ディズニー初の公式アカペラグループ、DCappella(ディカペラ)が、8月5日の東京公演を皮切りに3年振りのジャパン・ツアー『ディズニー・アカペラ・コンサート「ディカペラ」』(全国7カ所/計22公演)をスタートさせた。ディズニーの名曲たちを声のみで届け、隙のない圧巻のクオリティで感動を与えたステージの模様を、以下にレポートする。(※一部ネタバレあり)【取材=村上順一】

世界トップレベルのハーモニー

 DCappellaはコンテンポラリー・アカペラ界のパイオニアであるディーク・シャロンが共同クリエイター、音楽ディレクター、アレンジャー、そしてプロデュースを担当。ディズニーの名曲たちを声のみで表現し、新たな魅力と世界観を提示する。

 メンバーはアントニオ・フェルナンデス(ボイス・パーカッション)、ジョー・サントーニ(バス)、モーガン・キーン(ソプラノ)、オーランド・ディクソン(バリトン)、RJ・ウェスナー(テノール)、ケイレン・ケリー(メゾソプラノ)の6人組。2019年5月にアルバム『DCappella』で日本デビューし、来日時には日本公演も全国で行った。

 3年ぶりの来日ということもあり、まだまだ多くの人が映像やCDなどの音源でしか、DCappellaを体験していないと思われる。筆者もその一人で、今回生のDCappellaを初体験することができた。どんなステージが行われるのか期待感が高まる中、開演時刻になり6人がステージに登場。

DCappella(Photo by Yoshika Horita)

 ディズニー作品の映像をバックに、美しいハーモニーを響かせていく。音源を聴いているんじゃないかと思えるくらいの完成度の高さを見せてくれた6人。世界トップレベルのスキルは生でも流石のクオリティだ。ここまでハイレベルなライブが観れる機会もそうそうないだろう。

 ステージ上からは6人が発する様々な音が飛び交うわけだが、これが全て人の声のみで再現されているのかと思うと、驚きと同時に人間の可能性は無限大なんだということを感じさせてくれる。そして、常に6人というわけでもなく、その編成も曲によって変化させていたのも印象的だ。例えば「He's a Tramp」(『わんわん物語』より)では、モーガンとジョーの2人のみで大人な世界観を展開。その後、再び6人が集結しての音の広がりはグッと来るものがあった。

 6人新体制となった彼らの変化が感じられた「Here Comes Elastigirl – Elastigirl’s Theme / Chill or Be Chilled – Frozen’s Theme」(『インクレディブル・ファミリー』より)は、躍動感のあるアレンジで、映像も相まって最高にエキサイティングな瞬間だったし、「Colors of the Wind」(『ポカホンタス』より)では、ケイレンとモーガン、女性2人による歌声のハーモニーも絶品だった。

モーガン・キーン&ケイレン・ケリー(Photo by Yoshika Horita)

 声を楽器のように奏でるシーンも多く、オーランドはエレキギターのようなサスティーンの効いた声で楽曲にアクセントを加えたり、RJも管楽器を彷彿とさせる声色で、歌声のレパートリーの多彩さを見せた。

 そして、アントニオによる「パーカッションコーナー」では、卓越したボイスパーカッションを堪能。その後、観客も混じえた“リズム遊び”で会場との一体感を作り出していたのもライブならでは。ケイレンもルーパーを使用して多重録音によるパフォーマンスで魅了するなど、ソロコーナーも充実していた。

 それだけではなく、映画作品の効果音まで声で再現し、フィルム・コンサートを観ているかのような贅沢な瞬間もあった。アッパーな「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」(『メリー・ポピンズ』より)は体を動かさずにはいられないグルーヴィなパフォーマンスを展開し、メリハリのあるセットリストで全く飽きさせない。何よりも全ての曲が誰しもが聴いたことのある曲ばかりというのも強みだ。オリジナルとはまた違った一面を見せてくれるのも、DCappellaならではの魅力で、その変化によって新たな発見にも繋がるのではないか。

DCappella(Photo by Yoshika Horita)

 時間を忘れさせてくれるような充実した体験を与えてくれたDCappella。しかし、我々以上に楽しんでいたのはステージ上にいた6人かも知れない。終始楽しそうにパフォーマンスする6人の姿が印象的なステージだったからだ。こうやってライブができることが当たり前のことではない、とコロナ禍を経て実感しているからこその姿勢が、ステージから溢れ出ていた。

(おわり)

ツアー情報

【東京公演】 8月5日(金)~8月21日(日) 東急シアターオーブ
【大阪公演】 8月25日(木)~8月28日(日) オリックス劇場
【広島公演】 8月30日(火)18:30開演 広島文化学園HBGホール
【福岡公演】 9月2日(金)18:30開演 福岡サンパレス
【鹿児島公演】9月4日(日)17:00開演 川商ホール(鹿児島市民文化ホール)第1ホール
【名古屋公演】9月6日(火)18:30開演 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
【札幌公演】 9月9日(金)19:00開演 札幌文化芸術劇場 hitaru

いずれもS席 9,800円A席 7,800円、 B席 5,800円、 VIP席 14,800円(税込み・全席指定)3歳以下入場不可
VIP席の特典:10列目以内の席保証、 サウンドチェック見学、 トークセッション、 VIP限定オリジナルグッズ、 公演オリジナルグッズ先行販売

■Release Information
ディカペラ 『マジック・リイマジンド』
2022年7月22日(金)発売・配信
UWCD-1110/3,000円(税込)
Walt Disney Records
https://store.universal-music.co.jp/product/uwcd1110
https://umj.lnk.to/MR_JP
■ディカペラ ユニバーサル ミュージック公式サイト:

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■ディカペラ日本公式 Twitter:https://twitter.com/DCappellaJapan

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