INTERVIEW

北乃きい

もともとは内気な性格 30代で変化:『おじさんが私の恋を応援しています(脳内)』で主演


記者:木村武雄

写真:冨田味我

掲載:22年02月20日

読了時間:約8分

 北乃きいが、月曜ドラマ『おじさんが私の恋を応援しています(脳内)』(毎週月曜よる10時、TOKYO MX)で主演を務めている。井野ジュン氏の同名人気漫画が原作。交通事故をきっかけにおじさんと脳内同居にすることになった主人公の姿を描く。北乃が演じる主人公・宮下まつりは平凡な生活を送っていた内気なOL。だが脳内のおじさん・誠一郎(アキラ100%)のアドバイスを受け成長していく。14歳でデビューした北乃も30歳。節目を迎え、どのような心構えでいるのか。【取材=木村武雄/撮影=冨田味我】

裏方がいいと思っていた

――13歳でデビューされて芸能生活も17年。この間をどのように見ていますか。

 あっという間ではなかったです。13歳からずっと学びの日々で、これからもそうなんだろうと思います。自分で使い分けているわけではないんですが、プライベートの部分と、北乃きいとしてお仕事をしている時は、けっこう性格に差があるんです。それが違うからうまくやってこられたかもしれないです。30歳からは自分自身の部分をもう少し出してもいいのかなと思うようになりました。

――本来の自分自身はどういう性格なんですか。

 あまり前に出るタイプでもなく、そもそも芸能界に入るような性格ではないんです。キラキラと輝いているものは苦手。家では基本カーテンを開けていませんし、あんまり光を浴びたくない。集合写真も一番端にいるタイプ。修学旅行は友達がいなくて、先生が「一緒に回ってあげるよ」って。華厳滝(栃木・日光)とかを先生と見て、ワンショットで写真を撮ってもらうという…(笑)。仕事に就くなら裏方がいいと思っていました。

――2年前ぐらいのインタビューで「いつ辞めてもいいという気持ちで臨んでいる」と話していて、今のお話しを聞いて、そういうことも絡んでいるのかなと。

 性格的に、急に辞めることがあるかもしれないと思うことはあります。とは言っても仕事を残して辞めるようなことはしないですし、今はそんなことは考えていないんですけど。性格上、あまりいろんなことに未練や執着を抱くことはなくて。だからそう言ったのかもしれないです

――今回の役どころは“芸名”ではなく、“本名”の性格と少し似ているところがあるかもしれないですね。

 その通りで、まつりはプライベートの自分の方が似ています。ただ、原作をベースに一から作っていく感覚もありました。

――そのまつりは、おじさんの人格も現れて、二重人格のような感じもあったと思いますが、そのへんの切り替えはどうでしたか。

 1人2役は初めてでしたので最初は結構戸惑いました。でも、途中からはおじさんになっている時でも自然と切り分けはできるようになりました。

北乃きい

北乃きい

役者として試された

――脳内におじさんと同居するという話で、脳内を描くために撮影はグリーンバックが多かったそうですね。

 半分以上がグリーンバックで、想像の中でお芝居をするのはけっこう過酷な現場でした。

――想像の中で役を引き出すのは大変だったんじゃないかなと思います。

 最初は本当に大変でした。「ここはこういうふうになる」という絵コンテを見せて頂き、それを何度も見て「今自分はここか」と照らし合わせていました。ただやっていくうちに感覚がつかめてきて、グリーンバックでも「そこにこのアイテムがある」とか頭の中で見えてくるようなりました。だけど、第1話の事故のシーンは大変で、車にはねられるというのは全く想像ができなくて。CGを使ったお芝居は役者として、プロとして試されるなと思いました。

――はねられるシーンもすごかったですね。あれは一発撮りだったんですか?

 一発撮りです。身体をピンと伸ばした状態ではないと不自然に映るので体幹が求められて大変でした。今回は一発撮りのシーンが多くて。8話を8日間で撮っているのでスケジュールが過密で、あのシーンはテストもなくすぐに本番でした。

――その分、役者の応用力と瞬発力に頼られたと思いますが、ただ整理する間もなくどんどん進んでいく感じだったんですね。

 台本の前に原作を読んでいたので、頭の中で想像したり整理したりできたのは大きかったと思います。

役のまま

――役作りを含めて普段はクランクインを迎えるまでにどのように過ごしていますか?

 役によっても異なりますが、ルーティンは基本ないんです。役によって喋り方も考え方も、ご飯の食べ方とかも変わります。こうして取材を受けさせて頂くときも、別の役に入っている時はその役に影響されることもあります。例えば、取材が家庭を大事にしている役についてなのに、その時期の撮影でそれとは反対の役を演じていたら答えられなくなることもあって。

 今は、別の作品が3日前にクランクアップして、役から抜けて「自分」なんです。すごくいいタイミングでの取材だと思います(笑)。私はどちらかというと不器用で長期集中型。カットがかかっても役から抜けれなくて、インからアップまで役を引きずってしまう。なので、同時進行で作品を縫う時は大変ですね。

――この撮影期間は、役に引きずられてちょっと根暗になっていたり?

