King & Prince

 King & Princeの2ndアルバム『L&』に収録されている、メンバープロデュースの5曲から見えるそれぞれの個性について分析するシリーズ。前回は、高橋海人(高ははしごだか)プロデュースの「生活(仮)」に着目した。今回は、神宮寺勇太プロデュースの「Laugh &...」に触れていきたい。

■神宮寺勇太「Laugh &...」

 神宮寺自身も作詞作曲に参加している「Laugh &…」は、聴き手に優しく語りかけるミディアムバラード。ラジオ番組『ディアフレンズ』(TOKYO FM)で「ステイホーム期間に感じたもどかしさを作品に残し、みんなと共感できたら」とテーマを明かしており、現状に共感しつつも、前向きにしてくれるような印象を受ける。

 まず、歌詞に着目する。Aメロで、<この未完成な今/理想と現実の間/抱えきれずに求めてしまう/いつだって探してる/本当の自分をもがきながら>と自身の抱える焦りを開示。そして、Bメロで<君は今 笑えてますか?/明日を信じてますか?>と問いかけ、サビで<自分がもし浮いて見えていても/大丈夫さ どんな日もきっと>と聴き手を励ます。

 「自分も同じ気持ちだよ」と寄り添いながら、背中を押してくれるような楽曲構成だ。自身が感じた辛さを押し込むのではなく、歌に乗せて表現する。そして、聴く人の気持ちに寄り添う。この楽曲からは、そんな温かさを感じる。

 昨年のアルバムに収録されていた岸優太、永瀬廉とのユニット曲「Letter」についても、「いつもファンレターを貰っているお返しになるような曲をお願いした」と明かしていた神宮寺。<はにかんだ笑顔には 季節を先取るリップ/今日はどんな君に会えるの?>など、コンサート前にお洒落に勤しむファンの姿を想像した歌詞が含まれており、聴く人の気持ちに寄り添いたいという想いが溢れていた。

 このように、「国民的彼氏」と称される彼ならではの細やかな視点で、ファンの想いや努力を即座に察して寄り添ってきた神宮寺らしさが、「Laugh &...」にも表れているのかもしれない。

 また、同曲は、ジャニーズJr.時代に歌っていたオリジナル曲「描いた未来〜たどり着くまで〜」で作曲をしていたGRP氏、草川瞬氏が制作に参加していることもあり、両曲はどこか同じ温かさを感じさせる。

 「描いた未来〜たどり着くまで〜」のAメロに、<揺れるあの雲追いかけ/思い出したこのFelling>と登場する「雲」。「Laugh &...」のAメロも<漂う雲をぼんやり眺めながら/今の気持ちと重ねてみた>と「雲」を眺める情景から始まる。それだけでなく、<空白の時間を埋めながら/描き出す未来図を>と「描いた未来」を彷彿とさせるようなワードも登場。同じチームで制作しているため、両曲を照らし合わせてみると、また違った楽しみ方ができるかもしれない。

 <世界中の誰より ただ隣の君へと笑顔届け>と、真っ直ぐに寄り添うメッセージソング「Laugh &...」。今の状況下において、聴く人を優しく励ましてくれる1曲になるはずだ。【かなぴす】

筆者紹介

かなぴす メディア学科卒のライター。19歳の頃から109ブランドにてアパレル店員を経験。大学時代は学生記者としての活動行っていた。エンタメとファッションが大好き。ツイッターは@kanawink

記事タグ 

コメントを書く(ユーザー登録不要)