INTERVIEW

森川 葵

自分の好きを探しに来てほしい。
『リトル・サブカル・ウォーズ』


記者:鴇田 崇

写真:鴇田崇

掲載:20年10月22日

読了時間:約6分

 2019年に「メ~テレ」のテレビドラマとして放送され、深夜にも関わらず名古屋を中心としたサブカル戦士たちの熱いハートに火をつけ、カルト的人気を誇った作品の劇場版、映画『リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~』が23日公開になる。名古屋発の遊べる本屋「ヴィレッジヴァンガード」を舞台に、店員とその仲間たちが、この世からなくなってしまった“サブカル”を、カルチャーそのものを取り戻すため、壮絶なバトルを仕掛けていくストーリーだ。

 そのファン待望の劇場版に、小松リサ役で女優の森川葵が出演する。もともと「学生の頃からずっと通い続けているお店」だと言い、本作を通じて共演の最上もかとプライベートでの親交を深め、個人的にも想い入れが強いシリーズになったと語る森川。今回彼女のインタビューでは、映画らしい一大スケールの展開で、現実離れしたファンタジックな要素で観る者を楽しませるも、「自分の世界から自分が好きなものが消えた時に、自分ならどうするか、そういうことを考えながら観てほしいです」と深いメッセージが横たわっていることも教えてくれた。【取材・撮影=鴇田崇】

「リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~」

店長再会に大感激

――映画本編、楽しく拝見しました。ご自身でもお気に入りのシーンがありそうですが、その点いかがでしょうか?

 映画の冒頭、ワンカットで長い時間撮影をしたのですが、お店の奥から撮り始めて、セリフもわりとあって、いろいろな動きもたくさんあるので、自分が1回崩したら終わってしまうという緊張感がすごかったんです。あと実はそのシーンの撮影から滝藤(賢一)さんが参加されたのですが、みんな久々に店長に会ったので大感激してしまって、思い出のシーンです。その感じも映像に出ていると思うので、要注目です(笑)。

――人気店が題材の映画ですが、出演が決まった当時はいかがでしたか?

 学生の頃からずっと通い続けているお店で、母と買いものに行った時なども一緒に立ち寄ったり、高校生になっても友だちと一緒にパーティー用のお菓子を買ったりしていて、身近な存在ではあったんですよね。そのドラマということで、自分に身近すぎてどうなるのかなと思いましたが、世界観をそのままドラマにしていて面白いなって思いました。

――映画化の話を聞いた時は?

 当初はシーズン2のドラマを撮ると聞いていましたが、まさかの映画で。そもそもシーズン1で完結してるので、びっくりしました。しかも映画だったと、映画もあるのかと(笑)。どういう内容になるのだろうと思いましたが、まさかの展開でした(笑)。

リトル・サブカル・ウォーズ ~ヴィレヴァン!の逆襲~

居心地が良かった撮影現場

――まさかまさかの展開ですよね。そして個性的なメンバーのみなさんですが、現場の雰囲気はいかがでしたか?

 個性的ですよね。それぞれがまったく異なる情報を持っているので、どんどん話も盛り上がっていました。ただ、かなりスケジュールがハードだったので、みんな寝ているかご飯を食べているかどこかで休憩しているかみたいな、そういう感じに次第になっていました。だから元気があるうちはワイワイしていますけど、気づいたらそれぞれの時間を大切にしていましたね。でもそれは嫌な感じではなかったです。居心地がよかったです。

――このプロジェクトを通じて、最上もがさんとすごく仲良しになったそうですね。

 そうですね。シーズン1の時は初めましてだったので、普通にお仕事として楽しく共演させていただいたのですが、その後プライベートで仲良くなりました。家に行ったり、ご飯に行ったり、自粛期間中などは1日5~6時間電話をしたり、そういうことを繰り返していました。だから撮影現場で会うと、友だちのノリになるわけにもいかないし、どうしようかなと(笑)。どれくらいの距離感でいればいいのかよくわからなくなって、そわそわしちゃいました。

――さて店舗にもよく行かれていたそうですが、ヴィレッジヴァンガードは、どういうところが魅力でしょうか?

 本当に自分たちが好きなものを置いていて、その想いが押し付けがましくないところですよね。そこが魅力。お店に行くといろいろな情報がたくさんあるから、知らなかったことをたくさん知れる場所だなとも思っていて、そこまでたくさんのことを知れる場所もあまりないんですよね。純粋にいいものを知ってほしいという気持ちが伝わる。それが素敵で気持ちがいいです。

森川葵

聴いているのはサントラ

――サブカルにはいつ頃興味生まれたのですか?

 そもそものそのサブカルが何なのかよくわからなくなってしまって、“サブ”って何だろうって。どれがそうでそうじゃないのか、難しいですよね。今やアニメもマンガもメインストリームですし、実写映画はマンガ原作多いですし、何がサブカルか分からない時代ですよね。

――いまお好きなものは?

 「ブルーピリオド」を読んでいます。最近は「東京ドーム怪事件 超能力 少年」なども。

――音楽はいかがですか?

 サントラをよく聴いていますね。アニメが多いのですが、すっきりするというか、気分が盛り上がるんです。もう一段アゲたいなという時に聴くんです。最近は「プロメア」のサントラをよく聴いています。爽やかな感じなので、仕事に行く前に聞くと気分がちょっとだけ晴れる。そういう感じで聴いています。

――そのほかリフレッシュのためにしていることはありますか?

 親友がいるのですが、ほぼ毎日メールをしています。何々が終わったらどこか行こうとか計画をしているのですが、そういうことが決まると、それに向けて頑張ろうとは思います。旅行というほどではなくて、遊びや食事、ご褒美。今日は夜日本酒飲むぞ! みたいな。そういう工夫ですよね。自分のテンションをあげていく日常の工夫です。あとは最近おせんべいをよく食べます。すごくハマッています!

森川葵

大事にしていること

――仕事で大事にしていることは何ですか?

 柔軟でいることです。脚本の読み方も人それぞれですし、現場によっては選択肢も少ないこともあると思うんです。でもそういう時に自分はこう思ったからそれだけみたいなことを突きつけるのではなく、相手のカードも見てみて、自分のカードとどちらが適切か、その場その場で柔軟に対応していけるように、頭を硬くしすぎないように気をつけています。

――それは難しい挑戦ですよね。

 そうですね(笑)。どこまで自分の芯を貫けるかということも大事ではあるので、正解が分かりにくい仕事ではあるなとは思っています。

――さて今回の映画ですが、ヴィレッジヴァンガードを知らない人もいると思うので、どうおすすめしますか?

 知らないと難しいと思われるかも知れませんが、個性豊かなキャラクターたちが個性しかないお店で働いて、事件を起こしていく物語です(笑)。起きちゃうんじゃない、起こしていくんです。そういう物語です!

 中身が濃いので、もしかしたら1回だけでは見切れない可能性もある作品になっています。サブカルというと、そういうのは……って思う人もいるかも知れないけれど、何か好きなものがある人であれば、確実に共感できるものがあると思います。自分の世界から自分が好きなものが消えた時に、自分ならどうするか、そういうことを考えながら観てほしいです。もしかしたらこの作品がきっかけで何か知らなかったことを知って好きになることがあり得るので、ぜひ自分の好きを探しに来てください。

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鴇田崇

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