5人組コーラスグループのベイビーブーが9月23日、テアトロ・ジーリオ・ショウワで「ベイビーブー ソーシャルディスタンスコンサート2021~明日があるさ~」を開催した。

 彼らの単独コンサートとしては約1年ぶりで、メンバーだけでなく、観客と声を合わせることでステージを作り上げる彼らにとって、コロナ禍における様々な制限は大きな影響を与えていたが、それでも「こんなときだからこそ元気になれるコンサートを!」と、「明日があるさ」(坂本九)、「YOUNG MAN(Y.M.C.A.)」(西城秀樹)、「ファイト」(中島みゆき)といった元気や勇気を与える曲をはじめ、日本の名曲や童謡、唱歌などを抜群のコーラスで披露した。

「ベイビーブー ソーシャルディスタンスコンサート2021~明日があるさ~」

 現在、BS朝日で放送中の「人生、歌がある」や、NHK-R1「らじるラボ」といった、テレビやラジオへのレギュラー出演や、定期的なオンラインライブを行うことでファンとのコミュニケーションを図っていたが、コーラスグループである彼らは、「ライブ(生)で空間に声を響かせる」ことが出来ないことにもどかしさを感じていたという。

 昨年からのコロナ禍で、彼らを取り巻く環境が大きく変化した中で行ったコンサートへの思いや、ポップスを歌うグループとしてデビューした彼らが、現在のコーラススタイルにモデルチェンジをしていくきっかけとなった、ボニージャックスの故・西脇久夫さんへの思いや、日本のコーラス文化を受け継いでいく決意などを5人に聞いた。

「ベイビーブー ソーシャルディスタンスコンサート2021~明日があるさ~」

――昨年末に行われたクリスマスコンサート以来となる、久しぶりの単独ライブの開催となりましたが、今回のコンサートプログラムに関して、どのような思いで構成されましたか?

自分たちの単独公演としては、昨年の12月19日に行った東京文化会館でのコンサート以来でした。本来であれば、今年の2月に今回のテーマとなった「元気ライブ」を予定していたのですが、延期になりました。すでに「元気」をテーマにした構想自体は昨年のクリスマスコンサート明けからスタートしていて、今回のプログラムに作り直したのは6月頃になります。(ユースケ)

――今回の単独公演では、「田園」(玉置浩二)、「愛は勝つ」(KAN)、「ファイト」(中島みゆき)など、まさに「元気になる曲」が多く選曲されていましたが、選曲や演出に関してこだわった点はありますか?

「元気いっぱいのベイビーブー」を見せたいという気持ちが強くありました。今までとひと味違うコンサート。そして、笑顔いっぱいの一日にしたい。笑っていただけるところ、笑顔になっていただけるところも沢山作れたらと努力しました。選曲では、中島みゆきさんの「ファイト」がすごく胸にささり選曲させて頂きました。(ケン)

実は「今まで見たことのないベイビーブー」ということが裏のテーマで、衣装も4ポーズ用意し、新しい衣装もお披露目しました。とにかく「どうしたら楽しんで頂けるか?」ということを考えました。(ユースケ)

自分たちの持ち味である一緒に歌うことが出来ない分、振り付けや動きで一体感を出しました。(シノブ)

――約1年ぶりの単独公演でしたが、こういったコンサートが出来なかったことへの思いはございますか?

ステージから見るお客様の喜ぶ笑顔で全てが報われるというか、そのために僕らは歌っているようなものなので、ずっともどかしかったです。とにかく自分たちで作り上げたコンサートが1年ぶりに開催できたことが、本当に嬉しかったです。(ユウ)

みなさんに、ベイビーブーの生の音、生の響きをお届けしたかったです。特に声だけのアカペラは、生じゃないと伝えられない事がたくさんあります。コンサートを終えて、「明日から、また頑張れます!」というメッセージをいただきましたが、自分も同じ気持ちです。みなさんの前で歌った次の日は、やっぱり自分も笑顔になるので、「頑張る力」「生きる力」をいただいていると実感しています。(ケン)

――コンサートが出来ない中、SNSやYouTubeで歌唱動画を公開されていましたが、何かファンの方と繋がる取り組みをしましたか?

