INTERVIEW

古川雄輝×SPiCYSOL

ジャンルの違う両者が大切にしていることとは:「ねこ物件」対談


記者:村上順一

写真:村上順一

掲載:22年08月11日

読了時間:約9分

 俳優の古川雄輝が、映画『劇場版 ねこ物件』(8月5日より全国公開中)に出演。主人公・二星優斗を演じている。「ねこ物件」は、猫付きシェアハウスを舞台に、猫と人との繋がり方や新しい家族の形を描いたハートフル・ストーリーで、2022年4月にドラマ版がスタート。劇場版ではドラマ版での伏線を回収していくストーリーとなっていて、優斗が猫付きシェアハウスを始めた本当の理由が明らかになる。インタビューでは古川雄輝が、ドラマ版に続いて『劇場版 ねこ物件』主題歌を担当したCityとSurfが融合する新世代ハイブリッド・バンドSPiCYSOLと対談。俳優とミュージシャン、ジャンルの異なる両者に「ねこ物件」について話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

“ねこ借金”!? 大変だった猫優先の撮影

古川雄輝

――ついに『劇場版 ねこ物件』が公開されますが、どんな作品になっているのでしょうか。

古川雄輝 まず、このドラマは自分が演じる二星優斗の成長が感じられる作品になっています。その中で伏線が沢山あって、その伏線を回収していくのが、今回の劇場版なんです。優斗はもともと仕事もしないような人間で、生き別れた弟を探すことで一歩踏み出すところが描かれています。そこはドラマ版と劇場版の違いですが、変わらないのはカワイイ猫ちゃんがたくさん出てくる癒し系の作品である、ということです。

――SPiCYSOLの皆さんは劇場版を観ていかがでしたか。

AKUN ドラマ版も見させていただいて、劇場版で「そうなるのか!」とワクワクしました。あと、ドラマ版を見ていたのがちょうどライブで地方を回っている時だったんです。僕は猫を飼っているので、ドラマを観てしまって、楽しいライブなのに「めちゃくちゃ帰りたい、猫に会いたい」と“猫シック”になりました(笑)。

――古川さんも猫シックになったりも?

古川雄輝 自分は撮影中も家に帰れていたので、猫シックにはならなかったです。ただ、自分は特にチャーが大好きなので、この撮影期間はウチの猫よりもチャーが好きだったかもしれません。今日久々にチャーに会ったんですけど、めちゃくちゃ太ってて、違う猫かと思いました(笑)。

――KENNYさんは「ねこ物件」はどのように観ていました?

KENNY 何気ない日常の幸せが感じられる、ほっこりとするドラマだと思いました。その中で主人公の苗字が二星(にぼし)で「ふたぼし」と読むところなど、スタッフさんの遊び心が散りばめられていて面白かったです。そういったものを僕はいくつ見つけられるんだろうと、ディズニーの“隠れミッキー”を探すような気持ちで観ていました(笑)。

AKUN 僕も一個見つけました! スマホのパスワードが「2222」で“ニャアニャアニャアニャア”なんですよ。

古川雄輝 実はあれ脚本にはなくて、自分が勝手に決めて言ったパスワードなんです。あのシーン自体がアドリブ的な感じで、長井短さんと初めて連絡先を交換するシーンで「パスワードを入れて、それは見せないで」というところから始まった流れのシーンなんですけど、特にセリフも決まっていなかったんです。

――KAZUMAさんは?

KAZUMA 猫を飼っているので、ドラマ版の1話から、色んなところで「わかる〜」といった感覚になれる作品でした。猫が思い通りにいかない感じとか、呼んでもなかなか来ないところとか(笑)。劇場版でもそれは健在で「わかる〜」と共感しっぱなしでした。

PETE 主人公の優斗はシェアハウスを運営しているんですけど、その住人たちが猫を通して素直になっていくというのが印象的でした。僕自身、過去にシェアハウスに住んでいたことがあったので、ドラマ版でもあった隣の音がうるさい、気になるというのは、“シェアハウスあるある”でした。

KAZUMA それは「わかる〜」ということでいいの?

PETE 「わかる〜」だね(笑)。

――古川さんはシェアハウスのご経験は?

古川雄輝 シェアハウスの経験はないんですけど、学生時代は寮に住んでいたので、男だけの生活というのは経験しています。

――共同生活の大変さはわかってらして。そんな古川さんが大変だったシーンは?

古川雄輝 劇場版に限らず、撮影全般的に大変だったのは猫と一緒のシーンでした。“ねこ借金”と呼んでいたんですけど、どうしても撮れないシーンは飛ばして後日に撮ることもありました。プロの猫ちゃんたちではないので、プロの猫とは違った表情を見せてくれるんですけど、言うことはなかなか聞いてくれないです(笑)。猫単体ではなく、そこに人間が一緒にいるシチュエーションは特に難しくて、まさに猫優先の撮影でした。

――“猫優先”というワードが作品では度々出てきますが、そんな皆さんが生活で優先していることは?

AKUN やっぱり猫を飼っている僕からすると、どうしても猫優先の生活になってしまいます。

KAZUMA そうだね。

古川雄輝 そうなりますよね。猫にご飯を食べさせるために家に帰っているようなものですから。

PETE 優先と言っていいのかわからないんですけど、猫や犬の動画は毎日観てしまいます。本当は飼いたいんですけど、たぶん僕は飼ってしまったら何もしなくなってしまうと思っていて...。

AKUN PETEと僕は家が近いのでよく音楽の作業を僕の自宅でするんですけど、ウチの猫とずっと遊んでますから。PETEは猫を飼っていないのに猫優先なんですよ(笑)。

――KENNYさんは?

