メッセージ性のあるメインビジュアルが解禁(C)2021映画「ムーンライト・シャドウ」製作委員会

 小松菜奈が主演、宮沢氷魚が共演する映画『ムーンライト・シャドウ』(9月10日公開)に佐藤緋美、臼田あさ美の出演が決まった。吉本ばなな著『キッチン』収録の同名短編小説の映画化。原作ファンからも注目されている柊役に佐藤、物語のキーパーソンとなる麗役に臼田が挑む。

 主人公・さつきを本作が初の長編映画単独主演となる小松菜奈、そしてさつきの恋人・等役を宮沢氷魚が演じ、以前から原作のファンだったというマレーシア出身のエドモンド・ヨウ監督がメガホンを握る。

 本作は、ある日突然、愛する人を亡くした主人公のさつきが、死者ともう一度会えるかもしれない、という不思議な現象<月影現象>を通して、哀しみをどう乗り越えるのかを描いた「さよなら」と「はじまり」のラブストーリー。

 先日、主人公さつき(小松菜奈)の恋人で、突如帰らぬ人になってしまう等役を宮沢氷魚が演じることが発表され、まるで小説の世界から飛び出してきたかのような2人の共演に、原作ファンの間でも大きな話題をさらった。

 そして、等の弟・柊(ひいらぎ)役に佐藤緋美(さとうひみ)、柊の恋人・ゆみこ役に中原ナナ、そして、等を亡くしたさつきの前に現れる不思議な女性・麗(うらら)役に臼田あさ美、ほか吉倉あおい、中野誠也など追加キャストが発表となった。

柊役に期待の若手俳優・アーティスト、佐藤緋美

 映画化を知った原作ファンの間で、「柊役はいったい誰がやるのか?」と真っ先に大きな注目が集まっていた柊のキャスティング。柊は兄の等と自身の恋人・ゆみこを同時に亡くし、兄の恋人であったさつき(小松菜奈)ともに深い哀しみに打ちひしがれながらも、少しずつ“生きていく”という日常を取りもどしていく難しい役どころである。そんな柊役を今回見事オーディションで勝ち取ったのが、注目の若手俳優・アーティストの佐藤緋美(21)だった。

 2018年に寺山修司原作の舞台「書を捨てよ町へ出よう」(18)で主演デビューし、その後『#ハンド全力』(20/松居大悟)などの映画に出演、「HIMI」としてのアーティスト活動でも、才能あふれる独自の存在感を発揮している。

 柊は亡くなった恋人・ゆみこのセーラー服を着て日々を過ごし何かを感じようとする、原作でも非常にインパクトのあるキャラクター。

 佐藤は演じることが決まった際、「まさかこの役をいただけるとは思っていなかったのでびっくりした。柊は僕自身と合致する部分が全くないので、正直すごく難しかったけれど、だからこそ挑戦してみたいと思った」と語っている。

 印象的なもみあげ・おかっぱの髪型も「素の自分とは違う姿で演じたい」と自ら監督に提案。監督は佐藤を起用した理由として「オーディションで、独自のリズムとテンポによって出来た別世界に住んでいるような印象で、原作で描かれる柊にとても近いと感じた」と語り、現場では「自由奔放で、刺激的なエネルギーを発していた」と振り返る。

物語のキーパーソンとなる麗役に臼田あさ美

 そしてもう一人、原作ファンが注目していたキャラクターで、さつきの前に現れる不思議な女性・麗(うらら)役には、映画『南瓜とマヨネーズ』(17/冨永昌敬)『愚行録』(17/石川慶)『美人が婚活してみたら』(19/大九朋子)『架空OL日記』(20/住田崇)など、幅広いジャンルの作品でどんな役でも演じきる、臼田あさ美が挑んだ。

 麗は、どこかミステリアスな存在感を放ちながら、「満月の夜の終わりに死者ともう一度会えるかもしれない」という不思議な現象<月影現象>へ、さつきと柊を次第に導いていく。

 臼田自身も「とても不思議なキャラクターで、答えがないと感じた。『監督はこの作品をどんな風に撮るんだろう?』と、予測できない部分に興味が湧いた」とオファーを受けたときを振り返る。麗がどんな風に作品にスパイスを加えているのか、期待が高まるばかりである。

 柊の恋人・ゆみこを演じた中原ナナは、「カネボウ」や「コカ・コーラ」、「Adidas」などの海外広告のイメージモデルとして活躍するが、本作でゆみこ役のオーディションを見事に勝ち抜き、鮮烈な女優デビューを果たした。そしてさつきの親友・蛍役を吉倉あおい、さつきや柊と麗を巡り合わせる充役に中野誠也など、原作にはないオリジナルのキャラクターも登場する。

哀しみと愛しさと…感情が入り交じる、予告映像

 追加キャスト発表と合わせて、60秒の予告映像が解禁となった。合わせて、小袋成彬(おぶくろなりあき)による「Parallax」(ソニー・ミュージックレーベルズ)が本作のコラボレーションソングとして起用されることが発表となった。

 「等はいつも、小さな鈴を肌身離さず持ち歩いていた。それは彼のそばを最後まで離れない運命となった──。」

 さつき(小松菜奈)の含みのあるナレーションとともに始まる映像には、失くした鈴をきっかけに出会い、恋に落ち、付き合い出すさつきと等(宮沢氷魚)の幸せいっぱいの姿が。そして、等から紹介され、初めて会ったときから意気投合した等の弟・柊(佐藤緋美)とその恋人のゆみこ(中原ナナ)との、何気ないけれど穏やかで幸せな4人の日々が、安らかでどこか神秘的な音楽とともに美しく収められている。

 だが、突然の着信音により状況は一変。「事故があって、二人とも、死んだ──。」柊から電話越しに受けた突然の訃報に、深い哀しみに打ちひしがれ、生きる気力さえも失ってしまったような、痛々しいさつきの姿が画面いっぱいに映し出される。

 そしてコラボレーションソングの「Parallax」がかかるとともに、不思議な女性・麗(臼田あさ美)に出会い、「満月の夜の終わり」に「死者と再会できる」<月影現象>という不思議な現象に導かれていくさつきと柊の姿が描かれる。

 さつきの中に湧き上がる等と過ごした愛しい記憶、「もう、その音は、私の頭の中にしかなくて……」涙を流しながらあふれる想いを“声”に出すさつき。彼らは愛する人との別れをどう乗り越えるのか──。「どこかとどこかの歯車が、偶然噛み合ったら、何かが起こるのかも。」最後の等からのメッセージに込められた意味とは?

メッセージ性のあるメインビジュアル

 同時に本作のメインビジュアルも解禁となった。

 先日解禁されたティザービジュアルでは、美しくも力強ささえ感じる主人公・さつき(小松菜奈)の姿が大きな反響を呼んだが、今回解禁となったメインビジュアルには、さつきとその愛する人、等(宮沢氷魚)の姿がある。二人は同じ空間にいて、お互いを見つめ合っているかのようだが、さつきと等、それぞれの目には一体何が写っているのか、それぞれは何を思い、どこへ向かおうとしているのか、見る者によってさまざまな捉え方ができるビジュアルとなっている。

 「ひとつのキャラバンが終わり、また次が始まる。」と綴られたコピーは、原作の小説でも非常に印象深く刻まれている、主人公・さつきの台詞である。「キャラバン」という、一見聞きなれないが心の奥深くに残るその言葉からは、原作者・吉本ばななの作品が内包する、現実と妄想の狭間のような独特の世界観が浮かび上がり、それは映像となった本作でも、まぎれもなく描かれている一つの“メッセージ”であると言える。

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