3Vo+1DJのボーカルグループTHE BEAT GARDENが7日、東京・LIQUIDROOMで全国ツアー『The Beat Garden one man live tour 2021「Afterglow」』のツアーファイナル公演を行った。ツアーは5月15日の広島・Live space Reedを皮切りに全国12カ所24公演を行うというもの。ライブはDJとしてTHE BEAT GARDENを支え続けたSATORUのライブラストステージで、8月10日のSHOWROOM「音庭部屋」生配信を持ってグループを卒業。ライブは1部と2部の2公演を行い彼らの軌跡を辿るセットリストで魅了。SATORUのライブラストステージとなった2部の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】

みんなのことは一生忘れません

 ライブへの高揚感を煽るSEをバックに4人が登場し、2部の1曲目を飾ったのは「本当の声で」。Uによる「いこうぜ東京!」というこのライブの景気付けとも言える言葉も相まって、序盤からクライマックスのような空間を作り出していた。Beemer(ファンの呼称)たちも声が出せない中で、腕をステージに向け振り続けエネルギーを送る光景は、ステージとフロアが一体となっていることを感じさせた。

U(撮影=Yuto Fukada)

 続いてスケール感の大きなコーラスからビートの効いたサウンドとMASATOのワイルドなボーカルが印象的で、ライブをより熱くした「answer」と、このステージがライブ活動の最後となるSATORUも、大きなボディアクションでライブを盛り上げる。そして、早くも盛り上がり必至なナンバー「ダンシングマン」を投下。4つ打ちのダンサブルなビートでノリノリの空間に。SATORUもDJブースからステージ前方まで飛び出し盛り上げる。4人の仲の良さが伝わってくるパフォーマンスに自然とボルテージも上がっていく。

MASATO(撮影=Yuto Fukada)

 パフォーマンスとはギャップのあるほんわかとした自己紹介から、8月4日リリースされたニューアルバム『余光』より、4人の想いが目一杯詰まったクールなアップチューン「Everglow」を披露。<叫び合おうか 鳴り止まなかった愛を 想いを>という歌詞に、ここまで有観客でのライブを我慢してきた気持ち、そして未来への希望や光景が浮かび上がる。そして、この季節にぴったりでセンチメンタルな気持ちにさせてくれる「花火」では、曲の持つ情景をリアルに映し出す3人の歌声に浸る。

REI(撮影=Yuto Fukada)

 Uは「自分がライブがないことに慣れていくことが怖くなって、みんなももしかしたらそうなのかなとか思いながら過ごしていて。(世の中には)素敵な音楽も楽しいこともたくさんあるし、こういう期間になって音楽どころではないと言われている中で、会えるようになったとしても本当に(みんなと)会えるのかなと思っていました。帰ってきてくれて本当にありがとう。曲も歌詞も書いた事がなくて、今苦しくなるくらい音楽を伝えたい人がいてくれることが本当に幸せだなと思いました」と不安もあったが前向きな気持ちになれていることを伝え、そんな想いを楽曲に投影した「遠距離恋愛」を歌唱。夕暮れを感じさせる照明の中、しっとりと手紙を読むような雰囲気で歌い紡ぐ。

 ここで卒業を迎えるSATORUからこのライブを見ている人たちに向けて心境を伝えた。「いまだに実感が湧いていないです。ずっとこのツアーはみんなに“ありがとう”を伝えたいツアーにしようと思っていたけど、みんなからの言葉の方が大きくて、元気や勇気とかもらってしまっているなって。みんなに支えられてやってこれたなと思うし、3人にも支えてもらっていたし、みんなが見えないところでも電話で励ましてくれたこともありました。寂しい気持ちはあるけど、僕はTHE BEAT GARDENをやってきて幸せでした。ステージに立つのは最後だけどみんなのことは一生忘れません。4人で作ってきたものを楽しんでやりたいので、最後まで今日よろしくお願いします」と、言葉に詰まりながらも思いを伝えた。

SATORU(撮影=Yuto Fukada)

 それを受けてUは「寂しいです。SATORUは自分で家族のために生きていくと決めて...。4人でもっと行けたんじゃないかという後悔も全部背負って、これからも精一杯歩んでいこうと思うので、これからも4人をよろしくお願いします」と4人で深々とお辞儀し、そんな絶対的な絆で結ばれた4人のことを歌詞に綴った「エピソード」を届けた。SATORUはDJブースから離れ、3人と同じ場所で目を潤ませながら曲を口ずさむ姿が印象的だった。

あなたのおかげで何度も救われてきました

 ライブも佳境に突入。披露されたのはメジャーデビュー曲の「Never End」。THE BEAT GARDENはまだまだ終わらない、夢を掴むまで走り続けるという熱い意志をアグレッシブなビートとともにぶつけた。Uは「心の中で一緒に歌ってくれ」と、“心のシンガロング”を促す。きっとメンバーにはこの場にいるBeemerはもちろん、配信で見てくれているBeemerも含め、みんなの心の声が届いていたはずだ。そして、本編ラストはアグレシッブなTHE BEAT GARDENを堪能できるライブマストナンバー「Sky Drive」を投下。全身全霊を込めた圧倒的なパフォーマンスに、Beemerの振り上げる腕にも力が入る。

 Uは「今日まで生きてきて良かったとライブをやるたびに思わせてくれました。あなたのおかげで何度も救われてきました。あなたの生きていて良かったになれるように、これからも一生懸命に曲を作って、4人で作った曲も精一杯歌って歩んでいくので、これからも4人をよろしくお願いします」と想いを伝えるメンバー全員、目を潤ませる。

The Beat Garden(撮影=Yuto Fukada)

 SATORUは気丈にいつも通りの雰囲気で振る舞いながらも「本当にありがとう」と心から感謝を伝え、ステージを後にした。

 THE BEAT GARDENの4人とBeemerの絆と想いに溢れたステージ、一生記憶に残るライブだった。メンバーの脱退というのは、長く続けていけば起こりうることで、その悲しみをバネにより強くなるグループも少なくはない。“日が沈んでも光は消えない”という意味を持つ「Afterglow」と名付けられたツアータイトルからも、4人の意志が強く反映されているように、そう遠くない未来、もっと大きなステージで歌を響かせる姿が目に浮かんだ。このライブを経て、次フェーズに突入するTHE BEAT GARDENの活動に期待が高まる。

セットリスト

『The Beat Garden one man live tour 2021「Afterglow」』
8月7日@東京・LIQUIDROOM(2部)

01.本当の声で
02.answer
03.ダンシングマン
04.Everglow
05.花火
06.遠距離恋愛
07.エピソード
08.Never End
09.Sky Drive

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