KEYTALK「音楽的には何でもやれる」更なる飛躍見せる4人の今
INTERVIEW

KEYTALK


記者:平吉賢治

撮影:

掲載:20年09月02日

読了時間:約10分

 KEYTALKが8月26日、配信シングル「流線ノスタルジック」をリリースした。2019年、移籍という新たな一歩を踏み出したKEYTALKは11月に6枚目のオリジナルアルバム『DON’T STOP THE MUSIC』、2020年3月にこれまでの集大成となるベストアルバムをリリースした。そして3月25日には2020年第一弾となる新曲「サンライズ」を配信シングルとしてリリース、本作は第二弾リリースとなった。首藤義勝(Vo/Ba)が作詞・作曲を手掛けた今作についての話題を中心に、KEYTALKの自粛期間の過ごし方や近況、今後のロックシーンの展望など、多岐にわたりKEYTALKの4人に迫った。【取材=平吉賢治】

『ビバラ!オンライン 2020』の感触とKEYTALKの近況

KEYTALK(撮影=高田梓)

――7月31日の無観客ライブ、VIVA LA ROCK presents『ビバラ!オンライン2020』は、観客がいるライブとはかなり空気感が違うと思われるのですが、感触はいかがでしたか。

小野武正 まずライブ自体が5カ月ぶりだったんです。初めての無観客オンラインライブのフェスをやらせて頂いて、その場にお客さんはいないんですけどカメラの向こう側には楽しみにして待っていてくれていることを意識して、「いつものライブ以上にはっちゃけて盛り上げていこう」と、事前にみんなと話しました。当日やってみたらめちゃくちゃ楽しくライブができたし、6曲やって一瞬と感じたんですけど全力で凄く楽しかったです!

八木優樹 4人で全力ライブをするという久しぶりのライブだったので、自分の気持ちの高ぶりを出したら6曲が本当に限界というくらいでした。

――出演順としてKEYTALKは最後でしたが、その点でも気合が入った?

首藤義勝 気合入りましたね! 前の出番のアーティストさんもオンラインとは思えないくらいのものだったので「負けてられないな」と思って。

首藤義勝(撮影=高田梓)

寺中友将 全力で久しぶりのライブができたし、炎の演出などの特効も含めてやらせて頂けたので、“ライブができた感”が凄かったです。僕らはお客さんありきの楽曲が多いと思うので、やりにくいかなという不安もあったんですけど、そこが意外とすんなりクリアできたのが大きかったです。あとMCが逆にやりやすかったです。

八木優樹 すべらないから(笑)。

寺中友将 すべり方すら忘れたというのもあるかと。八木君が凄く笑ってくれるので救われます(笑)。あと、小野君が何か髪型でボケてくれたり。

小野武正 いやボケてないから! おしゃれでパンキッシュな髪型にしてたんです。それでイジられてコメント欄も大盛り上がりだったみたいですね!

――好感触の無観客ライブだったのですね。さて、みなさんはコロナ禍の自粛期間はどのように過ごされていましたか。

八木優樹 この期間中に酒を飲む量が増えました(笑)。

八木優樹(撮影=高田梓)

小野武正 自粛期間、自分にずっとバトンを回し続けるという企画をやっています。“歌つなぎ”とかそういうのなんですけど、自分で繋ぎまくる“わしつなぎ”というのを発明しまして。これが大盛況でして! ギターのリフを弾いたり、ワンフレーズを毎日繋いでやっています。

首藤義勝 僕は家でゴロゴロしながらYouTubeを観ていました。

――好きなYouTubeチャンネルは?

首藤義勝 メンバーが僕以外全員ユーチューバーになりまして、それを観ています。

――そのYouTubeチャンネルはどのような内容でしょうか。

寺中友将 最近はカバー曲を“歌ってみた”みたいな感じでやったりパスタを作ったりと。普段していることを撮影しているだけみたいな感じなんです。一つのことに絞ってというわけではなく、日常を撮影するというものです。

寺中友将(撮影=高田梓)

――ところで、みなさんが最近一番聴いている音楽は?