おかげ様で、テレビやラジオで僕たちの歌声を届けることが出来ていましたし、オフィシャルのYouTubeチャンネルでの生配信やSNSへの歌唱動画の投稿などもやりました。また、新たな試みとして「音を奏でる電子絵本」の制作にも参加させて頂きました。(ユースケ)

SNSや配信ライブを通じてファンの皆さんと繋がり、新たにSNSなどをはじめられた方やファンクラブに入会してくださった方も少しずつ増えていることが嬉しいです。いつかネットサイン会とかもしてみたいです。(ユウ)

今年に入ってから、ベイビーブーとしての新しい取り組みで「音を奏でる電子絵本」の制作に関わらせて頂き、今回のコンサートではその絵本に収録したオリジナル曲「ハハコグサ」を歌いましたが、やっと皆さんの前で披露できてうれしかったです。(ケン)

――みんなで声を合わせ、会場全体で歌うというスタイルが持ち味でもありますが、それが出来ないということへの悔しさを感じたりしましたか?

一緒に歌えない悔しさはありますが、今はコンサートが出来ることの有難さを再認識しています。歌えなくても身体を使った振り付けや手拍子で楽しむことは出来るので、今できるやり方で一体感が出ればと思っています。(ユースケ)

悔しさというより、寂しさを感じます。本当だったら、「皆さんの歌声と一緒に歌いたいのに・・・」と。(チェリー)

もちろん悔しさはとてもあります。昨年のクリスマスコンサートでは鈴を配ってみんなで鳴らしましたが、今回は手拍子や振り付けのある曲を多く選曲し、会場が一体となったので嬉しかったです。でもやっぱり一緒に歌いたいですね。(ユウ)

――コンサートのMCで、リーダーのユースケさんが思わず言葉に詰まる場面もありましたが、まさにベイビーブーのコンサートテーマとしている「笑って!泣いて!元気になる!」ということが詰まったコンサートだったと思います。

そうですね。そして「来て良かった!」って思ってもらえたら嬉しいです。(チェリー)

先日のコンサートでのユースケを見ていると「泣いて元気になる」という部分が、より浮き彫りになったように感じました。(シノブ)

感情が揺れる時こそ生きていると感じますし、元気になれると思います。一生に一度の人生、心豊かなものになる手助けが出来たら嬉しいです。(ユウ)

――エンタメや音楽業界を取り巻く状況が少しずつ変化してきていますが、以前の様に声を合わせ、ディスタンスを気にしないコンサートが出来たら、どういった思いで歌いたいですか?

当たり前だと思っていた事が当たり前でなくなってしまったという事は、皆さん同じ気持ちだと思いますので、「感謝」と「当たり前」を噛みしめながら歌うと思います。(チェリー)

やはり、以前より目標に掲げている「日本武道館での一万人の大合唱」をやりたいです。ディスタンスを気にせずに、みんなで声を合わせて歌える日が戻ることを切に願っています。(ユースケ)

とにかく今は沢山の曲を知り、また一緒に歌える日が来た時に皆さんと様々な曲を歌えるようになりたいです。たぶん、その日が来たら泣いちゃうと思います。(ユウ)

――先日、皆さんの師匠ともいうべきボニージャックスの西脇久夫さんが亡くなられました。新宿のうたごえ喫茶「ともしび」で出会ってから、数多くのジョイントコンサートを行い、さらには、「5000曲を超えるコーラス譜」をベイビーブーに託すと公言するなど、後継者としても認められていましたが、特別な思いがありますか?

ボニージャックス西脇さんと最後のステージとなった宮崎での童謡コンサート

7月に宮崎でご一緒させて頂いた「童謡コンサート」が、西脇さんとの最後のステージになるとは思いませんでした。(ボニージャックスの)鹿嶌さんが、「これからも3人で歌い続ける」と仰り、生涯現役で歌い続けて行くことの尊さや素晴らしさに、自分たちもそうありたいと思いました。(ユースケ)

どんな時も気負うことなく 普段通りステージに立つ情熱や芯の強さを近くで感じさせて頂きました。これから四声で「ちいさい秋みつけた」を歌うグループは僕たちだけかもしれないと思うと、背負っていく重さを感じますが、西脇さんは「好きに自由にやればいいんだよ」と言ってくれる気がしています。(シノブ)

まだ現実を受け入れられていないかもしれません。先日、「呼んでいただく限り現役で頑張る」という鹿嶌さんの言葉を聞き、僕らもそうありたいと思いました。そして、これからもボニージャックスさんの背中を追いかけ、色々なことを受け継がせて頂きたいと思います。(ユウ)

