INTERVIEW

野田クリスタル

常に心は「地下時代」
『スペース・プレイヤーズ』声優初挑戦、自身に重ねる


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年08月27日

読了時間:約5分

 マヂカルラブリーの野田クリスタルが、NBAのレブロン・ジェームズ選手が主演する映画『スペース・プレイヤーズ』(8月27日公開)の日本語吹き替え版で声優に初挑戦した。声を吹き込んだのは、レブロンたちと敵対するAIが作り出した最強デジタルチーム「グーンスクワッド」のメンバーで、オールスター常連のクレイ・トンプソン選手役/ウェット・ファイヤー役。チームには、野田ほか丸山桂里奈や中澤佑二や村上佳菜子、田中直樹(ココリコ)も参加している。中学時代はバスケットボール部に所属。現在はゲームクリエイターやトレーニングジムをプロデュースするなど多彩な活躍を見せるが、長い下積み時代を経てブレイクした自身の境遇を、ゲーム開発の夢を持ちながらも父レブロンに認めてもらえない息子ドムに重ねた。そんな彼が普段から大切にしているものとは。【取材・撮影=木村武雄】

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初声優は「邪魔にならないように」

――声優が決まった時はどう思いましたか。

 こんなにも説明がないまま始まるのかと思いました(笑)。もう少し「こういう役でこういうキャラクターです」という説明があると思ったら、台本渡されて現場行って「では読んでください」だったので、何も聞いていないけど…という感じで(笑)。どういう声色とか演技指導があると思ったら、そういうのもなくてそのまま始まったものですから、どうしたらいいんだろう(笑)。

――ではその場で感じたものをそのまま声に出した感じに?

 トンプソンの事は知っていました。ただ、普段どういうしゃべり方をしているのかは全く知らなかったので勝手なイメージでやりました。でもとにかく邪魔にならないように、それしか考えなかったですね。ワーナーのファンからしてみたらどう考えても僕はお呼びではないので、いかに物語に馴染めるか、そこを意識しました。「グーンスクワッド」のなかでは僕が最初に録ったようで、何の情報もなくて、そもそも僕以外誰が出るかも分からなくて。ふざけたことをやってこの映画が壊れると思ったら気が気ではなかったですね。

――出来上がった作品でご自身の声を聞いてどう感じましたか。

 やっぱり邪魔でしたね(笑)。自分だからかもしれないけど、「あ、野田だ」って。でも「グーンスクワッド」が出てきてからは「あ、桂里奈さんだ」とか、めっちゃ思ってました(笑)。それでも僕も含めて編集で違和感がないようしてくれたので良かったですね。

野田クリスタル

息子ドムに重ねた境遇

――今回はバッグス・バニーなど、いろんなキャラクターとの夢の共演がありますが、共演できるならどんなキャラクターと?

 ジョーカーですね。これまで『バッドマン』とかあまり見てこなかったんですけど、『ジョーカー』を1週間流していた時があって、忘れられなくなってしまいました。ちょっと自分だなって思えるところもあって、衝撃でしたね。そもそも僕は「悪役」という概念がなくて小さい頃は悪役の格好ばかりしていましたね。それとバットマンの格好もよく小さい頃はしていたのでバットマンとも共演したいですね。

――本作では「自分の価値観を押し付けてはいけない」というメッセージも感じられます。息子ドムが見るゲーム開発の夢を父レブロンは否定的であるなど、野田さんの歩みにも重なる部分があると思います。

 僕も親からは芸人になることを否定されていました。郵便局でバイトしていてそのまま勤めてほしいと思っていたから、芸人は辞めるものだと思っていたみたいです。でも「辞めないな」って。僕自身は意地でも辞めないと思っていたので。でもドムはえらいですよ。お父さんの言うことを聞いてバスケもやっていたから。

――マヂカルラブリーとしては長い下積みを経て『M-1グランプリ2020』で優勝してブレイクしました。やり続けることが大事だと思いますか?

 やり続けることも辞めることもどっちも大事ですね。僕は辞めなかったらから今があるんですけど、もし聞かれたら「辞めてもいいよ」って言いますね、誰にでも。「辞めない」ということがどれだけ辛いことなのか僕は誰よりも分かっているんで。「辞めちゃいけない」とか「続けること」とか、そういうことを自分に課せると頭がおかしくなって病気になるかもしれない。だから「辞めてもいいよ」というスタンスでいてほしいですね。だからゲームもバスケも「途中で辞めてもいいよ」と。

――野田さん自身は「僕は夢を必ず叶える」という発言もしていました。

 謎ですが、その力だけはありますね。

――辛くて辞めようと思ったことは?

 辞めるほうが辛いと思っていたので、それはないです。台無しというか、これまでやってきたことを捨てるような感覚なので。費やした時間が無駄になるのが一番嫌なので、これまでのやってきたことが無駄になる方が怖いです。

野田クリスタル

常に心は「地下時代」

――ゲームやジムなど芸人の枠を超えて様々な活動もされています。何かを作る、企画する上で意識していることは?

 「共感ができるもの」は意識しています。突拍子もないことを言っても誰もついてこないので、好きなことをやっているように見せて、皆に一発で伝わることをしていますし、何にでも独りよがりにならないようにしています。例えば、クリスタルジム。僕がプロデュースするパーソナルトレーニングジムですが、芸人が教えるという画(え)は浮かぶじゃないですか。でもこれまでなかったことではあります。なかったことのなかで画が見えるのを選んでいます。ゲーム「野田ゲー」もそうですね。ネタもそうです。やっていないことですが、画が思いつかないことはやらない。自分だけで成立するようなものは避けています。

――本作ではいろいろな名シーンがありますが、野田さん自身の人生の名シーンを挙げるとしたら?

 お客さんひとりの前でライブをやっていた頃ですかね。

――インディーズ時代、いわゆる地下時代ですね。

 そうです。地下ライブをやっていた頃です。あそこは僕の中でいつでも大事にしている名シーンですし、あのシーンを忘れないようにしています。「俺は地下の地下にいたんだぞ」って。地下時代が良くも悪くも僕にとっては大事で、今こうやって華やかな仕事をしていますけど、「お前は地下なんだぞ」と言い聞かせています。それによって謙虚にもなりますし、一つ一つの仕事を大事にもできます。でも一番大事なのは「地下の方が面白い」と思えることですかね、いつだって。それは絶対に忘れないようにしていますね。

野田クリスタル

(おわり)

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