KENNY 僕らは2年くらい前に活動の拠点を湘南の茅ヶ崎に移したんです。それもあって僕はいま“海優先”の生活をしています。海を眺めたり、サーフィンをしたりすごく楽しんでいて、そこで感じ取ったものから曲を作りたいなと思っています。ちなみに「Bell」のミックスダウンは茅ヶ崎でやりました。

――古川さんは「Bell」を聴いてどんな感想を持ちましたか。

古川雄輝 予告版で初めて聴いたんです。ドラマがすごく癒し系なので、すごくピッタリな曲だなと思いました。

AKUN 劇場版の台本を読ませていただいて作詞しました。作詞はKENNYが担当していますが、KENNYは猫を飼ったことがないので、日常と猫がリンクするようなワードを一緒に考えました。楽曲が完成して映像と合わさった時に、スッと映像と溶け込んでくれたのは良かったです。

――「Bell」というタイトルは、猫の首輪によくついている鈴のイメージも?

KENNY はい。それと「ただいま」の時に鳴らすチャイム、そのベルのイメージも込めました。

それぞれが大切にしていること

村上順一

SPiCYSOL

――ところで、この「ねこ物件」は家族のようにシェアハウスで暮らしている描写も印象的です。バンドも家族のようなイメージがありますが、古川さんはバンドに対してどんなイメージ、感情を持っていますか。

古川 まず、自分にはできないことです。舞台のお仕事もしていますが、音楽のライブとは違って、お客さんが公演中に手を振ったりはしてくれないので、そういうのを音楽のライブで見ると羨ましいなと思います。ただ、グループでの活動は安心できる面もありますが、大変だなと感じる部分もあります。

――SPiCYSOLの皆さんから見ると、役者さんというのはどのように見えていますか。

PETE 先程も古川さんが仰ってましたが、お客さんが集中している空間で演じるプレッシャーというのはすごいと思います。

AKUN 自分じゃないものになるという感覚が、僕はすごいと思います。音楽は自分の経験を削って出すというところがあるんですけど、自分の経験がないものになるというのは想像がつかないです。

KAZUMA 役者さんは独りというイメージがあって、僕は独りだと怖くなってしまうので、バンドでやっているところもあるんです。なので、お1人で活動しているというのは、すごいなと思います。まあ、ドラマーでソロ活動というのもあまりないんですけど(笑)。

KENNY 僕は古川さんにお聞きしたいことがあります。役者さんは色んな人種、それこそ殺人鬼のような役もやられたりすると思います。それで精神を削られたりしないのかなと思ったりするのですが、メンタルコントロールはどうされていますか。

古川雄輝 多くのバンドやミュージシャンの方々は自分で作ったものを披露されますよね。役者は人から与えられたものを自分の中に入れて演じているので、そこでストレスになってしまうことがあるんです。役柄どうこうよりもミスが許されないというのも大きいです。

KENNY 発散はどうされているんですか。

古川雄輝 発散は...。今のところその方法がないので溜めてますね(笑)。人によって芝居の概念は違うと思うんですけど、演じるというのは苦痛を伴うものだと考える人もいれば、それが当たり前だと思いながらやれる人もいます。めちゃくちゃ上手い人は苦痛とは感じないと思います。自分は前者の考え方に近いので、楽しいという気持ちだけで出来る人はすごく羨ましいです。やりがいはもちろんあるんですけど、自分の中では大変という感覚の方がまだ強いんです。

KENNY 僕も大切なライブがあった時に、メンタルをどう持っていったらいいのか悩むことも多かったんです。考えれば考えるほど良くない方向にいってしまったので、今ではあまり考えないようにしていて。僕も古川さんのように溜めていきます! もしくは、散財して発散します(笑)。

――最後に皆さんがそれぞれ仕事をする上で大切にされていることは?

PETE 僕はライブなどどうやって楽しむのか、お客さんもどうやったら楽しんでくれるのか、というのを考えることが多いです。ライブで声が出せない中で、皆さんがどうやったら楽しめるのか、ということを常に大切にしています。

KENNY 僕は作詞をしている中でロジカルに考える、ルーティンになりがちなところもあるんですけど、なるべく直感を大切にしています。

KAZUMA 常に新しいことへ挑戦する気持ちです。一つのことに留まらないことを大切に活動しています。

AKUN 僕は心も身体も健康でありたいということです。同じ作業をしていても、不健康だとなかなか進まなかったり、逆に気持ちが健康だとうまく行くこともあります。なので、常にベストな状態でいることを大切にしています。

古川雄輝 自分も健康は本当に大切だと思います。それもありつつ、いま自分が大切にしていることは手を抜かない、遠慮をしないということです。

――遠慮をしないとは?

古川雄輝 若手の頃にエキストラさんが沢山いる中を駆け抜けるというシーンがありました。その時に人にぶつかるのは悪いなと思い、うまく避けながら撮影に臨んでいました。そうしたら気を使いすぎて共演者との演技に遅れが出てしまって...。その時に役者の先輩から「遠慮しちゃダメだよ」とアドバイスをいただきました。その時にハッとして、相手の役者さんが歳上、先輩であろうと演じているときは自分ではないので、遠慮せずに対峙していきたいと思ったのが、手を抜かないという気持ちに繋がり、今でも大切にしています。

(おわり)

作品情報

『劇場版 ねこ物件』
8月5日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
出演:古川雄輝、細田佳央太、上村海成、本田剛文(BOYS AND MEN)、松大航也、金子隼也、山谷花純、長井短、竜雷太
監督・脚本:綾部真弥
主題歌:『Bell』歌:SPiCYSOL(ワーナーミュージック・ジャパン)
企画・配給:AMGエンタテインメント
(C)2022「ねこ物件」製作委員会

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村上順一
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