レディー・ガガが3日と4日、埼玉・ベルーナドーム(西武ドーム)で『LADY GAGA PRESENTS THE CHROMATICA BALL』を開催した。8年ぶりの来日公演となった本ライブは、2020年にリリースされた6枚目のアルバム『クロマティカ』を引っ提げてのワールドツアーで、アジアでの公演は日本のみとなっている。8月31日には大ヒットを記録している映画『トップガン マーヴェリック』主題歌「ホールド・マイ・ハンド」をボーナス・トラックとして収録した来日記念盤もリリースした。ライブはアルバム『CHROMATICA』の楽曲を中心に、「Poker Face」や「Born This Way」など代表曲も披露。3日に行われたライブの模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

 廃墟のようなステージセットが、ドームの中にそびえている。コンクリートをくり抜いた中に、バックバンドの楽器が埋め込まれている。会場のベルーナドームには、ダンサブルなBGMが流れており、ライブならではのワクワク感に開演前から満ちていた。

 壮大なスケール観のオープニングから、拘束具のような衣装をまとったレディ・ガガがステージに登場し、「Bad Romance」でライブはスタートした。オーディエンスの歓喜に満ちたエネルギーを受けながら、ダンサーがステージで舞い、特効のフレイムボールが打ち上がるド派手な演出。そこにガガの凛とした歌声がオーディエンスを奮い立たせるかのように、早くもクライマックスのような盛り上がりを見せていた。

(撮影=Masanori Naruse)

 ガガのデビューシングル「Just Dance」が終了し、不敵な笑みを浮かべるガガ。力強いビートがドームを包み込んだ「Poker Face」では、真っ赤に染まるステージの中、軽快なダンスとラウドな歌声で魅了していく。曲が進行していくにつれ、否が応でも高まっていくテンション。

 「Chromatica I」が流れる中、SF映画を彷彿とさせる映像が、多くの人の視線を集める。ベッドのような台の上に横たわったガガが再びステージに登場。仰向けになりながら「Alice」を歌唱。そのベッドは角度を変えながらほぼ垂直に。その中でガガは手拍子を煽り、会場を大いに盛り上げていく。

(撮影=Masanori Naruse)

 パフォーマンス後、ゆっくりと階段を降りたガガは、ダンサーとハグをし、身につけていたプロテクターを外すと、シースルーの衣装でパフォーマンス。「Replay」や「Monster」では、多くのダンサー従え、ハードなダンスと歌声で席巻。シンクロしたダンスも相まって、最高にエネルギッシュでパワフルなセクションだった。

 壮大なシンセサイザーの音色が印象的なサウンドが会場に響き渡る。ここから始まる新たなセクションへの期待感を存分に高めてくれる。黒のエナメルスーツで登場したガガ。日本語で「愛してます!」と投げかけ「911」を披露。どこまでも突き抜けていくようなガガの歌が印象的だ。さらに「Sour Candy」で熱狂の渦を作り出していく。

 しばらく静止したガガ。緊張感を高めながら始まったのは「Telephone」だ。メインステージからだけでなく、アリーナ後方からも特効のフレイムボールが盛大に上がる。その演出に会場のボルテージはさらに高まっていく。続いてパフォーマンスされたのは、オリジナル音源よりもラウドなサウンドが印象的だった「Love Game」。黒いラインが交差する露出度の高い大胆な衣装で、アグレッシブなステージングを展開。

(撮影=Masanori Naruse)

 一旦ステージを後にしたガガ。幻想的な映像がスクリーンに映し出され、「Chromatica III」のシンフォニックなサウンドが、新たな世界観へと誘う。再び登場したガガやダンサー達は、シャンパンゴールドの衣装でゴージャスな出立ち。なんともリッチな空間を作り出した「Babylon」。楽曲中盤ではさらにゴールドのローブを纏い、神々しいまでの存在感を放っていた。

(撮影=Masanori Naruse)

 そして、ステージを降り、「Free Woman」歌唱しながら、アリーナの中を通りセンターステージに移動。このセクションでは、ガガの弾き語りで「Born This Way」を熱唱。しっとりとしながらも力強さを感じさせる歌声は、この混沌とした世の中に、一筋の光を与えるようだった。一転してバンドサウンドでのパフォーマンス。緊張と緩和といった展開で、このライブのハイライトの一つとなるような、大きな盛り上がりを見せた。

(撮影=Masanori Naruse)

 インパクトのあるマスクが印象的な衣装にチェンジし、「Shallow」をピアノを弾きながら歌い上げるガガ。スタンド席からは、観客のリストバンドのライトが星のように美しく輝き、このパフォーマンスを彩っていた。エモーショナルな歌声で会場を一つにした「The Edge of Glory」「Angel Down」「Fun Tonight」では、音楽の持つ力を存分に感じさせてくれた瞬間だった。そして、「Enigma」ではマイクスタンドを使用した鮮やかなパフォーマンスを見せ、再びメインステージへと戻り、本編が終了。全くの隙のないパーフェクトなライブだ。

(撮影=Masanori Naruse)

 そして、ライブはアンコールとなるセクションへ。キラキラとしたスパンコールが眩い衣装で登場したガガ。「Stupid Love」をダンサーと共に激しいダンスで盛り上げ、エキサイティングな空間を演出していく。「Rain On Me」から、ラストは映画『トップガン マーヴェリック』の主題歌「ホールド・マイ・ハンド」を熱唱。全身全霊の歌声をドームに響かせ、ガガは「グッドナイ、ありがとう」と伝えると、大きな拍手が客席から届けられた。ガガは手でハートマークを作りメッセージを送り、ライブは大団円を迎えた。

(撮影=Masanori Naruse)

 世界トップレベルのエンターテインメントを余すことなく堪能した約2時間。ガガの愛に満ち溢れたパフォーマンスは、一本の大作映画を見たかのような満足感があり、ステージの余韻はライブ終了後もなかなか抜けなかった。音楽の可能性を感じさせ、ガガへの期待感は高まるばかりだ。

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