INTERVIEW

萩原みのり

目の前のことをただ必死に。
ドラマ『RISKY』で主演


記者:木村武雄

写真:木村武雄

掲載:21年03月28日

読了時間:約7分

 女優・萩原みのり(24)が、ドラマ特区『RISKY』(MBSほか)で地上波連続ドラマ初主演を務めている。「どの作品も目の前のことに精いっぱい取り組みたい」と気を引き締める萩原はどのように向き合ったのか。萩原の考えにも迫る。【取材・撮影=木村武雄】

感情を爆発させる

 「単純にワクワクしました。役者としては、今までやってきたことがないこと、逆に今までやってきたことの極みでもあり、楽しみでした。人間が持つ愛しい感情や寂しい感情など沢山の感情を爆発させ、それぞれが突っ走っていくすごい作品になりそうだなと思いました」

 人気漫画『RISKY~復讐は罪の味~』の実写ドラマ化。幼い頃に両親を失い、姉に育てられたヒロインが、姉の人生を狂わせた“女”に復讐を仕掛けていくスリリングで急展開なラブ・サスペンスだ。萩原は、恐ろしい復讐を企む主人公・広瀬ひなた役を演じる。

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

 撮影現場に入った時に「本当に『RISKY』の世界に入ったんだ」と実感したが、その撮影は壮絶なものだった。放送前に行われた上映会で萩原は笑いながらこう振り返っていた。

 「毎話が山場のような撮影でした。現場が好きで撮影は楽しみでしたが、人に復讐することがこんなにも疲れるのかと。身をもって体験しました。1日に消費するカロリーがすごくて高くて、感情を全身から振り絞っていた毎日でした」

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

 本作では、原作にはないドラマオリジナルストーリーが展開されるが、役作りで意識したのは原作のひなたをどう体現できるか。

 「ドラマのひなたも原作のひなたあってのことなので、原作のひなたという人間を自分で演じることができれば、原作と異なるエンディングになっても、ひなたには変わりはないと思いました」

 劇中では、姉・広瀬かなた(演・深川麻衣)の人生を狂わせた、かなたの元婚約者で将来有望なエリート商社マン・桜井亨(演・古川雄輝)を奪った黒田美香(演・山下リオ)に復讐する。第1話では、桜井亨に好意を持っているように欺き近づく。演じる上で意識したのは、表の顔にふと現れる本音、裏の顔だ。

 「芝居では漫画のコマとコマの間を埋めることができると思います。例えば、抱き合っている時に裏では違う顔をしたり、そうした台本だけでは分からない、動いたときの隙間を見つけて、ひなたの裏の顔、作っていない顔をどう挟み込んでいくかというのを監督と話し合いました」

 撮影を終えて感じるのは「古川さんとのシーンが主に中心だったので、第1話を見たときに自分が出演していない新しい『RISKY』の世界があって。台本は読んでいますが、私自身も一視聴者の気持ちで観られるシーンなので、今後も完成を観るのがとても楽しみです」と表情を緩ませる。

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

(C)「RISKY」製作委員会・MBS

正解はない

 そんな萩原は昨年、7本の映画に出演するなど大活躍をみせている。しかし彼女は「たまたまスケジュールが合ったことと、色々なご縁が重なってお仕事が続いているんだと思います」と控えめ。

 地上波連ドラ初主演も「ニュースで『初主演』という見出しを多く見たときに実感しましたが、地上波連ドラ初主演だからといって気持ちが変わるわけではなくて、いつも通り目の前のことと必死に戦う日々でした」と冷静だ。

 最近では、映画では『転がるビー玉』や『37セカンズ』『佐々木、イン、マイマイン』、『アンダードッグ』に『花束みたいな恋をした』。ドラマでは『お茶にごす。』や配信ドラマ『賭ケグルイ双』などに出演。演じてきた役柄も様々で、着実に階段を上がっているように見える。しかし、自身はそういう感覚はないという。

 「最近は色々な方がそう言って下さっていますが、私自身は分からないというか、実感がなくて。キャリアという階段を上るという感覚ではないんです。現場が変われば全てがリセットされて、新しい環境で作品が始まる。監督さん達の意向によって求められるものも異なるので、前の現場でやっていたことが正解とは限らない。だから一歩ずつ階段を上がっている感覚もない。10年近くやって来ても前に進めている実感がないのはそういうことなのかなとなんとなく思っています」

