OverTone、それぞれの変化とMAJOR 2ND ALBUM『POP APP』に迫る
特別企画

OverTone

それぞれの変化とMAJOR 2ND ALBUM『POP APP』に迫る


記者:村上順一

撮影:

掲載:22年12月15日

読了時間:約12分

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  ベリーグッドマンが設立した『TEPPAN MUSIC』より 今春メジャーデビューを果たした4人組ボーカルグループOverToneが12月7日、MAJOR 2ND ALBUM『POP APP』をリリース。OverToneは、2017年9月に大阪で結成され、2022年3月に配信シングル「ゼロ」でメジャーデビュー。6月にはオリコンデイリーチャート10位にランクインしたメジャーデビューアルバム『Prologue』リリースした。

 2ND ALBUM『POP APP』は、 プロデューサーにNAOKI-T、松岡モトキ、HiDEX(ベリーグッドマン)、ROVER(ROYALcomfort)、SHIBU等ヒットメイカーを起用。先行シングル「赤い線」「論外」など、バラエティに富んだ6曲を収録。インタビューでは、メジャーデビューという節目の年となった2022年を振り返りながら、MAJOR 2ND ALBUM『POP APP』の制作背景、メンバーが追求していることなど、アマノ、GUCCHI、NOWAR The 匠、八上和希の4人に話を聞いた。

2022年を振り返る

『POP APP』ジャケ写

――2022年を振り返るとどんな1年間になりました?

アマノ 僕らは今年メジャーデビューしたのですが、これまでは音楽を楽しいという気持ちだけでやっていた部分が強かったんです。でも、仕事としての音楽というところで変わった部分もあった1年でした。それは昔と比べると僕らと関わって下さる人の数も増えましたし、目標が明確になったというのもあります。加えて、コロナ禍でライブがなかなかできなかった時期もありましたが、こういう状況でも「OverToneのライブに行きたい」と思ってもらえるようにするにはどうしたらいいのか、と考えるようになり、意識が変わっていきました。

NOWAR The 匠 楽曲制作においてもプロデューサーさんだったり今まで関わることがなかったヒットメイカーの方ともご一緒させていただいて、この高いレベルで一緒にやっていかなければいけないんだと、そこに対する責任感みたいなものが生まれた1年でした。メジャーデビューがゴールではないので、もっと大きなステージでやりたいですし、チャートももっと上に行きたい、とそんな気持ちの変化がありました。

八上和希 僕はOverToneのリーダーを担当しているので、スタッフの方々とお話しする場面も多いのですが、良い意味で音楽をビジネスとしてもしっかり成立させないといけないんだと感じた1年でした。そこをしっかり考えないと周りは動いてくれないと思ったんです。楽しいから、歌が好きだからという気持ちだけではやっていけない世界だと知った1年でした。

GUCCHI メジャーデビューするにあたって責任、プレッシャーは大きくなりました。制作面では出てきた言葉をそのまま書いていたものを、もうひとひねり、ふたひねりするようになり、一言一言、一音一音をよりこだわるようになりました。制作スピードも上がってきたんですけど、楽しくやらなければというところに気持ちが戻ってきました。部屋に籠っていても曲はできないことが分かったので、外に出て人に会ったり色んなものに触れて生活しないといけないなって。ここにきて原点に戻ってきた感覚もある2022年でした。

――結成5周年を今年の9月に迎えましたが、メンバーの印象が変わったなと感じる部分はありますか。

八上和希 当時と比べるとすごく大人になったんじゃないかなと思います。落ち着いた部分も出てきたんじゃないかなと。

GUCCHI 大きく印象は変わっていないですね。僕らの関係性も変わっていないですから。ただ、OverToneとしてはやっと板についてきた感覚はあります。最初は学生ノリなところがあってそれが僕らの武器だといった感じもありましたが、それも持ちつつ各々の役割も明確になってきましたし、それぞれが人生単位で音楽を考えるようになってきたと思います。

八上和希 見た目の変化だと、衣装も派手になりました(笑)。インディーズの時はそれぞれが着たい衣装を自分で買いに行っていたので、統一感もなかった。でも今はスタイリストさんに選んでいただいているのでいい感じです。

――ちなみにそれぞれイメージカラーみたいなものもあるんですか。

八上和希 あります。僕が黄色で、GUCCHIは青、匠が紫、アマノは緑色なんです。結成当初にOverToneのロゴをデザイナーさんに作っていただいたんですけど、そのデザイナーさんにメンバーカラーもお願いして決めてもらったという経緯があります。すごくしっくりきています。

――ご自身が好きな色が反映されているところも?

アマノ 特に好きな色というわけではなかったんですけど、緑を自分のカラーだと意識するようになりました。

GUCCHI 僕は黒が好きな色だったんですけど、今は青に変わりましたね(笑)。

NOWAR The 匠 ちなみに赤色は僕たちのファン、オバハン(ファンの呼称)のみなさんのイメージカラーになっています。

――結成から5年、音楽的にはどんな変化がありました?

