重岡大毅

 ジャニーズWESTの重岡大毅が、7月スタートのドラマ『#家族募集します』(TBS系)で主演を務める。

 それぞれに事情を抱えるシングルファーザー&マザーたちが、ひとつ屋根の下で子育てをしながら“家族”になっていく姿を描く新時代のホームドラマ。

 重岡が演じるのは、3カ月前にシングルファーザーになった赤城俊平。5歳のひとり息子の子育てに奮闘。正義感の強さと子どもへの愛情の深さゆえに、辛さや心細さを一人で飲み込んでしまうという繊細な役柄だ。

 彼にとっては初の父親役であり、GP帯連続ドラマ初主演でもある本作。数々の作品で経験を積んできた今だからこそ表現できる演技が見られそうで、今から期待が募る。そこで本稿では、重岡の過去のドラマ出演作を振り返り、俳優としての転機を読み解いていきたい。

『これは経費で落ちません!』で大きく魅力開花(2019年)

 大きな転機といえば、2019年に放送したドラマ『これは経費で落ちません!』(NHK)が挙げられるだろう。重岡は、経理部に勤める森若沙名子(演・多部未華子)に猛アタックしていく営業部の年下男子・山田太陽を演じた。太陽は、「ほっとけないです。一緒にいたいです」「沙名子さんが喜べば俺も嬉しいんです」など駆け引きなしの真っ直ぐな言葉で、恋に奥手な沙名子の心を解いていく好青年。

 なかでも印象に残っているのが第2話、沙名子がインタビューを受けている姿を見つめるシーンだ。それまでも食事に誘うことはあったものの、「好きだ」と明確に伝わる表現はなかった。しかしそのシーンで優しく微笑む太陽の表情は、沙名子への愛おしさが溢れており、一瞬のカットだったにも関わらず「恋に落ちた」というのが伝わってきた。

 チャームポイントの笑顔や、持ち前の爽やかさ。自身の強みを存分に生かした表現で、「第17回コンフィデンスアワード・ドラマ賞」で新人賞を受賞した。

イメージと真逆の怪演を見せた『知らなくていいコト』(2020年)

 翌年に出演した『知らなくていいコト』(日本テレビ系)で演じた野中春樹は、大きな衝撃を与える役柄だった。主演の吉高由里子演じる真壁ケイトの“年下彼氏”ということもあり、「山田太陽の再来か?」とSNS上で盛り上がりを見せていたが、野中は太陽とは真逆の“クズキャラ”だった。

 第1話、「父親が殺人犯の可能性がある」とケイトに相談された野中は、「ケイトさんが誰の子どもでも関係ない。結婚しよう」と優しくプロポーズ。ここまでは、従来のような“好青年”キャラのように思えたが、すぐに「子どもができた時のことを考えたら……」と逃げ出してしまう。

 “クズっぷり”はそれだけでは留まらず、ケイトの父親が殺人犯であることを週刊誌にリークしてしまったり、ケイトの元恋人で既婚者の尾高由一郎とケイトの関係を
疑い、「あはははー尾高さんとケイトさんの不倫がバレたら、もっともっと大変なことになりますからー」と猟奇的に笑ったり、文字通りの“怪演”を見せた。第1話での“優しい年下彼氏”からの転落ぶりに、SNSではたびたび“野中闇堕ち”と話題に。

 だが当の重岡は、『Johnny’s net』の内の動画で「どうもクズでーす!」と笑いながら自己紹介をするなど、“クズキャラ”を演じることを楽しんでいたように見える。アイドルという好感度が重要な職業にも関わらず、“役”として嫌われることに喜びを見せる姿から、俳優としての強い覚悟が伝わってきた。

 そのほかにも、連続ドラマ初主演の『SHARK〜2nd Season〜』(2014年/日本テレビ系)や、『ごめんね青春!』(2014年/TBS系)、『教場II』(2021年/フジテレビ系)などさまざまな作品で経験を積んできた重岡。そのなかで本稿は、得意分野を見つけた『これは経費で落ちません!』と、ヒール役に徹して演技の幅を広げた『知らなくていいコト』の2作を挙げた。『#家族募集します』の赤城役も、彼にとってまた新たなターニングポイントになることを願う。【菜本かな】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

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