 違った見方をすれば、どの現場にも対応できるフラットさを備えているように感じる。しかし、「私の性格はフラットじゃないですよ。きょう正しいと思ったことも、2週間後には正しくないと思っているかもしれない」ときっぱり。

 考え方が変わるのは誰にでもあることだが、萩原は、演じた役柄によって変わる周囲からのイメージに苦しんできた。「芯が強いと言われることもありますが、私自身はそうとは思わなくて。特にこの2、3年は、自分自身は周りに作られていくものだなと思っています」

 それはどういうことなのか。

萩原みのり

萩原みのりを作って行くのは私じゃない

 「萩原みのりを作っていくのは私じゃないと感じています」

 強気に見える、芯がありそう、かっこいい――。これらは周囲が抱く萩原への印象だが、本人はそういう性格ではないと否定する。

 「仕事を始めた頃から強気ではありませんでしたし、メンタルも弱くて全然かっこよくないのに、いつしかそう見られるようになって。他者によって自分がどんどん作り上げられていく感覚で私はずっと不思議な感じです」

 それも数年前までは、作り上げられた“虚像”を演じていたこともあった。

 「強気に見られているのであれば強気になった方がいいのかな、とか。街で声をかけられた時はクールじゃないといけないのかな、とか、作られたイメージに合わせないといけないと思い、そうしていました」

 役柄のイメージがその人そのものの人格を象っていく。それだけ印象に残る芝居をした証でもあるが、「演じていない自分」、そして「自分らしさ」を見失うことにもなる。

萩原みのり

強みがないことが個性

 吉川愛と今泉佑唯とでトリプル主演を務めた『転がるビー玉』。夢を追い求めながら、悩み、もがき、笑い、泣く3人の女性の姿を描いた作品。そのオーディションで「私自身の強みが分かりません」と答えた。

 「その時にスタッフさんから『強みを言えないのは女優として良くない』と言われました。でも、違う人には『強みが分からないことがあなたの強み』と言われて。どっちが正解なのかは今も分からないですし、今も自分の強みは分からないです。だからいつも混乱しながら、その時に自分が正しいと思うことを信じて進んでいる感じがあります」

 だがいま、考え方は変わってきている。

 「フラットにいようと思ってもイメージはついてくるものですし、それが“萩原みのり”になっていくので、今ではイメージは見てくださる方々にお任せしようと思っています。自分自身は“こうです”とか“こうじゃない”とかはこだわらなくなってきました。『どう思われてもいい』という気持ちですが、でも嫌われてもいいとは思っていません。どういう印象を持たれても良いですが、誰からも嫌われたくない、誰からも好かれたいという気持ちもあります」

萩原みのり

私、ハッピーな性格

 自分の常識は他人の非常識――という言葉がある。その人の価値観によって見方は変わる。萩原の場合は「マイペース」という言葉にも彼女の考えがある。

 「昔は、マイペースと口癖のように言っていましたけど、逃げることを肯定しているように思えてやめました。進めないのは自分のせい、進めているのはその人が努力や工夫をしているから。だから人と比べて焦るくらいなら自分ができることを必死にやろうと思っています」

 他者からどう思われようと、自身が正しいことを信じて目の前のことに全力で挑む、それがいまの萩原みのりとも思える。

 「よくどう臨まれますか?と聞かれますが、目の前のことを必死にやりますとしか言いようがなくて。それが私なりのペースで、私が生きやすい生き方。10年近くやってきても自信がついたことはないですが、自分のやりやすい、現場にいやすい方法、芝居しやすい居方は分かってきているつもりなので今後はそれを続けていきたいです」

 そしてこう話す。

 「私の事をハッピーな人じゃないと思っている方が多いけど、私はすごくハッピーな性格だし、ある時、取り繕っている壁を全部取っ払ってから一気に気持ちが楽になって。クールって思われても私自身はハッピーな性格だからいいやって。自分の好きなように、自分自身を大切に生きていったらすごく楽しくなりました」

 正解は見えないと語った彼女だが、目の前に広がっていた厚い雲はいま、消え、光が差しているように見える。ただ、それもあくまでも記者という他者からみた私見に過ぎない。答えは彼女の気持ちのなかにある。そして、このドラマの登場人物もそれぞれの価値観で突き進んでいる。

萩原みのり

(おわり)

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木村武雄
(C)「RISKY」製作委員会・MBS
(C)「RISKY」製作委員会・MBS
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