昨年、メジャーデビューし、歌唱力と完成度の高い楽曲が話題の4人組ボーカルグループ・OverToneが22日、東京・渋谷WWW Xで全国ツアー『OverTone Live Tour 2022-2023「POP APP」』セミファイナル公演をおこなった。ツアーは昨年12月にリリースされたミニアルバム『POP APP』を携えて、2022年12月24日の大阪・梅田クラブクアトロ公演を皮切りに2023年1月28日の岡山・CRAZYMAMA KINGDOMまで、全国9ヵ所を回るというもの。ライブでは、『POP APP』収録曲から「モンスター」や「GoodNight」など、アンコール含め全20曲を届けた。東京公演の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

「Prologue」で幕開け

OverTone【撮影=藤田駿(ARIGATO MUSIC)】

 2023年1月も早くも後半。昨年からスタートしたツアーもセミファイナルの8公演目。このツアーで培ってきたものが存分に堪能できることが予想できる。そんなワクワク感があるなか、いよいよ開演時刻に。ダイナミックなオープニングSEに続いて、オバトンの4人がステージに登場。フューチャー・ベースサウンドが印象的な「Prologue」でライブの幕は開けた。4人の歌声が会場の隅々まで響き渡る。サビでの倍音(OverTone)豊かなエネルギッシュな歌声が、グッとオーディエンスの心を引き寄せる。

 そして、間髪入れずにアッパーチューン「モンスター」へ突入。メンバーは手に持ったタオルを振り回し、フォーメーションを変えながらの歌唱で、目でも楽しませる。序盤から大きな盛り上がりを見せる。

 自己紹介では、声出し解禁ということもあり、メンバーの声にオーディエンスも、声で応える。3年以上前、当たり前だった光景が少しずつ戻ってきていることを実感した瞬間だった。間奏での会場一体となったクラップも印象的だった「青のSUN」、“オーイエー”とメンバーとオーディエンスによるコール&レスポンスから「夏ミカン」と、一体感を高めてくれるナンバーを立て続けにパフォーマンス。

 「ウォーミングアップはこれくらいにして、本番行きましょう!」と煽り、披露された「Journey」では、「大好き◯◯」とメンバーの名前をオーディエンスがコールし一体感を高めれば、4人の美しいハーモニーが印象的だった「I&YOU」をインタールード的に挟み、「平行線ロマンス」にシームレスにつないだ。違和感を感じさせないアレンジでオーディエンスを扇情。ライブならではの流れで楽しませてくれた。

 ここからはしっとりとミディアムナンバーのセクションへ。「それと、愛」を情感を込め丁寧に歌い上げれば、オーディエンスも耳をステージに傾け、4人の歌声に身を寄せる。そして、NOWAR The 匠が作詞・作曲した「つよがり」は、八上和希のエモーショナルな歌声によって、楽曲のメッセージの輪郭がより濃くなっていく。

 MCでは、アマノが水分補給に関するうんちくを展開。メンバーからのツッコミもありつつ、4人の仲の良さを感じさせてくれた。そして、このあと披露する楽曲の振り付けをレクチャー。届けられたのは身体を動かしたくなるグルーヴィーなナンバー「論外」。小媒体のインタビューで、八上が「格好良く歌える曲を作ってほしい」とGUCCHIにリクエストして出来上がったナンバーだ。<論外だ 論外だ 論外だ>と連呼される中毒性のあるメロディーに合わせ、会場もメンバーの手の振りをマネしながら楽しんだ。そして、盛り上がり必至の軽快な「神様のルーレット」、「エリーに首ったけ」と、心躍るナンバーを連続で披露。メンバーの振り付けも楽しめる楽曲に、会場のテンションもさらに上がっていく。