八上和希 楽曲全体のレベルも上がっていて、みんな歌がすごく上手くなったなと感じています。それぞれが得意ではないジャンルもあるのですが、そういうのも練習して歌えるようになってきたので、表現力も上がってきてると思います。例を挙げると、OverTone結成前の匠くんは、音源で歌詞が聞き取れないほど声がこもっていましたから(笑)。

NOWAR The 匠 声こもってましたね(笑)。発声の仕方がそういう風になっていた時期があったのですが、それもOverToneに入ってから変わりました。みんな歌が上手かったので自分もこのままではダメだなと思い、自分の個性を出していかなければという意識になったのを覚えています。

――アマノさんは最後に加入したわけですけど、歌が上手いというところから加入に至ったわけですよね。

NOWAR The 匠 そうです。僕とGUCCHIから見たら、アマノは「歌の上手い八上の友達」でしかなくて。

GUCCHI 急にアマノを入れたいと八上が言い出して「遊びちゃうねんで」って(笑)。でも、八上の第六感みたいなものを信じようとなりました。

――しかもめちゃくちゃキレイ好きだと聞いています。ホテルを掃除してしまうくらい。

八上和希 もうA型って感じです。

アマノ でも、掃除をするというよりは自分の住みやすい空間にする感じです。延長コードを常に持ち歩いています。

――なぜですか?

アマノ ベッドにコンセントがない場合があるので、そのためですね。

GUCCHI あと、アマノはみんなの意見を取り入れるのが上手いですね。

アマノ 客観的に聴いている人の意見は取り入れます。今回も「つよがり」という曲は匠くんが作詞・作曲をしているのですが、匠くんが考えているニュアンスなど、意見を聞きながら歌っていきました。

『POP APP』制作エピソード

――楽曲制作についてお聞きします。匠さんが本作『POP APP』のレコーディングで印象的だったことは?

NOWAR The 匠 「Have a nice day!!!」のレコーディングです。曲の最後にわちゃわちゃしたガヤが入っているのですが、その時の八上の笑い方がのクセが強いので、皆さんに注目してほしいところです(笑)。

八上和希 よく笑い方にクセがあると言われるんですけど、これには理由があるんです。OverTone結成当初に「笑ってはいけない」がこの4人の中で流行りまして。笑った人が罰ゲームを受けることになるので、笑うことを我慢するようになりました。その影響から笑う瞬間、変な感じになって…。

NOWAR The 匠 笑う時「キュピっ!」って言ってますから(笑)。それを音源に使ってしまうという。

――それがOverToneらしさにも繋がっていますよね(笑)。

八上和希 「Have a nice day!!!」は特にOverToneらしさが出ている曲だと思います。

――そんな八上さんの印象的だった曲は?

八上和希 3曲目の「論外」です。僕がGUCCHIに「格好良く歌える曲を作ってほしい」とずっとリクエストしていて、この曲ができた時に「これだ!」と思いました。僕は大サビ前のブリッジ部分を歌っているんですけど、ここをいかにカッコよく歌うかを意識していました。みんなは「今のテイクいいじゃん!」となっているんですけど、楽しくなりすぎて何回も録り直して...。

GUCCHI でも、僕らからするとその違いがわからないんですよ(笑)。最初の試しに歌ってみたテイクが既に良かったので、僕らはぶっちゃけそのテイクでも良かったくらい。

八上和希 いろんな表現が無限に出てきすぎて、試したくなってしまって。自分が気に入っている曲だと引き出しが増えるんですよね。

――アイディアが溢れてきてしまったんですね。GUCCHIさんはいかがでした?

GUCCHI 一番印象に残っているのは、「赤い線」のレコーディングです。大サビの<繋がれた二つの赤い線は>からのパートはデモの段階では録り方をなんとなくしか決めていなかったので、どうやって録ろうかみんなで話合った結果、2行ずつで分けようとなりました。後半は八上に歌ってもらうことに決まったんですけど、前半を誰にするかオーディションをしました。僕もみんなから推薦を受けて挑戦したんですけど、自分で作ったのにキーが高くて届かなくて脱落しました(笑)。

――「赤い線」のような曲は実体験から生まれるんですか。

GUCCHI 基本的に僕は物語を作り上げます。自分の経験してきたものも反映していると思いますが、マンガからインスパイアされることが多いです。

――皆さんも作品を作る時にそういったインスパイアされるものはありますか。

NOWAR The 匠 「つよがり」は半分実体験からなんですけど、ほとんどはフィクションで作ることが多いです。僕は歌詞の内容からというよりは、どういう雰囲気にしようか考えてからコードを探すという作り方なので、出来事がきっかけで曲できるというのはあまりないかもしれないです。その中でメロディが出てきやすいシチュエーションはシャワーを浴びている時ですね。シャワーのザーという音に包まれている時が、集中できるんです。

アマノ 僕も「よし! 曲を作ろう」と思ってできるタイプではないんです。基本的には車やバイクに乗っている時に思いつくことも多いです。何か雑音があった方が出てきやすいです。「Have a nice day!!!」のサビは僕が考えたんですけど、これはファンの方のSNSを見ていて、「生きてりゃ面倒臭いなって」というワードが出て来たのをきっかけに、そこからメロディが生まれました。

