままだと言っていて、私からみても本当に(小戸森)美桜そのままなんです。アネゴ感と言いますか、しっかりものというイメージです。お芝居についてアドバイスしてくださったりとか、すごく頼りになる存在でした。

 萩原さんは現場で1番のムードメーカーでした。モノマネとかしたり、現場を和やかにしてくれる存在でした。萩原さんはNGないのかなっていうぐらい(笑)。

――萩原さんが演じているキャラクターからは、ちょっと想像できない感じで。

 ご自身でも(蓮見)伊織役が来た時に、「キャスティングミスかと思いました」とずっと言っていて、 そのギャップをすごく感じましたし、伊織というキャラクターがより素敵に見えました。

――本作に出演して、新たな気づきはありましたか。

 これまでは真っすぐなラブストーリー作品に参加させていただくことが多かったので、自分がコメディ作品をちゃんとできるかすごく不安だったんですけど、 実際やってみたらすごく楽しかったんです。ですので、コメディ作品にもっと参加してみたい、という気持ちになれたのは新たな発見でした。

――コメディ作品に出演するにあたり大切にしたいと思うことはありますか。

 これはコメディだからというわけではないのですが、監督やスタッフさんとコミュニケーションを密に取ることです。話すことを大事にしたいと思いました。

――過去のインタビューを拝見させていただいたら、積極的に共演者の方とコミュニケーションを取ることがあるとお話しされていたのですが、今回はどのようなコミュニケーションの取り方を試みましたか。

 ちょっと記事が出るタイミングで、時系列が変わってしまったのですが、『おとななじみ』でできなかったことを活かして、そこからコミュニケーションを積極的に取るようになりました。ですので、『おとななじみ』の時は、井上さんにそういった部分を全てお任せしてしまってました。人任せではダメだと思うようになり、自分が変わるきっかけになった作品なんです。

――ちなみに現在の課題みたいなものはありますか。

 私、すごくネガティブ思考なんです。話してるとそんな感じはしないと言われるんですけど、結構ネガティブで絶対に起きない最上級のことまで考えてしまいます。例えば明日めちゃくちゃ怒られて、撮影が中断になってしまうみたいな、最悪の事態まで考えてしまう癖があって。撮影初日の前日にそうなってしまうのですが、終わってみれば「すごい楽しかった」という日が多いので、妄想している時間をなくしたいなと思ってます(笑)。

――お仕事やプライベートで大切にしていることは?

 楽しむことを大事にしてます。その楽しさが作品を通して、皆さんに伝わればいいなと思っていて、すごく心がけてることです。私は学ぶことを義務化させてしまう時があって、自分自身がそれでしんどくなっちゃったり、楽しめなくなってしまう時があるんです...。それが周りに伝わってしまっている気がしていて、気を付けるにようにしています。そして、不安になるのは準備不足のせいだと思っていて、 常にアンテナを張ってしっかり準備をして、「いつでも大丈夫です!」とドシっと構えられるようになりたいと思っています。

――過去のインタビューで“食べることが原動力”になっていると見たのですが、食べること以外で原動力になっているものはありますか。

 食べること以外ですと、漫画を読むことです。寝る前に一作品読むこともあります。私は漫画からエネルギーをもらうことがすごく多いなと感じているので、それが原動力になっていると思います。

――最後に映画『おとななじみ』の見どころをお願いします!

 キュンキュンだけではなくて、笑える要素もたくさん詰まっているところです。楓がちょっと大人になっていく、その成長過程も皆さんに注目していただけたらと思っています。そして、同世代の方にキュンキュンしてもらいたいとのはもちろんなんですけど、私より上の世代の方にも観ていただいて、「自分にもこういう時代があったな」とか思いを馳せていただくのもいいなと思っているので、いろんな世代の方に観ていただけたら嬉しいです。

(おわり)

ヘアメイク 
Mien(Lila)

スタイリスト
Toriyama悦代(One8tokyo)

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村上順一
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