シンガーソングライターのきゃないが、初のツアー『きゃないLIVE TOUR 2022 東京大阪二股編』を開催。4月8日渋谷 Spotify O-EASTでファイナルを迎えた。TikTokに投稿したオリジナル曲【イヌ】の路上ライブ動画が即時 200 万回再生と反響を呼び、若者の間で今年の活躍が期待されているシンガーソングライターのきゃない。12月に初のフルバンドワンマンライブ後、約4ヶ月振り、2度目となるフルバンドで初のツアーを回った。

 定刻、暗転したステージにエレキギターを肩にかけたきゃないの姿がステージに浮かび上がると【革命】からライブはスタート。リズミカルなドラムをきっかけにして【エトセトラ】と続くが、1曲目からギターの弦が切れてしまうというハプニングが発生。ギターを持たずにハンドマイクで客席を煽りながらステージを駆け回った。そこから更にスタンドマイクで【一等星】と続けて披露し会場のボルテージを徐々に上げていく。

きゃない

 最初のMCでは、「ハプニング大好き」とギターの弦が切れてしまったハプニングに触れながらも、「この大きな会場が嬉しくもあったが、新しい壁を目の前に提示された気持ちです。僕だけじゃなく皆さんも一緒の気持ちで、僕と同じ目線で楽しんで喜んでほしいし、一緒に進んでほしい」とメッセージを発した。そして5 月にはファン待望の楽曲【紫陽花】のリリースを予定していることを発表し、リズミカルなドラムインからその【紫陽花】を演奏した。

 ピアノのイントロからはじまったのは、きゃないを代表する曲の1つ【イヌ】。その優しく温かい歌声に観客はじっと耳を傾けた。アコースティックギターの音色が響いたのは暖かなミドルバラード【花火】。花火の打ち上がる音や風鈴の音と共に、夏を感じさせるドラマチックな演出に観客は釘付けになった。

 路上ライブでは、なかなか聴くことのできない【夏休み】や【おまけ】といった、フルバンドならではのライブ映えするアップテンポな曲も披露し楽曲の幅を見せながら、次にきゃないのギターボーカルから演奏されたのは【私の半分】。路上で培ってきたものなのだろう。1人の演奏でもバンドに劣らない力強さを感じることができた。

きゃない

 「誰にも傷ついた日々があって、不幸だから音楽に共感して僕らは出会えた。そんな今が幸せです」というMCから、新曲【ネガティブフライ】を披露。「何にも縛られず生きていたいよ」と力強く歌い上げた。そして今回初の試みとしてハンドマイクでの歌唱を準備してきた【ネコ】を軽快に聞かせながら、続けて演奏されたのは、ピアノの旋律が印象的で先月リリースされたばかりの楽曲【バニラ】だ。幸福感あふれる曲の雰囲気に会場は一体となって手を左右に揺らした。「この場所に来てくれて本当にありがとう。自然と手を振ってくれた今の『バニラ』はとても幸せでした。」と、MCをする予定ではないところで思わずファンへの感謝が溢れるほど、エモーショナルな瞬間だった。本編最後を飾ったのは、ポップでアップテンポな楽曲【サイダー】。きゃないの「ワンツー」の掛け声で演奏がスタート。会場は1番の盛り上がりを見せ観客の拳が高々と上がった。

 アンコールで再びステージに現れたきゃないは「全員死ねよ君以外は」という歌詞で始まる【人間】をイキイキと奏でた。そして最後に「本当の意味で越えることができない曲なのかもしれない」とファンの間で人気の楽曲【コインランドリー】を披露。「今日はとても良い日でした!またライブに来てください!」と伝えステージを去った。

 路上ライブを主戦場として戦ってきた彼にとって、ライブハウスというイレギュラーな場所でここまで全力で駆け抜けられたのは、路上で培った対応力と持ち前の明るさ、パワフルさがあったからに違いない。今後のライブにも期待したい。

きゃない

セットリスト

M1:革命
M2:エトセトラ
M3:一等星
MC
M4:紫陽花
M5:イヌ
M6:花火
M7:夏休み
M8:おまけ
M9:私の半分
MC
M10:ネガティブフライ
M11:ネコ
M12:バニラ
M13:時給自足
M14:ホッピングシャワー
M15:サイダー
アンコール
EN1:人間
EN2:僕はヒーローになれない
EN3:コインランドリー

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