是枝裕和監督、故・坂本龍一氏とのやりとり明かす　念願の音楽に「とても誇り」

　安藤サクラ、永山瑛太、黒川想矢、柊木陽太、高畑充希、中村獅童、脚本家・坂元裕二氏、是枝裕和監督が８日、都内で行われた映画『怪物』（６月２日公開）完成披露試写会に登壇した。

　【動画】坂本氏とのやりとりを明かす是枝監督

　本作の音楽は坂本龍一氏が担当した。「撮影場所が諏訪に決まって描かれる脚本に風景が明快になった時に、夜の湖に龍一さんの曲が響くと良いなと思った」と編集しながら坂本氏の音楽を仮当て。それに手紙を添えて坂本氏に依頼をした。

　是枝監督にとっては長年の念願だった。「体調の事もあったのでダメだったら諦めようと思っていた」というが、坂本氏はすぐにそれを観て手紙を返信。「全部を引き受ける体力は残ってないけど、観させて頂いたら面白くて、音楽のイメージが何曲か浮かんでいるので形にします。気に入ったら使って下さい」

　坂本氏が作曲したのは２曲。他の楽曲は「すでに発表している楽曲から使って頂いて構いません」とのことで、アルバム『12』から使用した。

　是枝監督は「最後にこういう形でご一緒できたのは自分にとっても誇りですし、この作品にとって、坂本さんの楽曲が必要だったというのは出来上がった作品を観ると誰よりも強く自分が感じています」とし、「当てた曲だけでなく、『12』から使った曲も本当に映画を観て作って頂いたと思うぐらい映像と作品にマッチして。作品の中から聞こえてくる音楽として存在してくれているので感謝しています」と感無量の様子。

　坂本氏は生前、「今回残念ながらスコア全体をお引き受けする体力はなかった。監督からのたってのご所望でピアノ曲２曲を提出した。新しいアルバム「12」からの曲や、古い曲を使って全体を構成してくださった」とコメントを寄せていた。

是枝裕和監督