みんなの力を貸してほしい

OverTone【撮影=藤田駿(ARIGATO MUSIC)】

 次の楽曲に入る前にGUCCHIは「大事なことなので...」と前置きし、「家族っていつでもいるけど、子供の頃はなかなかありがとうとなれない。というのもそれが当たり前に思えていて、母親から安心感をもらっていたからなんじゃないかなと考えようになりました。僕が親になったとき、奥さんや子供に当たり前をずっと大事にしていこうね、当たり前を忘れずに、そんな想いで書いた曲があります」と、楽曲に込めた想いを伝え披露されたのは「赤い線」。<ずっと忘れないで 忘れないで>というサビのメッセージが印象的に、会場に響き渡った。

 「オレンジ色」では、落ちサビで八上がオフマイクで歌声を届ける場面も。生声に近い歌声は、マイクに通したそれとはまた違った表情を見せてくれた。そして、TikTokでバズったナンバー「GoodNight」で、会場を優しく包み込んでいく。「みんなの曲です。声を聞かせて」と投げかけると、オーディエンスがシンガロングし、ライブならではの心地よい空間を作り上げた。曲が終わると八上は「いい空間だったなあ」と、ぽつり。

 2022年はメジャーデビューと2枚のアルバムリリースなど怒涛の1年だったと振り返る八上。「ほんまに音楽で生きているんやと再確認。コロナ禍の2年間だったから改めて身にしみた2022年でした。それぞれ憂鬱や鬱憤があったと思いますが、希望が徐々に見えてきて僕らももっともっと頑張ろうかなと改めて思っています。2023年に大阪のZeppでワンマンライブをするという新しい夢、目標ができました。必ずソールドアウトさせようと目標を掲げて精進している途中ですが、僕らの力だけではそんな大きなステージには立てないと思っていますし、みんなの力を貸してほしいと思っています。ぜひ、Zeppについてきてください」と決意を語った。

OverTone【撮影=藤田駿(ARIGATO MUSIC)】

 続けて、「みんなで歌いたい曲があります。間違いなく今日ここで全員と歌いたいと思ってこの2年間死ぬ気で伝えてきた曲です。一緒に歌ってください」と、「M7」を投下。4人から放たれる熱いメッセージに、腕を振り上げ、ライブならではの一体感も相まって会場のボルテージは最高潮を迎える。

 本編ラストはアルバム『POP APP』の最後を飾る「Have a nice day!!!」。今回のツアーのテーマでもある、日頃からある悩みや鬱憤を払拭してくれるようなポジティブなエネルギーに溢れた1曲。これからのオバトンの活動で、重要な1曲になっていくのではないか、と感じさせてくれるような、オバトンらしさ全開の熱いパフォーマンスで魅了した。

 オーディエンスが「僕らの街」を歌い始め、その合いの手のように“アンコール”の声を響かせる。その声に導かれるように4人が再びステージに。披露されたのはメジャーデビュー曲で4人の決意を感じさせる「ゼロ」、「Encore」と続けてパフォーマンス。大いに盛り上げ、オーディエンスと記念撮影を行い、最後は友情がテーマの「僕らの街」を届けた。4人はステージを降り客席へ。サビではメンバーがオーディエンスと肩を組み、リズムに合わせ横揺れしながらの歌唱。絆を感じさせ、歌詞にもあるように記憶に残る瞬間だった。

 八上の余談!?も含め、最後の最後まで楽しい空間を作り上げたオバトン。歌を通してオーディエンスとの距離感が近いパフォーマンスで、少しずつライブがコロナ禍以前に戻りつつあることも感じさせてくれたステージだった。音楽とユーモアの掛け算で、目標に向かって邁進する4人の未来に期待が高まるライブだった。

セットリスト

『OverTone Live Tour 2022-2023「POP APP」』
1月22日@東京・渋谷WWW X

01.Prologue
02.モンスター
03.青のSUN
04.夏ミカン
05.Journey
06.I&YOU
07.平行線ロマンス
08.それと、愛
09.つよがり
10.論外
11.神様のルーレット
12.エリーに首ったけ
13.赤い線
14.オレンジ色
15.GoodNight
16.M7
17.Have a nice day!!!

En1.ゼロ
En2.Encore
En3.僕らの街

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