FUNKY MONKEY BΛBY'S「みんなのファンモン」再始動にかける想い
INTERVIEW

FUNKY MONKEY BΛBY'S

「みんなのファンモン」再始動にかける想い


記者:村上順一

撮影:村上順一

掲載:21年09月27日

読了時間:約11分

 FUNKY MONKEY BΛBY'Sが22日、再始動第一弾シングル「エール」をリリース。2013年6月、東京ドームでのライブを最後にその活動の幕を閉じたファンモン。今年の3月11日に放送されたTBS系『音楽の日』に一夜限りの復活を遂げ、大きな話題となったのも記憶に新しい。その反響も後押しして3月16日にファンキー加藤とモン吉の2人でFUNKY MONKEY BΛBY'S(ベイビーズの2文字目はΛ:ギリシャ文字のラムダ表記、Sの前にアポストロフィ)に改名し、活動再開を発表。そこから約半年、ニューシングル「エール」が完成。ファンモンらしさと新しさを推敲し制作された応援歌は、ファンモンにしかできない、唯一無二の楽曲に仕上がった。インタビューでは2人の再始動にかける気持ちから、楽曲の制作背景など多岐に亘り、2人に話を聞いた。【取材・撮影=村上順一】

今まで以上に大きなことが出来たら

村上順一

ファンキー加藤

――8月に放送された『CDTVライブ!ライブ!★夏フェス2021【第2夜】』のパフォーマンス、感動しました。テレビからもお2人の熱量が伝わってきました。

ファンキー加藤 テレビであそこまでライブ感を出せたのは初めてだったんじゃないかと思います。自分もすごくアドレナリンが出て、普段のライブに近いテンションで歌えました。テレビで8曲フルで歌わせてもらえることなんてないので、本当にありがたいなと思いました。

モン吉 始まるまでは「どうなるのかな」、という未知の部分と、ライブが始まったら身に覚えのある体感が蘇って来ました。テレビ局のスタッフさんが楽屋にメッセージを残してくれていたんですけど、そこには「今日はテレビではなくてライブだと思ってステージを楽しんで作ってもらえたらいいなと思います」と書いてあって。それがすごく嬉しくて、よりパフォーマンスがやりやすくなったんです。

――そのメッセージ嬉しいですね。再始動するにあたって今どのようなお気持ちですか。

ファンキー加藤 去年の今頃は想像もしていなかったのですが、ご縁と運命的な何かに導かれて、またこうして再スタート切らしていただくことになったんですけど、ファンモンとしての看板の大きさは誰よりもわかっているつもりなので、今まで以上に大きなことが出来たらいいなと思っています。

――モン吉さんは再始動にあたり、今はどういうお気持ちですか。

モン吉 解散して8年、僕らもあの時より大人になって、今はファンモンを噛み締めながらやれているのかなと思います。以前はすごいスピードの中で流れていって、自分がどこにいるのかもわからない感じでした。でも今は地に足をつけて出来ているんじゃないかなと。

――解散してからの8年間、ファンモンの復活を考えたことはなかったのでしょうか。

ファンキー加藤 僕の中では一回終わったものだったのでなかったです。それは、ちょっと意地みたいなものもあったと思います。ファンモンの思い出が強すぎて、ファンキー加藤としても何か大きなものを残していきたい、という思いが強かったんだと思います。

モン吉 僕はまた始まるならいつでも大丈夫というスタンスではありました。もちろん無理矢理やろうという感じではなくて、自然の流れの中で再始動出来るならいつでもやりたいとは思っていて。

――ケミカルさん不在での活動で、テレビもお2人でパフォーマンスされましたが、やっぱり寂しさもありますよね?

ファンキー加藤 ライブ中に関していえば、寂しさはなかったです(笑)。というのも、前からライブ中にケミカルが何をやっているのかは全くわかっていなくて。ステージでは後ろを振り向くこともほとんどなくて、常に前へ前へという感じなので映像を見て、「こんなことしていたんだ」と気づくんですよ。

モン吉 たまに振り向くと面白いことやってるなみたいな。

ファンキー加藤 ライブ中の景色は変わっていなくて。

モン吉 でも、ケミちゃんは僕らだけでは見せることが出来ないものを担当していたと思うので、これからどうなるのかはやってみないとわからないんです。

――DJは探しているとお話ししていましたね。

モン吉 10月1日の日本武道館はこの前テレビにも出てもらったバカムスコ翔君にやってもらうんですけど、今後探していきます。僕らとスタッフさん、みんなが「この人だ!」という人が現れてくれたらいいなと思っています。

――理想としてどんな方を求めていますか。

モン吉 ピカイチなキャラクターを持った人がいいなと思っていて。僕の中で“キャラ最強説”というのがあるんです。ケミちゃんみたいな人を求めているわけではないのですが、キャラが立っている人がいいですね。

