昨年からのコロナ禍で365日連続での歌唱動画投稿を続けた、5人組コーラスグループのベイビー・ブーが、岩手県大槌町民とコラボした配信限定シングル「海の男に」と「蓬莱オーライ」をリリースし、同曲がテーマソングとなった“音楽を奏でる電子絵本”「海の男に」が、3月11日にリリースされる。

 今回、各音楽配信サイトでリリースされた2曲は、東日本大震災で甚大な被害を受けた岩手県沿岸部の大槌町に暮らす様々な世代が『みんなでともに笑い合いたい』という思いに共感し、震災で失われた大槌の演劇、文化を復活させようと集まった町の有志によるイベント「大槌バラエティショー」から生まれた曲で、コロナ禍以前となる2018年に大槌町の人達が上京し、ベイビー・ブーと共に歌いレコーディングされた曲だ。

 ベイビー・ブーは、阪神大震災後の1996年に声だけで音楽を作り上げるアカペラグループとして、被災地である神戸で活動をスタートし、路上ライブで歌うことを通じて復興を見届けてきた彼らが、昨年からのコロナ禍で「日々の生活に歌で笑顔や元気を届けたい」と、メンバー自身が「ネット上での路上ライブ」と称して始めたSNSを通じた歌唱動画の投稿は、3月4日に連続365日を達成した。

 世の中が困難な状況におかれた時に、音楽やエンターテイメントの必要性を強く感じてきた彼らが、東日本大震災で被害を受けた大槌町の方々との出会いから生まれた曲や、歌を届け続けることの意味についてリーダーのユースケに語ってもらった。

歌を歌う自分達が出来ることは何でもやろう

「海の男に」ジャケ写

――今回配信リリースされた、大槌町の皆さんと歌った曲はどのような経緯で制作された曲ですか?

 大槌バラエティショーという、大槌の皆さんで作り上げる演劇や音楽のイベントに出演させて頂いたことがきっかけです。『海の男に』という曲は、大槌に暮らす若者が自分のおじいちゃんのように漁師になるか、自分の進路に悩みながらも前向きに生きているという新聞記事が元になっていて、地元で生きると決めた主人公の強くまっすぐな姿が描かれています。『蓬莱オーライ』は、“ひょっこりひょうたん島”のモデルにもなった蓬莱島が、“いつでも故郷に帰っておいで”と優しく見守る歌で、どちらの曲も大槌の皆さんのコーラスと一緒にコラボしていて、とても温かい曲になっていると思います。

――音楽配信だけでなく、この2曲がテーマソングとして収録された、“音楽を奏でる電子絵本”「海の男に」として、3月11日から配信されます。電子絵本に音楽が収録されるということはあまり例のないことだと思いますが?

 絵という視覚だけでなく、朗読や歌という音の要素が盛り込まれることで、素朴で優しいタッチで描かれた大槌の風景と、声優の高山みなみさんによる朗読や、大槌の皆さんと一緒に歌ったこの曲が、物語の世界観を広げてくれると思います。これから電子書籍の更なる技術発展と共に、作者の様々なアイデアが盛り込まれることが可能になれば、(音を奏でる電子絵本は)新しい形のエンターテイメントにも繋がる可能性を感じています。

――さて、ベイビー・ブーは阪神大震災の翌年の1996年にアカペラコーラスグループとして、被災地である神戸で結成されましたが、関西に暮らしていた皆さんも実際に震災を経験され、そこからの復興も見てきたと思います。当時はどのような思いで活動されていましたか?

 震災後から電気を必要としない、僕らのように声だけで音楽を作り上げるアカペラグループが神戸から多く生まれました。様々なアーティストが“音楽で元気を”というメッセージを発信していく中、僕たちは路上でのライブで、足を止めて聞いて頂いた方が少しでも楽しくなってもらえるようにと、日々歌い続けていました。

――そういった経験から、世の中が困難な状況になった時の音楽や歌の必要性を強く感じていらっしゃると思いますが、昨年からのコロナ禍で同じように社会全体が落ち込む中、Twitterでの歌唱動画投稿を毎日続け、3月4日には連続で365日を達成しました。

 昨年の今頃は、僕らに限らず様々なアーティストのコンサートやイベントが全て中止になり、大変なことになるかも知れないという不安や、そもそもメンバーが集まって歌うことが出来なくなると思いましたが、メンバーそれぞれが宅禄で歌を収録できる環境があり、試行錯誤してオンライン上で歌を合わせることが出来たので、神戸で行っていた路上ライブのように、とにかくネット上で歌を届け続けようと思って始めたのがきっかけです。

――日々のレコーディングや、動画の撮影から編集など、非常に大変な作業が続いたと想像されますが『365日続ける』というモチベーションはどういったものでしたか?

「蓬莱オーライ」ジャケ写

 日本に限らず世界が大変な時だからこそ、歌を歌う自分達が出来ることは何でもやろうという気持ちで取り組んでいました。外出自粛中に外に出ることが出来ない子供達や、動画を見て頂いた方の一日が少しでも笑顔になる姿を思い浮かべ収録していました。

――そういった投稿を続けていく中で、阪神大震災以降の神戸で行っていた路上ライブのように、音楽の必要性といったものは感じることはできましたか?

 音楽は必要なのか? ということは、大きな自然災害に限らず、様々な困難な状況になった時、いつも頭の中をよぎります。その瞬間は生きるために必要ではないかも知れないけど、人間らしく心穏やかに生活するためには絶対に必要なもので、誰しも必ずそのときが来るからこそ今回の動画投稿のように、歌を歌う僕らは止まっちゃ駄目だと思っています。

――神戸での路上ライブや、365日続けた今回のコロナ禍での歌唱動画投稿。そして、東日本大震災で被害を受けた大槌町の皆さんと作り上げた楽曲。世の中が大変な時にも、様々な形で歌と音楽を届け続けてきました。最後に、コーラスグループである皆さんにとって「声を合わせて歌う」ということは、どんなことだと思いますか?

 声を合わせて歌うということは、心と心を合わせることだと思います。隣にいる人に無関心になりがちな世の中だからこそ『心のハーモニー』が大事だと感じます。まさに、『ビューティフルハーモニー』と訳される令和の時代ですが、僕たちが歌うことで始まる『ハーモニー』が、様々な人たちに元気や勇気を与え、日本中が笑顔の大合唱となる日が来ることを信じ、どんな時も歌い続けていきたいと思います。

(おわり)

作品情報

■配信シングル「海の男に」「蓬莱オーライ」
歌:ベイビー・ブーと大槌町のみなさん&大槌応援団

「海の男に」
https://lnk.to/babyboo_D035

「蓬莱オーライ」
https://lnk.to/babyboo_D034

各配信サイトにて配信中

■音楽を奏でる電子絵本「海の男に」 3月11日発売
予約ページURL
https://ebookstore.sony.jp/item/LT000144006001223097/

■ベイビー・ブー Twitter オフィシャルアカウントにて「今日も歌ってみた」動画公開中
@BabyBoo20020214

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