八木優樹 スナーキー・パピー(米・音楽グループ)です。セッション集団みたいな感じのインストのグループなんですけど、それをよく聴いています。

小野武正 僕はRx Bandits(米・ロックバンド)が前から好きなんですけど、最近また聴いてますね。カッコいいですよ。ミクスチャーというその言葉の音楽とはちょっと違うんですけど、ハードコアやSKAの要素があったり、それこそ総じてロックなんだと思うんです。曲の展開も含め楽器のプレイも面白いんです。

首藤義勝 僕は、ずっと真夜中でいいのに。ですね。

寺中友将 アーティストで言ったら平井大さんです。最近たくさん聴くようになりました。

新作「流線ノスタルジック」メンバーのこだわりポイント

――本作「流線ノスタルジック」を聴いて、KEYTALKのソリッド感、清涼感、エモーショナルな感じが出ていると感じました。どのような着想から制作した作品でしょうか。

首藤義勝 一つ前のシングル「サンライズ」が凄く勢いがあって、そこはそのまま引き継ぎたいと思ったので「疾走感のある曲にしよう」というところから始まりました。仰って頂いた通り、楽器のソリッドなカッコよさと歌のエモさ、どっちも出たらいいなというテーマで作った曲です。

――作詞面で、<世界中真っ白く変えてしまう 呪文は見つからないまま>という部分はどのようなことを表現しているのでしょうか。

首藤義勝 これといって限定してないんですけど、例えば主人公が人生の岐路に立っているとか、そういった時の心情を表したつもりではあります。こういう時期って凄く色々考えるじゃないですか? 極論、「俺が世界を変えられる、いや、無理だよな」とか、そういうざっくりとした心情を書きました。

――歌詞はバンドみなさんの心情と重なる部分もあるのでしょうか。

首藤義勝 そうですね。どちらかというと重ね合わせずに物語を書く感覚で書いた歌詞なんですけど、「結果、重なる部分もあるよね」みたいな捉え方もできるかなと思います。

――タイトルはどんな想いでつけたのでしょうか。

首藤義勝 これは全部歌詞が書き終わった後につけたタイトルなんです。歌詞の中でカタカナの印象的なワードとかを普段は拾ってタイトルにしたりするんですけど、今回はカタカナがほぼなかったので、ちょっと強いワードで曲の世界観を表せるような言葉はないかなと考えてこのタイトルにしました。

――カタカナのワードはいつも重要なポイント?

首藤義勝 わりとそうですね。曲名にするワードとなるとカタカタの割合が多いかもしれないです。シンプルに日本語の歌詞の中で目立ちやすいという特徴があるなと思いまして。

――さて、サウンド面や演奏面についてですが、今作でみなさんが各々こだわった点は?

八木優樹 楽曲のエネルギー、疾走感をドラムで後押しできたらいいなと思って叩きました。

――八木さんは前回のインタビューで「新しい形でレコーディングすることも多くて、ドラムのフレーズも結構アグレッシブになったり、逆に引き算していったりすることもあって、それが新しかった」と仰っていましたが、その点は今作に反映されているのでしょうか。

八木優樹 反映されていると思います。本作はより派手にというか、ドラマチックなドラムに手を加えていきました。

――確かにドラムのダイナミズムが増したという印象がありました。小野さんがこだわった点は?

小野武正 今回はライトハンド奏法をやったり、けっこう大胆かつ繊細な場所もあったりと、曲の持つノスタルジックな感じを後押ししてプレイできたと思います。

――小野さんは以前ビンテージギター屋巡りをしてハマるギターに出会い、そのギターの面白さを掘り下げている最中とのことですが、どんなギターに出会ったのでしょうか。

小野武正 2019年7月に、初年度のギブソンSGギターに出会ったんです。1961年製のものですね。音のタッチもモロにダイレクトでして! 今回のレコーディングでも使っているんですけど、マーシャルのJCM800というアンプがありまして、それも最近2台くらい買ってそれを使っています。

小野武正(撮影=高田梓)

