『MAP OF THE SOUL:7 ~ THE JOURNEY ~』

 BTSが15日に発売した日本4thアルバム『MAP OF THE SOUL:7〜THE JOURNEY〜』。収録曲「Stay Gold」は同アルバムのリード曲で「この世界はいいことばかりじゃないけれど、君のその輝きを失わないで」というメッセージを込めた。音楽番組でも披露されているが、改めてこの曲を聴き、率直な感想を綴る。【木村武雄】

 ゆっくりめのテンポに、使われる音はビート音ぐらいで可能な限りそぎ落とした。もし使われる音がピアノやバイオリンなら悲しくも聴こえるが、高めのビート音で構成されているせいか、明るく“ときめき”を感じさせる。

 その歌の始まりは、エアリーな歌声とピアノの単音のみ。どこかため息のようにも聴こえる。前述の通り、ピアノを入れることでどこか悲しいような印象を受け、この後に続く本編もそれに引きずれるのだろうと予想を立てる。しかし、ものの見事に良い意味でそれは裏切られ、明るい曲調になる。

 ビートは跳ねるように一定数を刻み、うずく心を表現するかのように<魅惑的な moonlight/今宵も眠らない>とラップする。

 そして、<心へと忍び込んで 君の間近/近づくのさ いつの間にか>の<いつの間にか>ではセリフっぽくなる上に声量も増える。あふれ出しそうな思いが乗るようだ。

 更に、その後の<戯れを知らないな>の「ないな」、<その瞳はダイヤ>の「ダイヤ」、<どんな宝石よりも beautiful>の「beautiful」という韻を踏むところではファルセットのコーラスが重なり、より神秘性が高くなる。

 ここだけでもロミオとジュリエットの世界を彷彿とさせ、その映像が浮かんできそうだ。

 そして、サウンドとしても華やかになるサビでは、<Stay gold>と2段階に分けて音程が高くなっていく。直訳すれば「輝き続ける」という意味だが、高音によって更に輝きを増しているようにも感じる。

 歌の2番も、好意を寄せる人への高鳴る思いを表現しているが、歌の結びでは<握りしめたその手を/放したくないよ>とグッと距離が近くなっている。

 言葉で表現するのであれば「君は美しいです」ということなのだろう。それを、彼らの甘い歌声、美しい歌詞、そしてシンプルなサウンドをもって物語化し、ファンの耳元に届けている。

 シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』では結ばれない2人が、この曲ではしっかりと手を握りしめている。想像するだけで神々しい。

筆者紹介

木村武雄 書く人、撮る人。新聞社を経て現職。昨夏、音楽班からエンタメ班に。

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