 まつりは、第1話で出会ったおじさんに影響されて前向きになっていきます。それまでは内気な性格ですが、前向きになってからのストーリーが長いので、人当たりが良かったと思います(笑)。

北乃きい

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クランクアップ後の3日間は「仏の境地」

――役を抜く方法はありますか。

 作品が終わったら勝手に抜けています。抜くのは結構簡単です。でも私は不器用なので器用な方のようにカットで自分に戻ると再び役に入るのが大変で。でも終わったらすぐに離れます。クランクアップした次の日は1回倒れます(笑)。家の中で倒れて何もしない。たぶんそれが役抜きかもしれないです。

 何もしないで、とにかく心ここにあらずみたいな感じでぼーっとしてます。3日間ぐらいは何でも許せる気持ちになります。3日間は仏です(笑)。この間もひとつ終わったので、最近までそんな感じで、それは昔から変わっていません。役に入ると友達に「今何か入ってるでしょ?」って必ず聞かれますね。いつもと会話が全然違うみたいで、「クランクアップした」って言わなくても電話で話してると「終わったでしょ」って気付かれてしまうんです。

北乃きい

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役を生き抜く

――でもそれを理解してくれる友人がいていいですね。これまでに演じてきた役は自分のなかでどう残っていますか? あるいは作品は自分にとってどういう存在になっていますか。

 役は生き抜いて終わるので残ってはないです。残っていたらたぶん他の役は生きられないんじゃないかなと思います。毎回違う人を生きているので、生き抜いたら次の人にシフトされて、でも作品は作品として残っていて。もちろん経験値としても残りますが、役に関しては引っ張らないです。一列になって今までやった役が並んでいる感覚はなくて、生き抜いたら終わりです。

――役としての考え方としては縦軸ではなくて、横軸で並列なんですね。

 そうですね。だから「あのときのシリーズをもう一回やって」と言われたらどうしようかと思っています。まつりの続編があるとして、3年後を描くとなった時に、たぶん同じように一から作ると思います。それは大変なことですが、私は積み立てができないので…。同じ役を何年もやっている方は本当に尊敬します。

北乃きい

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脳内に同居させたい人

――さて、まつりはおじさんと脳内に同居していますが、もし現実にあったら、どういう人を同居させたいですか?

 実はスタッフさんと脳内に同居させるなら「スティーブ・ジョブス」とか、「ビル・ゲイツ」がいいよねと話していました(笑)。あとIQ300の人とか。近くでいうと芸人さんとか。笑いのセンスって生まれ持ったものだと思うんです。そういうセンスは自分には皆無なので、自分とかけ離れている人が入ってきてくれたら嬉しいなって思います。

――役で言うと、今回のアキラさんはとても良かったんですね。

 はい。できれば男性がいいですね。女性脳は持っているので、男性脳があると両方考えられていいなって。

――ちなみに男性になれたらやってみたい事はありますか。

 3歳から思っていることがあります。ムエタイの選手になって世界一のベルトを獲ることです! K-1が好きで、ブアカーオ・ポー.プラムック選手を知った時に、来世でもし男性に生まれ変わったら「絶対に世界一強い男になろう、ムエタイの選手になろう」と決めています! 多分これだけ言っているので来世でも覚えていると思うんですよね。過去の私が「あなたはムエタイの選手になります」とずっと洗脳しているから(笑)。今も試合を観に行きますが、やっぱりムエタイの試合はいいなと思います。やっぱり男性に生まれていたらあそこに上って…というのは想像します。

北乃きい

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(おわり)

衣装協力
洋服 Three Four Time/URL:threefourtime.jp
アクセサリー VA Vendome Aoyama/ヴイエー ヴァンドーム青山 有楽町マルイ店

スタイリスト
和田ケイコ

ヘアメイク
YUKO FUJIWARA(Y’s C)

番組概要

『おじさんが私の恋を応援しています(脳内)』
【放送日時】毎週月曜22:00~22:30 (TOKYO MX1)
【出演】北乃きい、アキラ100%、笹森裕貴
山口香緒里 柳美稀 税所伊久磨 花柳のぞみ 竹内詩乃 田中日奈子 田名部生来 ほか
【オープニング主題歌】宮川愛李「キミトソーダ」(NiM RECORDS/Being)
【エンディング主題歌】荒井麻珠「I n f i n i t y」(Purple One Star)
【原作】井野ジュン「おじさんが私の恋を応援しています(脳内)」 『COMIC ポラリス』連載 既刊1巻(フレックスコミックス刊)
【製作著作】TOKYO MX
【配信情報】
▼スマホアプリ/Webサイト『エムキャス』にてリアルタイム配信
また、最新話放送から1週間は見逃し配信
https://s.mxtv.jp/mcas/
▼民放公式テレビポータル『TVer』にて、最新話1週間見逃し配信中
https://tver.jp/lp/f0097662
【HP・SNSアカウント】
▼ホームページ⇒ https://s.mxtv.jp/drama/ojikoi/
▼Twitter⇒https://twitter.com/mx9_ojikoi
▼Instagram⇒ https://www.instagram.com/mx9_ojikoi

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