――バイクにも乗られるんですね。

アマノ 原付なんですけど(笑)。

――GUCCHIさんはどんな時に曲が生まれやすいですか。

GUCCHI 僕は2人とは逆で、雑音とかない環境の方がいいです。僕の家の横に高校があるんですけど、平日の昼間は生徒が元気すぎなんですよ(笑)。

――昼間は楽曲制作には適してないですね(笑)。八上さんはいかがですか。

八上和希 今回の「Have a nice day!!!」のようにトラック先行で作る場合、自分が歌う部分は作るのですが、僕はいま曲は作らないで、基本メンバーに任せています。結成当初、精力的に曲を作っていた時はラブソングしか書けないタイプでした。アッパーな曲を書くのが苦手で、GUCCHIはすごいなといつも思います。ラブソングは僕の中で表現しやすくて、その時の恋愛をそのまま書くことが多かったです。

それぞれが追求していきたいこととは?

――それぞれ色んな作り方があるんですね。さて、1曲目に収録されている「Prologue」は、前作のアルバムタイトルでしたが、今回のアルバムにそのタイトル曲を入れるというのは面白いですね。

GUCCHI このアルバムの制作会議の時に、ディレクターさんがこういうことをやっているバンドがいるよと教えてくださったんです。そのお話を聞いて僕らも面白いなと思いましたし、「Prologue」というのも曲のテーマとしていいなと思いました。それでOverToneには合わないかもしれないけど、僕がその時にハマっていたフューチャー・ベースのアレンジで一回作ってみようと思いました。

――OverToneらしさも出ていていい感じですよね。ということは次作では「POP APP」という曲が入る可能性も…。

GUCCHI そういう可能性もありますけど、ちょっとPOP APPがテーマの曲は難しいそうだなと。これでバラードとかだったら面白いかもしれないですけど(笑)。

――このタイトルに込めたメッセージは?

GUCCHI 僕の中でOverToneの軸にあるのはPOPSだというのがありました。それで街に出てお店のポップアップを見ていて、これを上手くもじれないかなと思いました。UPをAPPに変えたのは、サブスクなどのチャート上位にOverToneがポップアップする、飛び出てくるという意味でつけてみました。

八上和希 タイトル、“P”が多いですよね(笑)。

――確かに(笑)。では、皆さんがいま追求されていることはありますか。

GUCCHI 僕はいま思考を音楽に振り切っているので、音楽偏差値をあげることを追求しています。コロナ禍になってからDTMを本格的に始めたので、まずはそれを突き詰めていきたいと思っています。いずれ編曲のクレジットに僕の名前が入るのが目標です。

八上和希 僕はリーダーなので、広くこのチームを支えたいと思っています。メンバーの精神面などフォローできたらいいなと。事務所やレーベル、チームの中で八上がいないとダメだなと思ってもらえるようになりたくて、そういう存在になれるように日々色んなことを追求している感じです。その中で、コミュニケーションを大事にしていて、誘っていただいたらいろんなところに行くようにしています。

NOWAR The 匠 音楽的なところで言えば個性、存在感をしっかり出せるようにしたいというのがあります。なので、歌を追求しています。それ以外だと、自分は人に対して思いやりがあるのか、とよく考えています。とあることがきっかけで、僕が発した言葉に対して相手がどう感じるのかあまり考えられてなかったんじゃないかと思いました。もっと人のことを考えられるようになりたいと思っていて、そこも追求していけたらと思っています。

アマノ 僕らはお客さんありきの活動なので、ファンのみんながどうしたら喜んでくれるんだろう、というのを模索、追求しています。応援してくれている人の気持ちを考えていきたいです。その中の一つとして僕らのファンではない人がSNSを見た時に、OverToneってこういうグループなんだとわかってもらえるようにするのが課題です。

――ありがとうございます。最後に12月24日からスタートする『OverTone Live Tour 2022-2023「POP APP」』への意気込みをお願いします。

八上和希 なぜみんながOverToneのライブに来てくれるのかと考えた時、僕らの音楽が好きだからというのもありつつ、非日常的なことを体験できるところだからなのかなと思いました。なので、「Have a nice day!!!」のテーマにもあるように日頃の鬱憤やストレスを、僕たちと一緒に吹き飛ばすようなライブにしたいです。OverToneはさらに歌が上手くなっているので、ずっと応援してきてくれた方は僕らの細かい変化にも期待してもらいつつ、初めて来てくれる方には、OverToneのライブにハマってもらえるようなステージにできたらと思っているので、ぜひ皆さん遊びに来てください!

(おわり)

作品情報

OverTone 2nd MINI ALBUM
「POPAPP」
発売日:2022年12月7日(水)
品番:CRCP-40650
価格:1800円(税込)

収録曲

1.Prologue
2.赤い線
3.論外
4.それと、愛
5.つよがり
6.Have a nice day!!!

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