西脇さんと一緒に歌うことが最後の機会となった、宮崎でのコンサートの帰りに「ベイビーブー本当に良くなってきたな!あと一歩だ。がんばれ!」と笑顔で言っていただきました。西脇さんから教えいただいたすべてを胸に、これからも歌い続けていきたいと思っています。西脇さんの本当に軽やかに響く歌声に、一歩でも近づけるように努力していきます。(ケン)

西脇さんにお会い出来たこと。息子と可愛がって頂いたこと。そして沢山の事を学ばせて頂いたこと。とても貴重な時間をご一緒させて頂けたことに感謝して、西脇さんがいつも仰っていた「声を磨く」ということを続けて行きたいと思います。(チェリー)

7月に宮崎で行ったボニージャックス西脇さんと最後のステージ

――11月28日に一足早いクリスマスコンサートを開催することも発表されました。最後に、ファンの皆様へメッセージをお願いします

自身の弱さを沢山感じましたし、落ち込みもしました。コロナ禍に失ったことも沢山ありますが、逆に出会えたご縁もあり、それが支えにもなりました。いつも応援して下さる皆さまが笑顔になって元気になるようなステージを用意してお待ちしております。また、お会い出来る日を楽しみにしています!(チェリー)

僕たちはみなさんの応援や拍手が心の支えです。そして、ベイビーブーを応援してくださる方にとって、心の支えになるようなグループでありたいと思っています。今はなかなか会えないことが多いですが、未来は必ず明るいと信じ共に歩いていきましょう!また一緒に歌える日が待ち遠しいです。(ユースケ)

まだまだ先が見えない世の中ですが、希望を捨てず僕達の音楽に触れて少しでも気持ちを優しく過ごしていただけたら嬉しいです。そして、早く声を合わせて歌える日が来ることを祈っています。(シノブ)

今のような状況下でも、応援して頂く皆さんのおかげでここまで来ました。応援して良かったと思って貰えるようにこれからもずっと歌っていきますので、変わらず応援のほどよろしくお願い致します。そして、いつか武道館で一緒に大合唱しましょうね。(ユウ)

歌う喜びというのは、聴いていただける方があってこそ。生配信やSNSでのメッセージ、コンサートでいただく拍手に、たくさんの元気をいただいています。皆さんあってのベイビーブーです。本当にいつもありがとうございます!(ケン)

コンサート情報

「ベイビーブー ソーシャルディスタンスコンサート2021 Final! 〜ひと足早いクリスマス〜」

日時:2021年11月28日(日) 12:30開場/13:30開演
会場:東京都 かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールベイビーブー
料金:5000円(全席指定)

お問合せ:Ro-Onチケット 047-365-9960

コンサート情報はコチラ
https://www.boobooboo.net/

YouTube番組 秋川雅史とベイビーブーの「よくわかる音楽塾」がスタート!

テノール歌手の秋川雅史と、コーラスグループのベイビーブーによるネット番組「よくわかる音楽塾」がスタート!音大出身の秋川による確かな知識に基づく軽妙なトークと、ベイビーブーによる「声」を活かした表現で、子供から大人まで「音楽の世界」が楽しく学べる番組です。

・秋川雅史とベイビーブーの「よくわかる音楽塾」 #1 (音楽の三要素のメロディとハーモニーについて)

・秋川雅史とベイビーブーの「よくわかる音楽塾」 #2 (音楽の三要素のリズムについて)

音楽を奏でる電子絵本「クレヨンくんとイロイロしょうがっこう」リリース

音を奏でる電子書籍「クレヨンくんとイロイロしょうがっこう」書影

ベイビーブーのシノブが、絵とお話しと音楽で紡ぎだす「クレヨンくん」たちの素敵な世界。
特別支援学校及び、特別支援学級のおんがく授業で副教材として使用できます。また、ご家庭でも親子で楽しめる内容となっています。

音楽を奏でる電子絵本「クレヨンくんとイロイロしょうがっこう」
作・絵・音楽:シノブ(ベイビーブー)
総監修:松浦俊弥(淑徳大学教授) 
協力・歌:ベイビーブー
1650円(税込み) 

出版元:ホーホーチルドレン

ようこそ、ホーホーチルドレンへ。

2021年10月1日より、ソニーの電子書籍ストア「Reader Store(リーダーズ ストア)」で購入いただけます。

Reader Store
https://ebookstore.sony.jp/

※このデジタル書籍は、タブレット端末、スマートフォンにてご利用ください。画面に触れることで音や音楽が流れ、ご利用いただく方が楽しめる内容となっています。

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