ファンキー加藤 すごく難しいんですけど、ケミカルの二番煎じでは一緒には無理だろうなと思っています。ポッと出てきた感じではなくしっかり物語の中で現れてくれたらいいなと思っていて。ファンのみんなも納得するカタチで見つかったらいいなと。

――メンバーになるわけですから慎重になりますよね。

ファンキー加藤 今のサポートで入ってもらっているバカムスコ翔は後輩なんですけど、翔に決まるまでも5ヶ月くらいスタッフと打ち合わせをしてやっと決まったくらいで。でも、2人でやるというのはこういうことなんだろうなと思っています。

――気の早い話なのですが、アルバムのジャケ写はずっとケミカルさんでしたが、どうなるのかなというのも気になります。

モン吉 やばいことを聞きますね(笑)。まだ何も決まってないので僕らも「どうするんだろう?」と思っていて。もしかしたらアルバムを出さない気なんじゃないかって。

――(笑)。シングルは著名人の肖像でいつも誰が来るのかワクワクしていました。今回は千鳥の大悟さんということで盛り上がりました。

「エール」ジャケ写

ファンキー加藤 顔ジャケシリーズはいつも皆さんの力を借りているので、今回は大悟さんの力です。顔ジャケシリーズは他力本願なので(笑)。

――そもそもこのシリーズが生まれたのはどんな経緯があったのでしょうか。

モン吉 自分たちからの提案でした。デビュー曲が「そのまんま東へ」というタイトルだったので、絶対そのまんま東(東国原英夫)さんに出て欲しいと。せっかく東さんに出ていただけるならバストアップでドーンと出ていただきたかったんです。ただ、色々あってタイトルを「そのまんま」に変えられそうになるという危機があったんですけど、そこは何とか死守しました(笑)。

――今回の大悟さんは満場一致とのことでしたが、他の方の候補も?

ファンキー加藤 ありました。僕らが八王子出身なので、そこにちなんだタレントさんだったり。今回、お願いしたのはこの楽曲の泥臭さを大吾さんなら体現してくれるんじゃないかなと思って。とはいえ、令和を代表するお笑い芸人さんの1人なので、ダメ元でお願いさせていただいたら、快く引き受けていただきました。

覚悟という勘違いの中で出来た「エール」

村上順一

モン吉

――「エール」を再始動の曲として選ばれたのはどんな経緯があったのでしょうか。

ファンキー加藤 再始動するにあたって、中心軸になるメッセージはどうしようか、という打ち合わせをしました。色々な案が出たのですが、一周回ってやはり応援歌が僕ららしいんじゃないかとなって。でも、多様性が求められる中で頑張れという、少し押し付けるようなメッセージや言葉が弾かれる昨今ですけど、ファンモンだからこそ敢えてそのど真ん中にドーンと歌にできるのは僕らしかいないんじゃないかという、覚悟という勘違いの中で出来たのが「エール」でした。

――ファンの方からの声には新曲だけど懐かしい、というコメントもありました。これは意識されたところも。

モン吉 そうですね。ファンモンらしさをどのくらい残すのか、というのはけっこう悩んだ部分もあったんです。でも、結果的にそういう楽曲になったなと思います。

――今、お2人が思うファンモンらしさとはどこにあると思いますか。

モン吉 強い歌詞、キャッチーなメロディとユニゾンの声かなと思います。

ファンキー加藤 前のめりな歌なのかなと思います。ポジティブなメッセージを発しながら、ライブでは2人とも前傾姿勢で、前へ前へというスタイルはファンモンらしさだと感じています。

――確かに前傾姿勢のスタイルはファンモンしかないと思います。毎回見ていて思うのですが、ワンステージで消耗する度合いが尋常じゃないなと。

ファンキー加藤 ツアーになるともうズタボロですよ(笑)。ただ、モン吉がすごく体力があるので、僕はそこに助けられているかもしれないです。大体、僕が息切れしたりペースを乱すんですけど、モン吉がしっかり歌のメロディとかを守ってくれていて。僕が短距離走者でモン吉が長距離走者みたいな感じなんです。この前の『CDTVライブ!ライブ!』でも、昔もこんな感じだったなと思い出しました。

――今回お2人で制作されて当時からの変化は感じた部分はありましたか。

ファンキー加藤 細かいところではあると思うんですけど、大きな変化はなかったかなあ。僕らのスタイルが出来上がってからはそんなに大きな変化はなくて。

モン吉 変化というよりも一緒に制作してみて「懐かしいな」という思いが強かったです。

――「エール」はその懐かしいという部分も入った作品になったのかもしれないですね。ところで、レコーディングでこだわったところは?

ファンキー加藤 最後のサビの転調するところまで抑えて歌ったんですけど、その強弱というのは以前のファンモンにはなかった要素かもしれないです。

モン吉 1番のサビは割と抑えていて、最後に開放するみたいイメージで。これまでの僕らは最初からマックスのパワーで歌ってましたから。

ファンキー加藤 大人になったね、みたいなことは最近よく言ってます(笑)。

――カップリングには「今だってI LOVE YOU」が収録されていますが、これはファンの方に向けて書かれたところも?