――JCM800は他のマーシャルのアンプに比べて、よい音を出すのが比較的難しいという印象があるのですが。

小野武正 そうなんです。何が難しいってエフェクターをかましづらいというか。基本的に直結がいいアンプだと思うんです。アンプ直で歪みを作っているというのもありまして、今回はそんなセッティングでビルドアップさせてやりました。

――正にこだわりのポイントですね。首藤さんはいかがでしょう。

首藤義勝 ベースはわりとアグレッシブなフレーズを終始使ったので、楽器をやられている方には是非コピーしてもらえたらいいなと思います。

寺中友将 僕はこの曲は、後半にいくにつれてエモーショナルになる部分が重なっていくという印象を受けたので、2番の歌い出しとか、曲の後半で歌う場面でエモーショナルさをどんどん表現できたらいいかなってというところはかなり意識しました。

新たなロックの形とは

KEYTALK(撮影=高田梓)

――KEYTALKのみなさんは現在のロックシーンについてどんな印象を抱いていますか。

小野武正 僕らがメジャーデビューしたのが2013年末くらいなんですけど、そこから6、7年、ジャンル感のアウトプットの仕方が変わっていて。それって、メインカルチャーが出てくるとそれに付随するカウンターカルチャーみたいなのが出てきて行ったり来たりというのがずっとあると思うんです。僕らがやりたての頃のカウンターカルチャーみたいなものがロックにガッツリきているという印象があります。今のシーンにおいて言うと、いわゆるロックというこだわりがないのかなと思います。「ロックバンドです」という定義がどんどん広くなっていると思います。

――色んなロックの形が広まっているような?

小野武正 YouTubeやサブスクなどで色んなジャンルをどんどん吸収して、それを曲にしていく流れにおいては、新たなロックが生まれていくんだろうなと。でもまだ生まれてないと思っていて、その入り口を感じます。それがまだ形になっていないなという印象で。今みんなが模索している段階なのかなと思います。ロックという解釈がもっと広くなっていくと思うんです。それは聴き手にも委ねられていくと思いますし。僕が思うのは、何人かで作り上げていくものと一人で完結するものと二軸にわかれていくものかと。よりパーソナルな時代になっていると思うんです。PCが発達したことによって一人で曲が出来て、SNSやYouTubeで個が発信できる時代だと思うんですけど、誰かと一緒にやる選択肢をとるのか、はたまた一人で表現していくのかと真っ二つにわかれていくという、新たなロックの形があるのだと思います。

――作り方の二極化という部分から、新たなロックが生まれるというところもあると。

小野武正 個人的な趣味とか「これが好き」とか、そういう趣向になってきてしまうんですけど、僕は誰かと何かを作り上げるのが凄く好きなので、そのスタイルでロックを追求できたらいいなと思います!

――なるほど…。

八木優樹 僕もなるほどなと思います。講義を受けに来た感じがありましたね(笑)。

――ところで、無観客ライブが9月26日に開催予定ですが、どのようなスタイルでおこなうのでしょうか。

首藤義勝 無観客に特化した面白いライブにしたいなと思って色々と作戦を練っている最中でございます。

寺中友将 配信ライブでは、家でライブハウス通りに楽しく体を動かして観る人もいれば、ゆっくり座りながら楽曲に浸るという人と、それぞれいると思っているんです。だから、目でも楽しめる要素を増やすとか、より僕らは演奏に集中してやれたら配信ならではの楽しみ方をしている人達に届けることができるのかなと思っています。通常のライブではできない仕掛けなどもやれるのかなと、みんなで今色々話し合っています。

――無観客ライブに特化したパフォーマンスも考えていたりするのでしょうか。

八木優樹 まだ言えないんですけど仕込ませて頂くものがありまして。楽しみにしておいてほしいです!

――現在、大変な状況ではありますが、KEYTALKの今後の展望としてはどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

首藤義勝 まずは4人で掲げている横浜スタジアムでの単独ライブを目指しながら、音楽的には何でもやれるというのが僕らの強みだと思うので、その時々で自分達が楽しめることをやり続けていけたらいいなと思います!

(おわり)

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