大林恭子氏、黒沢監督・大林監督のバトンは「仲間や観客に」
『第12回TAMA映画賞』授賞式
多摩市民などからなる実行員会が表彰する『第12回TAMA映画賞』の授賞式が29日、東京都府中市の森芸術劇場どりーむホールで行われ、最優秀作品賞を受賞した『海辺の映画館-キネマの玉手箱』(大林宣彦監督)から、プロデュサーの大林恭子氏と奥山和由氏、キャストの常盤貴子、厚木拓郎、細山田隆人、細田善彦、吉田玲が登壇した。
本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰する最優秀作品賞。『ラストレター』の岩井俊二監督らと共に、『海辺の映画館-キネマの玉手箱』の監督、スタッフ、キャストが受賞した。
『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、今年4月10日に亡くなった大林宣彦氏が生前最後に監督を務めた作品。戦争の歴史を辿りながらも、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルといったさまざまな表現で描いた。
大林宣彦監督の妻でプロデューサーの大林恭子氏は「黒澤明監督に生前大林は可愛がってもらいました。世界が平和になるためには400年かかる。僕は生きられないから、続きをやってくれと仰られた。映画の持っている力を信じて未来の子供たちに平和で穏やかな世界を望んで黒沢監督から預かったバトンを観客の皆さん、(ここにいる監督やスタッフ、キャスト)皆さんに託されたと思います」と明かした。
なかでも大林監督が未来に託したのは、岩井俊二監督、塚本晋也監督、犬童一心監督、手塚眞監督の4人。授賞式に出席していた岩井監督は心境を語った。
また、奥山氏は、本作での大林監督とのエピソードを紹介。常盤は、東京国際映画祭をのぞきコロナ禍で公開後揃って舞台挨拶が出来なかったとし、厚木、細山田、細田、吉田を指して「この4人に大きな拍手をお願いします」と願った。会場は割れんばかりの拍手で包まれた。
厚木は20年前に出演した作品で指導を受けたときのエピソード、細山田は16歳の時に作品に携われたこと、大林組初参加となった細田は撮影の裏側を、監督に見出された吉田は感謝の思いを語った。