ファンキー加藤 そうですね。表向きは再会というのをテーマにしているのですが、めちゃくちゃわかりやすい裏テーマとしてファンのみんなとの再会をテーマに書いていて。

モン吉 明らかに透けて見えまくってる裏テーマです(笑)。

ファンキー加藤 「エール」が僕ららしさと新しさのバランスの葛藤がすごくある中で作った楽曲だったので、ちょっと大変だったんです。なので、「今だってI LOVE YOU」はもう少し気軽に作りたい、僕らの原点であるラップミュージック、僕らがよく聴いていた90年代のテイストを盛り込んだ楽曲を作りたいと思って。楽しくラップが出来たらいいなという思いで作りました。と言いつつめちゃくちゃレコーディング苦労したのはこっちなんですけど(笑)。

――特にどのあたりを苦労されたのでしょうか。

ファンキー加藤 ラップのテンション感です。けっこう悩みましたね。そのテンション感でめちゃくちゃ雰囲気が変わるんです。たくさん試して、突発的に生まれたものも採用したりもしました。ここ最近では一番長いスタジオ作業でした。

モン吉 プリプロしながらレコーディングしていた感じで。

――歌詞も面白いなと思いました。<今だって至ってI LOVE YOU>とあって、なかなか歌詞で“至って”というワードは使わないですよね?

ファンキー加藤 そうですね。これは考えたのではなく、パッと思いついた言葉でした。すごくメロディとの相性が良かったんです。

――皆さんで歌えそうなパートもありますけど、今は難しいですよね。

モン吉 もう身振り手振りで楽しんでもらうしかないんですけど、<イーアーウーアーアー>というコーラスパートは5年後、10年後を見越した未来のウーアーになってます。

――日本武道館も決まっていますけど、どんなライブにしたいと考えていますか。

モン吉 当時から応援してくれている方達にとっては10年振りくらいのライブになりますが、当時よりも楽しんでもらえる様に頑張ろうと思っています。解散してから知ってくれた方達は初めてのライブになるので、いい意味で期待を裏切れるように、ライブって楽しいなと思ってもらえるようなライブにしたいです。声は出せないですけど、手拍子や身体を使って出来ることなど、使えるものは取り入れてやりたいです。あとは当時の振りを間違いないようにしないといけないですね(笑)。

ファンキー加藤 当時からのファンの皆さんはそれも含めて思い出だから、やっぱりそこは変えないでやりたいよね。

絶体絶命!? 野犬に囲まれたモン吉

――さて、お2人が生きていくにあたって、心に持っている言葉はありますか。

ファンキー加藤 プロレスラーの鈴木みのる選手の言葉です。みのるさんは僕とは10歳くらい離れていて、いま53歳なんですけど、すごく強さというものにこだわりを見せているレスラーで。そのみのるさんが「今が一番強いから」とアメリカに遠征に行くと仰っていて。それを聞いた僕は「でも、もう53歳ですよ」と話したら、みのるさんは「レベル53だ」と言うんです。齢を重ねるごとに人は強くなっていかなければいけないんだと。みのるさんのようなカッコいい先輩がいると自分はまだまだヒヨッコだなと思うし頑張れるので、「今が一番強い」という言葉に勇気づけられました。

――カッコいいですね! モン吉さんもそういった言葉はありますか。

モン吉 僕は言葉というよりも自然に救われています。特に今年は川や焚き火、そういったものに救われていたなって。

――モン吉さんは世界を旅していたのもあって、そこで人生観が変わった体験もあったり?

モン吉 インドで野犬に囲まれた時は衝撃でしたね。マニカランという温泉街でのことでした。インドの知り合いが夜は危ないから、ここに泊まって行った方がいいと言ってくれたんですけど、僕も泊まるところはあったので、自分のゲストハウスに帰ろうと外に出たらそこには犬がウロウロしていて。昼と夜では犬の雰囲気が全然違って、すごく凶暴化していて。

ファンキー加藤 それどうやって逃げたの?

モン吉 覇気です。ゲストハウスに行くまでの数キロの間、5匹くらいにずっと威嚇されていて。でもこっちもこっちで変なスイッチが入るから、「やるならやるよ」みたいな(笑)。それでゲストハウスの前まで囲まれながらも何とかなって。

ファンキー加藤 すごいな(笑)。

――気合いが重要ということですね。最後にファンの方にメッセージをお願いします。

ファンキー加藤 2人で再始動しましたが、ファンモンは「みんなのファンモン」だと思っているので、この看板のもとみんながハッピーになれたら良いなと。そして、また皆さんと新しい景色を見に行けたらいいなと思っています。そのために一生懸命歌を歌います。

モン吉 覇気を出しながら曲作りとライブをやっていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします!

(おわり)

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村上順一
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