INTERVIEW

吉田 玲

大林宣彦監督が選んだヒロイン「監督の前ではなるべく役柄でいようと」


記者:鴇田 崇

写真:

掲載:20年07月29日

読了時間:約5分

 巨匠・大林宣彦監督が、20年振りに自身の故郷である「尾道」で撮影した、圧倒的な映像世界で贈る最新作『海辺の映画館―キネマの玉手箱』が、コロナ禍の上映延期を乗り越え、いよいよ全国公開となる。尾道にある海辺の映画館を舞台にした本作の物語は、戦争の歴史をシリアスに辿りながらも、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルといった、さまざまな映画表現でテーマ展開していく構成で、まさしく“キネマの玉手箱”!と形容してよさそうな一作だ。監督のエネルギッシュなパワーが爆発した、誰もが体験したことがないエンターテインメントとなっている。

 その本作で運命のヒロインを、本作が映画初出演となる吉田玲が熱演している。大林組初参加のみならず、商業映画初参加にしてのメインキャストという大任ながら、大林監督の“映画への情熱“と“平和への想い”を受け止め、監督が新しい世代へ託すメッセージを素朴ながらも見事に表現している。その彼女に、本作に出演することになった経緯、公開と同時に社会人として社会に出ていく心境、そして将来の夢であるというミュージカル作品出演への想いなど、さまざまを聞いた。【取材・撮影=鴇田崇】

 ※このインタビューは、大林監督が亡くなられる前に実施しています。

海辺の映画館―キネマの玉手箱

パッと浮かんだ

――今回、大抜擢でしたが、撮影中に緊張はしましたか?

 自主映画に出演させていただいた経験しかなく、本格的な映画への出演が初めてだったので、浮いてしまっていたと思います(笑)。ごあいさつに行くことも緊張でドキドキしてしまいましたが、みなさんすごく優しかったです。常盤貴子さん、山崎紘菜さんが気さくに話しかけてくれて、仲良くさせていただきました。何度もご飯に連れて行っていただいて、大林監督とのエピソードもうかがいました。

――周囲の反響も大きそうですが、いかがでしたか?

 わたしよりも学校の先生方のほうが大林監督のことをよくご存じだったので、出演に関してすごく驚いていました。わたしよりも興奮されていたかもしれないです。卒業アルバムに「サインください」と言われました(笑)。

――撮影はスムーズに終わりましたか?

 はい。わたしは事務所に入っていなかったのでマネージャーさんもいなかったのですが、大林監督の現場は、撮影現場にはマネージャーさんを連れてきてはいけないことになっているそうで、ほかのみなさんと同じ環境でした。大林監督の前では、なるべく役柄の希子(のりこ)でいようと思っていました。監督がそのようにおっしゃったわけではないのですが、現場の雰囲気でそのほうがよいと思っていたところがあります。

――そもそも、どういう経緯で本作の出演が決まったのですか?

 わたしが中学生の時に『隣人のゆくえ あの夏の歌声』という映画に参加しまして、その映画を大林監督が観てくださったんです。それで今回の映画のヒロインとして、わたしのことがパッと頭に浮かんだそうなんです。そして『隣人のゆくえ あの夏の歌声』のホームページに直接、オファーの連絡が来たんです。

――そんなことがあるんですね!

 そうなんです。それで尾道にある「茶房こもん」(※『時をかける少女』など、大林作品にたびたび登場するワッフル店)というカフェでお会いしまして、お会いした瞬間に決めていただきました。

――監督とはどういうお話を?

 それぞれのシーンで戦争について詳しくお話してくださって、最後には戦争はよくない、怖いものだとよく言われていました。

――幻想的な作風ですが、撮影前にどういう準備をしたのでしょうか?

 役作りとしては衣装合わせの時に説明がありまして、「お姫様は凜としないといけない」と教わりました。あとは撮影現場で、いろいろと指導を受けながら、自分なりにそれぞれの役柄を理解して、日々頑張っていたと思います。

吉田玲

憧れの女優

――ところであこがれの女優さんなどはいますか?

 高畑充希さんです。高畑さんはお芝居だけでなく、ミュージカルなどの歌のほうでも素晴らしい人で、あこがれちゃいます。あとは、松岡茉優さんもあこがれます。わたしはミュージカルが大好きなので、幼稚園の年長から同じ劇団に所属して、勉強している最中です。目標は、ミュージカルの舞台に立ちたいと思っています。

――海外のミュージカルも観ますか?

 はい。『グレイテスト・ショーマン』や『オズの魔法使い』、『オペラ座の怪人』など有名な作品ばかりですが、観ています。海外は行ってみたいとなんとなくは思いますが、今はまだとても遠いかなあと思います。まだまだ、無理かなと思っているので夢です。

――どういう内容のミュージカルに出たいですか?

 学園系に出たいですね。若いうちに(笑)。若さを保って頑張りたいです。

――好きなアーティストはいますか?

 最近ではSixTONES(ストーンズ)です。メンバーの方がミュージカルをやられていて、やっぱり歌がうまいので聴き入ってしまいますね。音楽はつねに聴いています。移動している時、気分が乗らない時、いつも聴いています。

――これから社会人だと思いますが、挑戦してみたいことはありますか?

 一人暮らしです。家を出たいです(笑)。

――どうしてまた(笑)

 マイルールを作りたいんです。食器を洗うことも、自分のペースで洗いたいんです。マイペースなので、自分のタイミングでいろいろやりたいタイプなんですよね。ほかには字が下手なので、ボールペン検定などの資格を取りたいです。

――最後になりますが、『海辺の映画館-キネマの玉手箱』を楽しみに待っている方々へメッセージをお願いいたします。

 大林監督は、教育の映画だと言われていました。わたし自身も知らないことが多く、この映画を観て初めて知ることが多かったので、その言葉の意味がよくわかりました。教科書みたいな映画になっていると思いますので、いろいろなことを持ち帰ってくれたらうれしいです。

 ※映画『海辺の映画館―キネマの玉手箱』は、7月31日(金)より公開。

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